「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる―――赤字知らずの小さなベンチャー「日本環境設計」のすごいしくみ
- ダイヤモンド社 (2015年10月17日発売)
「服から燃料ができるんじゃないか」という発想をふくらませ、ビジネスとして成立させている「日本環境設計」の岩元さんの本。「FUKUFUKUプロジェクト」のハチマークをイオンなどのスーパーや無印良品の店頭で見たことがある人もいるのではないでしょうか。あのプロジェクトの発起人の方です。
第1章は技術の話。服からどうやって燃料を作るのかということを詳しく書いてあります。第2章からはビジネスモデルの話で、どのようにプロジェクトを進めたか、何を重要視していたか、目標はどんなことかが書かれています。
「服から燃料を」という発想そのものもすごいと思うのですが、個人的には、「できたらいいな」で終わらせず、しっかり設計して実行できているのがまたすごいと思います。意外と思っていてもできないと思うからです。「リサイクルを根付かせ、戦争をなくす」という壮大な目的をもって技術開発をし、それをビジネスとして成立させるための設計をし、それを根付かせるための仕組みづくりをしています。この進め方や目標の実行プロセスへの落とし込み方は事例としても考え方としても参考になりました。
理想というのは描くのは簡単ですが、実現するのは難しい。しかし、「ならばどうすれば実現できるか」、本書のテーマである「リサイクル」の場合であれば、消費者にとって「どうすれば興味がわき、自発的にやりたくなるのか」という点を、消費者目線で検討し、仕組み化しています。正論の主張ばかりでなく、相手にとってのメリットを用意し、それを伝えることで取り組みの継続的な効果を実現しているのです。
相手の立場から「仕組みをつくること」と、「参加しやすくすること」、さらに「それを伝えること」。これらはどんなビジネスをやるにせよ、もっと小さく、普段の仕事をする時でも心がけていくべきことだと思いました。
なお、根本はリサイクルをテーマにした本であり、そういう会社の取り組みのことが書かれていますので、リサイクルに興味のある方には、そのしくみや技術のこともわかって面白いと思います。
- 感想投稿日 : 2016年2月23日
- 読了日 : 2016年2月23日
- 本棚登録日 : 2016年2月23日
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