やわらかな心をもつ―ぼくたちふたりの運・鈍・根 新潮文庫

  • 新潮社 (1984年10月29日発売)
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本棚登録 : 230
感想 : 22
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クラシックファンなわけでも、数学に明るいわけでも何でもなくて、単純に天才と言われる両名がどんな会話を話していたのか興味があり、手に取った。
二人とも、各分野で世界的に成功を収めながら、とても謙虚に「自らの仕事」を全うしたいと願いっているのが好ましく、楽しく読み進めることができた。
「専門職能」の中での自分のスキルが、どうして世界に認められることになったか、その小沢氏の軽やかな口調の中に、自分の中での厳しい規範をもうけていることが知れるにつけ、ゆえに天才と言われるのだろうなあ、と感心していた。
「ジェラシーを殺す」「頭へ充電」なんて、誰でもできることだけど、なかなか成功しないことだしね。

広中氏の方は、とても親近感がわくスタイル。「TVを観ながらぼーっと公式を考えている...」なんて、「大根を切り刻みながらぼーっとアイデアを練っている」とそのまま置換できるじゃないか。
そんな自分を努力型だと称していたけれど、その悶々とした思考の後に、カタストロフィーから生まれる新しいかんがえ、があることを信じる姿勢は素晴らしい。

よいエピソード発見。
アインシュタインが、老年になっても数学の研究を続けたのは有名な話。最後の最後まで、後進の物理学者に論争をもちかけ、完敗するまでなかなか譲らなかった。しかしながら、その論争に触発されて、新しい理論を生んだという事例もあるらしい。

よい勉強になりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2010年5月4日
読了日 : 2006年6月19日
本棚登録日 : 2006年6月19日

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