「海外小説」部門は2017年5月1日~2018年7月31日の期間に国内で発売された作品から5タイトルのノミネート作品を選出。その中から読者の投票によって大賞が決定しました。

海外小説部門大賞
メダル

13・67

文藝春秋

陳浩基さんと担当編集者さんからのコメント

陳浩基 著/天野健太郎 訳 陳浩基さんの『13・67』にブクログ大賞をお贈りいただき、本当に有難うございます。
『13・67』は各篇に巧緻なプロットや趣向を凝らしたトリックが鏤められた本格ミステリー連作です。
同時に、香港という極めて特異な来歴を持った都市において、市民と権力のあいだで揺れる警察官たちのアイデンティティーを問い直す社会派ミステリーの側面も持ち合わせています。
今回、エンターテインメント小説から純文学まで幅広い候補作の中で皆様のご支持を集めることができた所以と思っております。
また本作のヒットが、これまで日本で知られていなかった華文ミステリー、華文エンタメ、華文小説が紹介される契機となってくれることを願ってやみません。

『13・67』担当編集者 文藝春秋・荒俣勝利

陳浩基 著/天野健太郎 訳

ブクログ大賞スタッフからのコメント

今年のブクログ大賞海外小説部門を制したのは、陳浩基さん著/天野健太郎さん訳『13・67』!「華文ミステリーと言ったって単なる海外ミステリーだろう」くらいに侮るなかれ。国際都市香港を舞台に2013年から1967年へと時間を遡るリバースクロノロジー(逆・年代記)の6編の連作中編は警察小説の形を借りながら「本格派」と「社会派」を美しく融合させたとんでもない怪作です。各話が本格ミステリとして良質な「謎解き」を仕込みながら、香港の戦後史をたどることで、波乱に満ちた「香港人の人生」を滲ませた良質な「香港文学」を読むようでもあります。多くのブクログレビュアも絶賛をおくった本作、華文ミステリー食わず嫌いな人も是非手に取ってみてください。
この度は受賞おめでとうございます。

投票してくれた皆さんからのコメント(一部)

  • 全体の構成も見事だが、何より香港という街の混沌とした雰囲気がよい。重厚で濃密。極上の華文ミステリ。(ぽんきちさん)
  • 章毎の当時の香港を感じながら楽しめました。何度も繰り返して読んでも毎回引き込まれてます。(らんまる小姐さん)
  • 見事な構成、場面が目に浮かぶようなスリリングな描写、とどれをとっても素晴らしい作品。華文ミステリーは初めて読みましたが、これほど素晴らしい作品に出会えて幸せを噛み締めたほどです。(あさみちゃんさん)
  • 時系列を遡る構成、張り巡らされた伏線。全てが収斂されていく最後はゾクゾクと肌が泡立ちました。文句無しに推薦します!(プリンさん)
  • 訳者あとがきでも記載あったように、ミステリだけでは括ってしまうことが勿体ないほどの文学性が高い小説です。一度訪れたことがある香港をとても懐かしく思い出しました。ウォン・カーウァイ映画化も楽しみにしています。(モットさん)
  • 噂の華文ミステリがこんなに面白いとは!世界的に絶賛に意味がよくわかりました。小さな円を折り重ねながら大きな円で収斂していく様は鳥肌が立ちました。最後まで驚かせてくれる力量に脱帽です。(れいさん)

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