大河ドラマ『平清盛』は不発だったが、司馬遼太郎も指摘しているように、平清盛と源頼朝こそが日本史上で傑出した政治家だ。しかし、頼朝がなぜそこまで評価される人物なのか、あまり知られていないのではないだろうか。軍事的天才だった義経を執拗に追い詰めて自殺に追い込んだことに象徴されるように、冷徹な独裁者という印象だが(トロツキーをメキシコまで追捕したスターリンに似ている)、じつは激しやすい性格の色男だったんだよというのが本書。頼朝は毛沢東がそうしたように、建国の立役者だった有力な坂東武者たちを粛清して、権力を確立していく。その一方で、直属の部下には細かい心配りのできる絵に描いたような為政者だった。著者はおよそ歴史書には似つかわしくない「汚い言葉」で頼朝や坂東武者たちの息吹を伝えようとしており、とても楽しく読めた。参考文献も豊富であり、源平合戦の歴史を勉強するガイドブックとしても利用できそう。さすがに『玉葉』、『吾妻鏡』、『平家物語』からはじめるのは難しいもんな・・・。
読書状況:読み終わった
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新書
- 感想投稿日 : 2013年1月12日
- 読了日 : 2013年1月6日
- 本棚登録日 : 2013年1月6日
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