遠野物語・山の人生 (岩波文庫 青 138-1)

著者 :
  • 岩波書店 (1976年4月16日発売)
3.79
  • (72)
  • (75)
  • (109)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 1256
感想 : 93
4

伝承文学の原石そのままの魅力を抜き出したような(しかし実際には意図的に漂白された)遠野物語も素晴らしいが、柳田自身の考察が前面に出ている山の人生が抜群に面白かった。日本各地の地方に伝わる神隠しの口頭伝承、それと同時に山の人(つまり、仙人だ)について語られた説話を結び付け、山の人とは日本民族が定住する前からこの地に住んでいた先住民の末裔ではないかと推測するその論はとても刺激的だ。「我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遥かに物深い」という一言は、物語の起源に向き合い続けた者が持つ説得力がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論/研究
感想投稿日 : 2015年1月20日
読了日 : 2015年1月20日
本棚登録日 : 2015年1月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする