子どもたちは夜と遊ぶ(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2008年5月15日発売)
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本棚登録 : 257
感想 : 23
5

残忍で、悲しくて、美しい。

そんな話。

読んでいて涙が出てきた。

飛行機の中で読んでいたんだけど、空の上で必死に声を殺して泣いた。

人は、己の残忍なところを持って、持て余して生きていく。

自分ではどうしていいのかわからない。
動きながらどうしようもなく、誰かに止めてほしくなる時もある。
その時に誰かがそばにいて、楔になってくれればいい。
でもきっとそれってタイミングの問題なんだ。

ひとりひとりの性格をすごく鮮やかに描いている。
想いも、行動も、ひっくるめて。




最後の最後まで辻村深月がこの作品にどういう答えを出すのか、とてもどきどきしながら読み進めた。
さまざまなフェーズで、様々な問題をちりばめた作品だ。
どう収束するのか、気が気じゃなかった。

でも最後の方になって、そんなのどうでもよくなった。

この人物が幸せになればいい。

そういう風に願うようになった。

この物語のなかの人が今後どんな人生を送るかはわからない。
どんなことを体験し、どんなふうに感じ、どんな風に行動を起こすか、それは分からない。

でも、この物語に出た一人一人が、それぞれに幸せな日々を過ごしていけばいい。

それを僕は強く望んでいます。

美しく生々しい彼らが、どんな形であれ魂の安息を得ることを望みます。


ところで冒頭と幕間のシーンは、ぼくはどうしてもV.T.Rのあのごみ置き場のシーンを思い出してしまう。
あの機械のうさぎがぎしぎしとそこらを歩いていそうな気がする。

これは、まあ、どうでもいい話。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2014年7月13日
読了日 : 2014年7月13日
本棚登録日 : 2014年7月13日

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