量子回路の実用化が、並行世界の存在を具現化してしまい、お互いの世界が干渉し始めてしまうお話。量子論の多世界解釈を元にした思考実験のような小説で、知的で面白かった。
また、冒頭において、wikipediaや3000はてなブックマークなど、日常利用しているサービスの記述が登場することで、作品のリアリティが増し、物語の世界にすんなり入り込めた。
村上春樹の作品に登場する「35歳問題」についての記述も、自分がもうすぐその年齢になるということもあるかもしれないが、激しく同意してしまった。本当にその通りだと思う。
後半はSFというより世界系っぽい展開になってしまったのがちょっと残念。前半の雰囲気が最後まで続いてほしかった。個人的なクライマックスは、第一部で赤毛の「量子脳計算機科学者」と名乗る女性が、ネットワークと並行世界の関係を説明するところ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2010年6月6日
- 読了日 : 2010年6月11日
- 本棚登録日 : 2010年6月7日
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