やっと読めました!2ヶ月かかった!
とはいえ読みにくいわけでも難しいわけでもなく、寝る前にちょっとずつ読む本にしてたら時間がかかってしまった。
学生時代に一応やったブラジル史(必修だったかも)の中でもカヌードスの反乱は名前は有名でもいまひとつピンと来てなかった事件でした。近代に対する前近代の決死の抵抗なのか、ただの狂信者の集団なのかよくわかんなかったし、教室でもあえて簡単にまとめることはしなかったと思います。
この小説では多くの登場人物がそれぞれの立場でカヌードスを見て、参加して(巻き込まれて)、語っていて、わかりやすくて立体的なカヌードス像を表すことに成功しているわけですが、全て楽しんで読んで分かったつもりになった上で「やっぱりよくわかんない」に戻って来てしまう。これこそがもしかしてバルガス=リョサの狙いなのではという気がしてなりません。
自らの中にある他者(この小説ではブラジルという国の中にあるセルタンゥ、コンセリェイロ率いるカヌードス)と向き合えば向き合うほど、正義と罪の、狂信と救いの、幸せと不幸の、健康と不具の、正気と狂気の境界がどんどん曖昧になっていく。
しかし私たちはこの自らの中にある他者と本当に向き合うこと無しには決して未来に歩み出すことができない。結局孤立したカヌードスは全滅し、カヌードスを理解できなかった共和国もほとんど敗北に等しい被害を出して終わるこの悲劇を歴史の糧とできるのかどうか。
内なる他者と向かい合い続けて来た多民族国家ブラジルにはできて、見て見ぬフリをし続けてる日本にはできないのかな、という気がしてますが
やっぱりよくわかんない。
- 感想投稿日 : 2017年9月24日
- 読了日 : 2017年8月27日
- 本棚登録日 : 2017年8月14日
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