「人文書」部門は2016年5月1日~2017年4月30日の期間に国内で発売された作品から10タイトルのノミネート作品を選出。その中から読者の投票によって大賞が決定しました。
人文書部門大賞
ブクログ大賞スタッフからのコメント
本作は現在における東浩紀さんの集大成であり現時点での到達点でありながら、まず驚くのがその「読みやすさ」にあります。ペダンチックな修辞やその裏の単なる感傷を徹底排除し「伝えること」を放棄していない。にも関わらずその情報量またその粒度の細かさに圧倒されます。また本著の参照文献の長大なリストの向こうにさらに膨大な書物の山が控えていることも分かります。だからこの読みやすさは「やさしく」はなくとても「こわい」ものです。古今東西思想・理論・文学にまで縦横無尽に駆け回る広大な領域横断性に氏は息切れしていません。その知力だけでなくその体力というか「腕力」に驚きます。書くことで分からせる。分からせるために書いている。領域横断すると嵌りがちな「帯に短し襷に長し」感もなく「帯にも襷にも長い」。おそらくはそんな帯や襷の用途のちんまりしたもの相手にする気がなく、もっと大きな何ものかを野蛮に掴もうとしているようです。この度はブクログ大賞受賞おめでとうございます!
投票してくれた皆さんからのコメント(一部)
- さらさらと、するすると読める哲学書。「観光」という言葉で、自分の中のもやっとしたものが可視化されてくる。(@izumi_sumie さん)
- 一見、「観光」と誰しもに取っ付きやすく見えて政治哲学を語ったすごく刺激的な本。支援!(@ture_tiru さん)
- 東さんの本はこれが初めて。非常にワクワクして、面白かったので投票。希望を感じた。動ポモも続けて読了しました。(@KanTaR60 さん)
- ここ数年で読んだ人文書の中でベスト。読書で世界の見方が変わる体験は久しぶりだよ。そして読後に偶然、仕事で観光に関わる事になり、妙な縁を感じている(@inumaro さん)
- 哲学書なのに司馬遼太郎を彷彿とさせる読みやすさ。ここで話はわき道にそれる…的な脚注。観光・アツいぜ。(@TakeHand7 さん)
- 僕は高校生で、人生経験が浅く、教養も無く、将来どうしていけばいいのかもわからないのですが、この本には自分を成長させる生き方や、興味深い社会分析など質の高いコンテンツが詰まっており、何回も読み直したいと思いました。「はじめに」や、参考文献からは著書の、この本に対する情熱が物凄く伝わってきて、改めてこの本の価値の高さを認識しました。ゲンロン0は、素晴らしい本なので、受賞してもらいたいです。(かとぽん さん)
- 新鮮な思想とそれをリアルタイムに感じる熱意のある一冊。文芸が力を失う時代の希望を感じさせる。(君乃 さん)
- 難題をすごくわかりやすい言葉で書いてくれています。これを読んでから、時事の捉まえ方が変わりました。読む価値のある本とはこれのことだと心底思っています。是非、この本がもっと沢山の人に読まれたらいいと思います。(マーブルネコ さん)
- 誰でもわかる文章で、現代の世界の仕組みについてわかりやすく書かれた会心の書。まるでミステリのような構成の巧みさとワクワク感に加え、取り扱うネタもアニメ映画にドストエフスキー、哲学史にネットワーク理論にインターネットと幅広く、独自の一貫した視点で読者を知の観光に誘います。哲学史をシンプルに整理してくれる哲学入門でありながら、本書自体が新しい哲学書でもあり、丁寧でわかりやすい語り口に導かれるうちに、現代の世界についての新しい視点を得られることでしょう。世界を飛び交うビジネスマンからひきこもりまで、あらゆる人にオススメしたい一冊。ぜひお手軽に手にとってみてはいかがでしょうか。(読書人ヤフー さん)
- 内容の高度さと読み易さとを両立させた筆力は圧巻の一言。アクチュアルでありつつ、長く読まれ得る普遍性も感じさせられた。また個人的には、娘が生まれたばかりの時期に読めたことも幸運だった。(Horingo さん)