『みちたりた痛み』以来、ついつい甘糟りり子の作品には目が行ってしまう・・・
実在の有名ホテルを舞台にした恋愛模様10編である。ありふれた表現となってしまうが、ちょっとセレブな内容が満載である。こんな贅沢ができたら・・・というシーンがそこらここらに・・・しかし暮らしは優雅なれど必ずしも幸せとは限らない。そんな内容がそこらここらに描かれているのが甘糟りり子である。殊に女性の心理描写の描き方はちくちくとした痛みを伴うものがある。
10編それぞれであるが、破局的な結末ではなくてもなんだか幸せとはいいがたい・・・甘糟りり子の小説を読んでいると、男女の中の幸せを形作るのは曖昧で難しいということがよく伝わってくる。一見人が羨むような情景の中で、哀しさ切なさがちりばめられている作品であった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年9月28日
- 読了日 : 2011年7月17日
- 本棚登録日 : 2011年9月28日
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