原作以上を引き出すって夢だなー…と脱帽するしか無い、というか。陰陽師にしろ、岡野先生はその側面からも最高峰だなと思います。
表現の媒体を変えるとき、その異なる表現文法のためにあらゆる“翻訳”が必要になるわけですが、それが成功している/成功した事例というのはそう多くないと思い、またそれがいかに難しいかと言うことにも想いを馳せます。
パロディではなく、しかしある種のパロディとすべきライン、直訳ではなく意訳にすべきラインをよく見抜き、さらにそれだけでなく、深部を重ねたり引き出したりしてしまうこと。一人の表現者という翻訳家を通した時に起こる、これはもはや消化ではなく昇華なのだろうなと、美味しく頂きました。
愛について十分に辛辣で、十二分にロマンチックな一作でもありました。自己愛も含め。
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- 感想投稿日 : 2011年12月31日
- 読了日 : 2011年12月31日
- 本棚登録日 : 2011年12月29日
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