1996年に87歳で亡くなった気骨ある名脇役・沢村貞子さん。プライベートでは夫君・大橋恭彦さんとの夫唱婦随ぶりも知られたものだったという。「仕事3割、だんなさまと家のこと7割」と言ったくらい、大橋さんとの日々の暮らしを大事にしていた沢村さんは、毎日の献立の記録を27年間にわたり、36冊のノートに記していた。その記録から食卓を再現しつつ、沢村さんのエッセイを織り交ぜたもの。料理屋で食べるようなものではない、でもそこはかとなく粋だし、それでいて気ままに和洋折衷もしてしまう食卓の記録は、書かれた文字を見ているだけでもおいしそうな気がしてくる。
だけど、それが半分強しかないってどういうことだ?
著書の紹介などに贅沢に(ムダに)ページをとっていたりして、雰囲気はいいのにどうも粗製濫造な感じが漂う。27年にわたる献立の記録という宝を100ページにも満たない本にまとめてしまうのはちょっと乱暴すぎやしないだろうか。そうそうたる面々が著者に連なっているけど、エッセイを1編寄せているだけ。しかも本書が初出でないものもある。このあたりも、看板に偽りありな感じがしてしまうなあ。亡くなった人を利用したあげく、汚すような本はやめていただきたい。
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- 感想投稿日 : 2014年3月24日
- 読了日 : 2014年3月23日
- 本棚登録日 : 2014年3月24日
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