「その日」は少しずつ歩んで来るものかもしれない。
でも、もしかしたらすぐ目の前にきているかもしれない。
大切なものが増えるたび、「その日」が怖くてたまらなくなる。明日もう話せなくなる、明日もう手を握れなくなる。そう思うと、涙が止まらなくなる。毎日は当たり前にくるようだけれど、今日が「その日」でなかったことがどれだけ幸せで有難いことかと思う。
この小説は、それぞれの話が独立しながらも、死を通して人が繋がっていく。死に行く人も残されるものも、悲しみや覚悟を背負う。どんなに足掻こうとも、時は平等に過ぎて、いつかは別れの時がくる。残されたものは、そして、思い出を胸に次へ進む。
大切なものを、もう一度大切だと抱きしめようと、そう思わせる一作。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年10月18日
- 読了日 : 2014年10月18日
- 本棚登録日 : 2014年10月18日
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