残忍で、悲しくて、美しい。
そんな話。
読んでいて涙が出てきた。
飛行機の中で読んでいたんだけど、空の上で必死に声を殺して泣いた。
人は、己の残忍なところを持って、持て余して生きていく。
自分ではどうしていいのかわからない。
動きながらどうしようもなく、誰かに止めてほしくなる時もある。
その時に誰かがそばにいて、楔になってくれればいい。
でもきっとそれってタイミングの問題なんだ。
ひとりひとりの性格をすごく鮮やかに描いている。
想いも、行動も、ひっくるめて。
最後の最後まで辻村深月がこの作品にどういう答えを出すのか、とてもどきどきしながら読み進めた。
さまざまなフェーズで、様々な問題をちりばめた作品だ。
どう収束するのか、気が気じゃなかった。
でも最後の方になって、そんなのどうでもよくなった。
この人物が幸せになればいい。
そういう風に願うようになった。
この物語のなかの人が今後どんな人生を送るかはわからない。
どんなことを体験し、どんなふうに感じ、どんな風に行動を起こすか、それは分からない。
でも、この物語に出た一人一人が、それぞれに幸せな日々を過ごしていけばいい。
それを僕は強く望んでいます。
美しく生々しい彼らが、どんな形であれ魂の安息を得ることを望みます。
ところで冒頭と幕間のシーンは、ぼくはどうしてもV.T.Rのあのごみ置き場のシーンを思い出してしまう。
あの機械のうさぎがぎしぎしとそこらを歩いていそうな気がする。
これは、まあ、どうでもいい話。
- 感想投稿日 : 2014年7月13日
- 読了日 : 2014年7月13日
- 本棚登録日 : 2014年7月13日
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