上中下三巻。男の作家が描く女性像は大抵気に入らないのだが、谷崎は別だ。打算的で人目が気になる、でも情の深い生きものとして描き出された女性像には、よく知ってんなあとほとほと感心するしかない。無口で強情なモテキャラ雪子よりも、時に妹を憎いと思いながらつい心配してしまう幸子の方が、正直で魅力的に映る。
日本人のあけすけさ、したたかさ、慎み深さが思い出されて、まんざら日本人も捨てたもんじゃないと思える。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2006年9月18日
- 読了日 : 2006年9月18日
- 本棚登録日 : 2006年9月18日
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