私の個人主義ほか (中公クラシックス J 4)

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  • 中央公論新社 (2001年12月1日発売)
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○道楽と職業
人のためにするという意味を間違えてはいけませんよ。人を教育するとか導くとか精神的にまた道義的に働きかけてその人のためになるということだと解釈されると困る。人のためというのは、人の言うがままにとか、欲するがままにといういわゆる卑俗の意味で、もっと手短に述べれば人のご機嫌取ればよいというくらいのことにすぎません。道徳問題じゃない、事実問題である。

現あたかも自ら好んで不具になると同じ結果だから、大きく言えば現代の文明は完全な人間を日に日に打崩しつつ進む

道楽である間は自分に勝手な仕事を自分の適宜な分量でやるのだから面白いに違いないが、その道楽が職業と変化する刹那に今まであった自

己への権威が突然他人の手に移る

おのれの為にする結果すなわち自然なる芸術的心術の発現の結果が偶然人ためになって、人に気に入っただけの報酬が物質的に自分に反響してきたのだとみるのが妥当

道楽即ち本職なのである

世の嗜好に投ずると一般のご機嫌を取る所がなければならない

○中身と形式
内面生活がずれているならそれを統一する形式というのも自然にズレて来なければならない

○私の個人主義
横着な料簡

自分の鶴嘴をがちりと鉱脈に掘り当てた

自分の個性を尊重し得るように、社会から許されるならば他人に対してもその個性を認めて、傾向を尊重するのが理の当然

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感想投稿日 : 2012年8月12日
本棚登録日 : 2012年8月12日

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