自然のことのは

  • 幻冬舎 (2000年10月1日発売)
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感想 : 14
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自然に関する言葉が写真とともにたくさん紹介されている。ちょっと疲れた・重たい内容の本はしんどい・でも時間がある、という時にパラパラめくると癒されるかも。

自然に関する言葉は多くあり、それらは日常的によく使っていることに気付く。「空」、「海」、「猫」、「犬」などは身近なものだ。そこから作られた表現をいくつも見ていると、意識していなかったけど確かにこういう感じもするなと再発見がある。
逆に日常的に使うことはなくとも、その言葉によって情景がリアルにイメージされるものも。「朝惑い」、「炎昼」、「逢魔が時」など。

自分は、動物の章が一番面白かった。例えば「猫」。「猫の手を借りる」、「猫っ毛」、「猫舌」、「猫の額」、「猫被り」、「猫の恋」...と表現がたくさんある。猫は昔から身近にいたので、そこからできた表現は多いようだ。それぞれの言葉の説明を読み、猫の持つイメージの多さを改めて感じる。

今の季節、次に来る季節に注目するのも面白い。空に関する写真がきれい。季節は空模様の変化から感じるというようなことも書かれていた。

あとは印象に残ったポイントをいくつか。
・動物の章のニワトリの写真がかっこいい。どうやったらこんなものが撮れるのか。

・「鴛鴦夫婦(おしどりふうふ)」。オシドリは、つがいの一方が死ぬと、残された一方は悲しみのあまり死ぬと言われ、仲の良い夫婦をさす。しかし、実際のオシドリは、繁殖期ごとにパートナーを変える。イメージと現実は違うことも多いようだ。

・空と夜空の章の、ホンドタヌキの写真が印象的。夜の闇の中で目が光っていて、もののけ姫のショウジョウのシーンのよう。

・「炎昼」の説明が印象的。
   “天頂の強い太陽の光は、ときに人の精神に強い影響をおよぼす。『異邦人』(カミュ)のムルソーは殺人の動機を問われ、「それは太陽のせいだ」と答えた。”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 雑学系
感想投稿日 : 2014年10月19日
読了日 : 2014年10月18日
本棚登録日 : 2014年9月28日

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