「俺が一体、何をした。」
はい、全くその通りで、私には三浦友和さん演じる葛城清は、確かに言動が抑圧的ではあるものの、異常と捉えるほどの暴君ぶりを発揮しているようにも見えず、逆に一体全体どうしてこのような家族のありようになってしまったのか??と、その理由がいまいちわかりませんでした。例えば、「血と骨」で北野武さん演じる金俊平のような、あの圧倒的な自己中心的さや暴力性が描かれでもすれば、子の反発やその後の顛末も理解ができるのですが。。
毎日淡々とお客が来ない金物屋に自転車で通い、日がな一日を店番でぼーっと過ごしつつ、時折昔の家族の写真を眺めては懐かしむ日々。家に帰れば次男の扱いを持て余し、妻には拒絶される。あぁ、悲しいかな、寂しい中年男性よ。
あえて言うなら、何もしなかった。それは定職に就けず家でくすぶり続ける次男に対してもそうですし、親から継いだ廃れる一途の金物屋に見切りをつけられずに止まり続けたことや、抑圧的な言動で父親の威厳を保つことから変わろうとしなかったことではないでしょうか。そして、そのことに気づけなかったことが、葛城事件の事件たる所以のように思えました。
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カテゴリ:
邦画
- 感想投稿日 : 2017年2月5日
- 本棚登録日 : 2017年2月5日
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