ついに旅順が堕ちる。児玉源太郎による指揮権の借用によって数万人の犠牲者を出した旅順作戦が。どうしても今回の東日本大震災でお亡くなりになった方と数を比較してしまう。それを遥かに上回る人為的な死者の数であった。
203高地での激戦、旅順略奪までの話は非常に読みやすかったし、熱くもなった。児玉と乃木の指揮権委託に関する話、203高地から眺める旅順港、水師営でのステッセルの早すぎた降伏、そして念願の日本の艦隊の帰港。
以後、バルチック艦隊の喜望峰、マダガスカル島への航海の話に展開していく。そこにおいてはじめて日英同盟の威力を目の当たりにする結果となった。
そして黒溝台で秋山騎兵の活躍へと移っていく。主人公が当初の三人から日露戦争そのものに移り変わっていっている。司馬遼太郎の目で日露戦争を遠くから観ている気持ちに陥った。学校の授業では学ぶ事のできなかった戦争の悲惨さ、明治の日本人の考え方を感じ撮る事ができる。少なくとも現代とは死の考え方が全く違うという事。たった100年と少し前の話であるというのに。
また、今と違って情報というものがそう簡単に伝わらない、その中で個人個人が動いていかねばならない、そして情報が伝わらないからこそ生まれる戦後になってからわかる奇蹟の積み重ねが何ともいえない神秘的さをこの戦争から感じた。
しかしながら第5巻は少し読むのがしんどかった。。。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史・文化
- 感想投稿日 : 2011年7月20日
- 読了日 : 2011年7月20日
- 本棚登録日 : 2011年3月20日
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