光の精煉師ディオン 指揮官は明日を夢見る (角川ビーンズ文庫 54-10)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング (2009年1月31日発売)
3.67
  • (2)
  • (2)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 33
感想 : 5
4

確認先:目黒区立八雲中央図書館
一読後、口ずさむのはやはり「川崎市民の歌(好きです かわさき 愛の街)」。川崎市民もしくはフロンターレフリークで目ざとい人ならば「指揮官は明日を夢見る」という本書のサブタイトルと「つなぐ手に 明日を夢見る」がぴったり重なること、そしてなによりも川崎市民の歌の歌詞と基本コンセプトに沿って本書を書いたのではあるまいかと勘繰りたくなるような展開を見せていることに注目を向ける必要があるかもしれない。
というのも、一見すると「ご都合主義」との批判も生じるかもしれない展開でありながら、精神主義に回収することなく話を転がした部分が大きいからだ(精神主義への安易な回収が思考停止を伴うことはままあり、それが批判の矢面に立たされたのはそう古い話だけではない)。

もっとも惜しまれる点はある。
結果的にビルディング・ロマンスになっていないのにもかかわらず、「成長物語」と無理強いに言い張る村田の無駄なあがき(あとがき参照のこと)があること。「立つ鳥、跡を濁さず」とはよく言うが村田のこのあがきが「跡を濁」してしまったのは言うまでもない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 借受:23区
感想投稿日 : 2009年6月7日
読了日 : 2009年6月7日
本棚登録日 : 2009年6月7日

みんなの感想をみる

ツイートする