週刊東洋経済 2017年7/1号 [雑誌](残業禁止時代 働き方改革のオモテと裏)

  • 東洋経済新報社 (2017年6月26日発売)
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今号の特集は、「残業禁止時代」について。
政府が働き方改革として残業を抑える動きを取っているが、果たして各社の実態はどうなのか、またなぜ残業が減らないのか、などが書かれている。

まず残業の実態については、多い所は多い、ただし減らせる所は減らせている、といった所のようである。

残業削減の実例もいくつか載っているが、共通点としては、トップ主導で仕組みごと改善しているということ。
従業員が個別に生産性を上げていっても、程度到底たどり着ける目標ではない。
やはり大きな改革には、トップの強い意志と権限が必要なのだろう。

出来ている企業は出来ているので、きっと他の会社でも残業を減らせるはずである。
もちろん人ごとではない。
経営者の皆さんには是非頑張って欲しい所だ。

また残業が減らない理由については、アンケートによると、
・そもそも人手が足りない
・急な仕事が入る
・繁閑の差が激しい
がトップ3に当たるそうである。
なるほど、確かに納得できる。

これに対して自分は解決案を持ち合わせていないが、せめて1つ目の「そもそも人手が足りない」だけはどうにかしてもらいたいものである。
十分な人手を揃えられないのはマネジメント層の力不足であり、ましてやその責任を従業員に転化するなどあってはならない。
人が足りなくても無理に仕事をしなければ経営が回らないのなら、そのビジネスはもう終わっているのであろう。

社会全体で人手不足なのは分かるが、それは今後も避けられないので、どこかで大きな意識転換が必要ではないだろうか。


それ以外では、「ひと烈風録」の鏑木毅さんの記事がとても印象に残った。

山を駆け抜ける「トレイルランニング」の第一人者であり、なんと48歳で現役というのだからすごい。
高校・大学の陸上で挫折しつつも、就職してからトレイルランニングを始め、その後プロに転向したという意志の強さには感動すら覚える。

鏑木さんは、以下のように語っている。

『100マイルの長距離レースになると、最後は気持ちの勝負になるんです。
 走り続けるつらさを受け入れられない人は、2番、3番を走っていても棄権してしまう。
 逆境だらけの人生を送ってきたことが、耐える心に繋がる』と。

かつて挫折を味わったことが、今に繋がっている。
逆に言えば、過去に負けたことがあっても、それを次に活かすことができれば、それは負けではないのだろう。

挫折し、でも諦めず耐えて、ようやく花開いた人だからこそ出た言葉だろう。
なんとも勇気づけられる、素晴らしい言葉ではないか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 雑誌
感想投稿日 : 2017年7月18日
読了日 : 2017年7月18日
本棚登録日 : 2017年7月18日

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