「キウイγは時計仕掛け」で島田文子が登場したのは、本作の予告だったんだな。それ以前のW大の事件や何かでも彼女は登場しているらしいが、全然覚えてない。単身赴任中の身で、本が手元になく確かめようもない。
香港のトラムの中での殺人事件。森先生の文章に触れる喜び。ちょっとおバカなことを云う女の子がGシリーズぽいのかな。
島田が警察の依頼を受けサーバーへ侵入する第2章が白眉。他の誰かの気配を感じる、追跡されていることを気付く、遠くのサーバーを経由する、鍵を開けるプログラム、コピーロボットを作動させる、別の階層に気付く…。「ニューロマンサー」のようにサイバースペース映像があるわけでもないのに、この臨場感は痺れまくり。
この後は、モデラートの大三楽章。でも、緊張の糸は緩まない。その後のアレヨアレヨの展開は早いのに、驚くよりゆったりさせられる印象。頭が痺れた状態で、色々考えさせられるからだろうか。最後は大満足で本を置いた。
各務アキラって確かアイツだよな。彼女のパートナーはアイツじゃなかったか。金って誰だったんだ。だって手元に本がないんだよ。
読み返したページに小山田のニックネームがジェリイとあり、そうかと思いつつ、判らないことだらけ。
勝手な妄言。
チョと前に読んだ哲学入門に、目で見た物は眼球に映し出され視神経細胞を通し、脳で電気信号として処理され、僕らは物を視ているとあった。
ならば、肌で感じる空気、音、香り、味覚、全てが電気信号として統合され、言語による認識をもって僕の自意識は生きているのだろう。
電気信号を完全に機械に移したら、アミノ酸伝達構造の支配を離れ、人間は生きられるのか。真賀田博士はそう云っているのだろうか。
- 感想投稿日 : 2016年6月9日
- 読了日 : 2016年6月9日
- 本棚登録日 : 2016年6月9日
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