応天の門 1 (BUNCH COMICS)

著者 :
  • 新潮社 (2014年4月9日発売)
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本棚登録 : 1889
感想 : 136
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行きつけの書店に平積みされているのを見かけて以来気になっていましたが、SNSの読書グループでも何名かが話題にされており、ついに手を出してしまいました。

主人公は菅原道真と在原業平。
かたや18歳のエリート文章生ーただし人と交わることが苦手で頭でっかちなところがあり、人情の機微にも疎く毒舌家ー、かたや帝の血筋で歌の才がある権少将ーただし女と見れば片っ端から言いより攻め落とす、平安京きっての下半身に節操のないプレイボーイーという異色のコンビが、権力の座をめぐり数多の貴族が権謀術数張りめぐらせる京の街でおきる事件に挑みます。

平安京、男二人、事件に挑むとくれば夢枕獏さんの「陰陽師」シリーズを想起させますが、本作はより平安京の貴族社会のドロドロした嫌な面(もうホンマにムカついて反吐が出ます)が強調されてます。

そんな舞台で、よく言えば歯に衣着せぬ物言いで正論を吐く、悪く言えば世間知らずで青臭い道真は、ネガティヴなキャラ設定に反してとてもとても魅力的で好ましく映ります。
反面、業平ふくめ周囲の「大人」たちの情けなさ、あざとさが目立ち、僕にとっては本巻は道真の一人勝ち!?といった印象でした。

本巻では二つの事件を解決したこのコンビですが、巷で起こる事件とは別に、大内裏内の権力争い、それとも絡んだ貴子姫(実はかつて業平が手をつけ、いまだ業平を思い続けている節がある)の入内問題が、今後どうストーリーに絡んでくるのか、楽しみな幕開けの一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 灰原薬
感想投稿日 : 2016年7月3日
読了日 : 2016年7月3日
本棚登録日 : 2016年7月2日

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