2011年の原発事故を受け、上野千鶴子が12人の女性たちの対談録。対談相手は、髙村薫(作家)、瀬戸内寂聴(作家、天台宗尼僧)、永井愛(劇作家、演出家)、国谷裕子(キャスター)、田中眞紀子(前衆議院議員)、辛淑玉(人材育成コンサルタント)、浜矩子(経済学者)、加藤陽子(歴史学者)、中西準子(環境リスク学者)、林文子(横浜市長)、澤地久枝(ノンフィクション作家)、石牟礼道子(作家)というバラエティ豊かにして珠玉の面々。
特に面白かったが、加藤陽子、中西準子との対談。どこか一歩引いたような感じを受けてしまった。いわゆる知と理と論で成り立つ学者の世界だからこそ説得力があるところに、女性的な視点(この場合、なれ合いにならなかったり、学者バカにならないという意味)が絡まることで、思い切りよく斬新で裏付けのある話が生まれてくる感じがした。対して、作家の話はおしなべて観念的というか、一歩引いているような感じがしてしまった。
もともとは「婦人公論」に連載されたものだとか。果たして日本の他の雑誌でこのような企画が成り立つだろうか。男性を読者対象に入れている雑誌では成り立ちにくいし、天下国家や社会的な課題に日ごろから触れている雑誌でないとまた成り立ちにくいのではないかと思う。その点で「婦人公論」は稀有にして貴重な雑誌だ。
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- 感想投稿日 : 2016年10月16日
- 読了日 : 2016年10月2日
- 本棚登録日 : 2016年10月2日
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