僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意

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  • 東洋経済新報社 (2016年12月16日発売)
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本書は、池上彰・佐藤優両氏による、知識や教養の身につけ方、つまり「インプットの技法」の解説書である。

まず最も大切なことは、インプットをするためには、土台となる基礎知識が必要なこと。
新聞にせよ書籍にせよ、世の中の情報源は大抵「わかっている」人に向けて書かれている。
つまり基礎知識がなければ、そもそも読んでも理解出来ず、情報を入手することができない。

すなわちインプットの質を高めるには、相応に必要な基礎知識を身につける必要がある。
そのためには、歴史・公民・国語等の教科書を読み直すのが良い。
大人になって世の中のことを知ってから読めば、教科書もまた面白いものだと池上氏は語る。

基礎知識を身につけるための特効薬は無い。
時間をかけて、コツコツと積み上げていくしか無いのである。
だが一度身についてしまえば、それは後に大きな差になって現れるだろう。


他には、様々な情報媒体の使い方、知識の仕入れ方についても解説されてる。

まず新聞は、社会全体の出来事をざっと知るのに向いている。
情報の一覧性において、今でも新聞の右に出るものはいない。
見出しに目を通すだけでも、十分な効果がある。
1日5分程度でいいから、新聞に毎日目を通す習慣を身につけたい。

書籍は、深い知識を得るために必要である。
新聞の役割が「知る」ならば、書籍は「得る」ためにある。
やはり書籍で体系的な知識を得ていかなければ、物事の理解は深まっていかない。

読書のコツとしては、一番最初に「はじめに」と「終わりに」を読んでしまうのが良い。
一度全体のイメージを掴んでから読み始めることで、後々の記憶に大きな違いが生まれる。

また、書籍は非常にコストパフォーマンスが高い。
数千円かけて講演会や勉強会に出たとしても、それよりも本一冊から得る知識のほうがずっと多い。
なので、もし「良くないな」と思える本に出会ったら、無理して最後まで読まずに、さっさと次の本に移ることが肝要。

なおインターネット上の知識に関しては、「プリズム効果」について警鐘を鳴らしている。
ネットというのは、欲しい情報はいくらでも手に入る反面、自分の興味がない情報は一切見なくて済む。
つまりネットばかりしていると、自分の興味のあることだけに詳しくなり、それ以外の知識がどんどん衰えていき、視野が狭くなる。
こうないように気をつけたい。


他には、集中するための環境についての解説もされている。
「集中するためには、まず環境を整えよ」の格言の通り、何かに集中したいなら、まずはそのための環境を作ることが大切になる。

特に現代では、ネットに接続した環境が当たり前になっている。
だがSNSやネットサーフィン等の誘惑は非常に強烈で、それから逃れることはとても難しい。
そこで時には、「ネット断ち(デジタルデトックス)」をする勇気を持つ必要性を説いている。

特に佐藤氏は、誘惑を断つために、原稿執筆中はあえてネットに繋がらないワープロを使っているそうである。
プロらしい見事なこだわりだと思う。


自分は以前から池上彰さんの博識を尊敬しており、彼の勉強方法が学べるということで、本書を読んでみた。
内容はまさに期待通りで、もちろん丸ごと全部は無理でも、役に立つ部分はたくさんあった。

情報のインプットの仕方を、ここまで身近なレベルで解説した本は他にないだろう。
自分の知識を深めたいと思っているなら、是非読むべき一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学習
感想投稿日 : 2017年5月24日
読了日 : 2017年5月24日
本棚登録日 : 2017年5月24日

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