女性と人間開発 潜在能力アプローチ

  • 岩波書店 (2005年10月26日発売)
3.75
  • (1)
  • (4)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 36
感想 : 1
5

 第三世界の女性「開発」のために現在最も主流とされている(たぶん)、潜在能力アプローチ、について書かれた本。潜在能力(ケイパビリティ)アプローチについて学ぶためには、まず最初に読むべき本である。第三世界の貧しい女性達を開発していくために、彼女らの所得や効用(主観的な幸福度)ではなく、彼女は「何ができるか」「どんな状態になれるか」という、潜在性を、アプローチの評価変数として取り入れる方法である。著者は哲学が専門らしく、政治哲学的な内容となっている。もちろん、根源的に何が基準とされるかというと、評価者(西欧先進国)の「直観の定点」ではある。が、本書のあげるケイパビリティのリストは、より広範囲に人々を繋げる規範としては、普遍的に妥当とするに値するように思われる。「伝統」や「西欧の押しつけ」などの批判に対する反駁や、「宗教」「家族」との衝突についても書かれていて、非常によくできた書物である。原著2000年、翻訳2005年。新しい本である。2008.5.22-26(5d).

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想系
感想投稿日 : 2008年5月26日
読了日 : 2008年5月26日
本棚登録日 : 2008年5月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする