作家さんてどうしてこういう文章が書けるのだろう。
文字に、文章に圧倒される。
数十年の母子密着の果てに、逃避の手段としての妊娠・結婚を選んだ絵里子。母と決別し、隠しごとのない自分の家庭をもったにもかかわらず、母の影は今でも絵里子を離さない。
「私の家庭とまったく関係のない老婆の他愛ない一言で泣くことなんか何もないのだ。頭ではわかっているのに、この女と話していると、私はまるで十代の娘のようにあっさりと傷つく。自分でもあわてふためくくらいかんたんに」
この箇所を なんどもなんども読み返してしまった。
恐ろしいくらい威力のある文章。
胸にグサグサと言葉が突き刺さる。なにこれ。
絵里子とその母の関係は、私と母と関係そのものじゃないか。(救いは、うちの夫がタカぴょんみたいなコップ男じゃないってこと)
角田光代さんの本は、油断して読んでいると、ところどころでこういう矢を放ってくるから気をつけないと。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年11月15日
- 読了日 : 2016年11月14日
- 本棚登録日 : 2016年11月14日
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