【読書】著者は、2000年9月に秘書給与流用の詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕された元国会議員の山本譲司氏。懲役1年6ヶ月の実刑判決を受け、栃木県黒羽刑務所に服役。この本は、その刑務所での実体験を基に書かれたもの。ここで書かれる刑務所の現実は私の新潟での生活保護のケースワーカー時代の経験に重なるものがある。担当した中にも、罪を犯し、刑務所を出所した人がいた。当初は出所者ということで非常に緊張したが、普通の大人しい青年であった。彼のこれまでのいきさつを色々聞いてみると、彼は幼少期から知的に障害を抱えていたものの、複雑な家庭環境から福祉にアクセスすることができず、事件まで至ったものであったものであった。事件に至るまでに福祉にアクセスできれば人生が違ったのではないかと当時どれだけ思ったことか。この手の話は、氷山の一角だ。刑務所にいる受刑者の中にも同様な人がたくさんいるかもしれない。また、問題は、刑務所出所後の人生設計である。何もサポートがなければ、再犯に至るか、生活保護への道に行くことになる。生計を立てる上で仕事を探すにしても、受刑者が背負ったハンデは本当に大きいものがある。新潟での受け入れ先は本当に困難であった。何よりまずは生活基盤の安定をして、社会へのつながりを確保することだと思う。そして次に就労への道を模索すること。刑務所から出所した終わりということではなく、福祉を含めた地方自治体への円滑な引継が必要になってくる。
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- 感想投稿日 : 2011年10月24日
- 読了日 : 2011年10月24日
- 本棚登録日 : 2011年10月24日
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