カート・ヴォネガットが07年に記した遺作となるエッセー。
軽口のような文章で現代社会を痛快に皮肉っていく。ドレスデン爆撃を体験した時に同僚が言ったジョークや小説のパターンなどについても書かれていて、ヴォネガットの今までの人生についても多くふれられている。
ヴォネガットの小説は社会や人生を無価値かのように語りニヒリズムのようにも思えるが、このエッセーを読むと彼が現代社会を嫌いつつも理想の社会を決してあきらめず、周囲にもそう訴えようとしているように感じる。今の地球はひどい状態で「古きよき時代」など一度もないと語り、80歳を超えた今、孫の世代に心から謝りたいと言うヴォネガットは誰より誠実だと思う。
ヴォネガットを考える上でで必読のエッセー。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセー
- 感想投稿日 : 2013年10月25日
- 読了日 : 2013年10月19日
- 本棚登録日 : 2013年10月11日
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