ビタミン (講談社コミックス別冊フレンド)

  • 講談社 (2001年11月9日発売)
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本棚登録 : 301
感想 : 36
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「ライフ」のすえのぶけいこ先生の、初連載の作品で、テーマは「ライフ」と同じく「いじめ」。

主人公の沙和子は、彼氏との関係から、クラスの周りの生徒たちから嫌がらせを受けるようになり、次第にそれはエスカレートしていく。

先生は「昔はよくあったことだ。強くなれ。」と何も分かっていない。

学校に行くことのできなった沙和子を親は、
「学校にも行けないようじゃ社会に出てもやっていけない」「逃げてもなにも変わらない」と、追い詰める。

ものすごく理不尽で、どうにもならない。
それに救いもみあたらない。

悔しくて、悔しくて、「明けない夜」が欲しくなる。

人を傷つけても学校に行っている奴が勝ちだ。
学校行かなくちゃ夢もみちゃいけない。

沙和子にとって、そんなとき忘れかけていた「ビタミン」が「漫画を描くこと」だった・・・。


作者の想いを丁寧に正面から訴えたリアルな作品で、読者の胸に重くのしかかってくるものがあった。


同時に、思うこと学ぶこともいくつかあった。

「逃げる」ということは、ほんとうは「逃げる」ことだろうか?

むしろ「逃げる」ということが、ほんとうの意味で「戦う」ことになっているし、「逃げない」ことでもあることだってあるのではないだろうか。

「逃げる」ことも立派な選択肢なのである。


ひょっとしたら、人生にはこの漫画ほどまではいかないまでも、どうしようもできない理不尽で悔しいことはあるかもしれない。

だけど、沙和子は自分のやりたい夢を見つけて、その道を貫くために動き出す。

絶望に立たされたときも、「自分の好きなこと」を見つけ、それに向かって進んでいく姿勢が明日をつくっていくきっかけになる。

でもやはり、人は誰かの支えがなければ生きてはいけない。
最後に沙和子を支えたのは、はじめは理解を示してくれなかった家族の思いやりだった。

「ライフ」でもそうだけど、歩も、この沙和子も強いね。

思っても実際に行動できる人なんて、いろんなリスクとか恐れがあって本当は少ないはず。


卒業式の日に、いじめたやつが「ごめん」と言って渡したノートを外にほおり投げ、
もらった卒業証書をビリビリに破り捨てるシーン
かっこいい!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2012年11月4日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年11月4日

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