今年で16回目を迎える「2019年本屋大賞」の結果発表と授賞式が、4月9日に明治記念館にて行われました。今年「いちばん!売りたい本」と全国書店員が選んだ大賞タイトルは、
瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』です!
おめでとうございます!
2019年本屋大賞ついに決定!大賞は瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』!
内容紹介
森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。
著者:瀬尾まいこ(せお・まいこ)さんについて
1974年生まれ。大谷女子大学国文科卒業。中学校国語講師を務めた後、2005年に教員採用試験合格、2011年に退職するまで中学校で国語教諭として勤務する傍らで執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでの著作で、代表作『幸福な食卓』、そして『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』が映画化されている。近刊『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補となり、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位に。
「家族と青春をテーマに、数々の名作を記す―瀬尾まいこさんおすすめ・代表作5選!」
青春小説、家庭小説を次々刊行しながら着実にファンを増やしてきた瀬尾さんですが、その中でも非常に高い評価を受けた『そして、バトンは渡された』がとうとう本屋大賞を獲得しました。瀬尾まいこさん、あらためましておめでとうございます!
今回は全国493書店から623人が一次投票に参加し、そのうちの308書店から371人が二次投票に参加しました。大賞と同時に、本屋大賞ノミネート作の全順位も発表されています。本屋大賞にノミネートされた作品ですから、全て定評があり、面白さが保障されている作品ばかりです。それでは、2位以降もご紹介してまいります。
2019年本屋大賞2位 小野寺史宜さん『ひと』(祥伝社)
内容紹介
激しく胸を打つ、青さ弾ける傑作青春小説!
母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師の父。女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の大学に進ませてくれた母。――その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の総菜屋で、買おうとしていた最後に残った五十円コロッケを見知らぬお婆さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。
そんな君を見ている人が、きっといる――。
著者:小野寺史宜(おのでら・ふみのり)さんについて
1968年千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。2008年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。2018年、『ひと』で「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」2位。
著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『カニザノビー』『牛丼愛 ビーフボウル・ラヴ』『ホケツ!』『ひりつく夜の音』『太郎とさくら』『本日も教官なり』『リカバリー』などがある。本作は『その愛の程度』『近いはずの人』に続く「夫婦三部作」のラストを飾る作品である。
2019年本屋大賞3位 深緑野分さん『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)
内容紹介
1945年7月、4カ国統治下のベルリン。恩人の不審死を知ったアウグステは彼の甥に訃報を届けるため陽気な泥棒と旅立つ。期待の新鋭、待望の書き下ろし長篇。
著者:深緑野分(ふかみどり・のわき)さんについて
1983年、神奈川県生まれ。神奈川県立海老名高等学校卒業。パート書店員を経て、専業作家に。2010年、短編「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞の佳作に入選、作家デビュー。同作は2013年に単行本で刊行。2016年、『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、第18回大藪春彦賞候補、第13回本屋大賞候補に。2017年、第66回神奈川文化賞未来賞(奨励賞)を受賞した。2018年、『ベルリンは晴れているか』で第160回直木賞ノミネート。
2019年本屋大賞4位 森見登美彦さん『熱帯』(文藝春秋)
内容紹介
世紀の奇書『熱帯』に惹かれ、秘密を解き明かさんと集まった“学団”によるソウダイなる追跡劇。世界の中心に横たわる謎、その正体は――? 読み出したら止まらない、ロマン溢れる冒険譚。
著者:森見登美彦(もりみ・とみひこ)さんについて
1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。
2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。
2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。
『きつねのはなし』『新釈 走れメロス 他四篇』など、京都を舞台にした作品が多い。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞にノミネートされた。
2019年本屋大賞5位 平野啓一郎さん『ある男』(文藝春秋)
内容紹介
愛したはずの夫は、まったくの別人であった。「マチネの終わりに」から2年。平野啓一郎の新たなる代表作!弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。
著者:平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)さんについて
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。生後すぐ父を亡くし、母の実家のた福岡県北九州市八幡西区で育つ。福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部卒業。在学中の1998年、『日蝕』を『新潮』に投稿し、新人としては異例の一挙掲載のうえ「三島由紀夫の再来」と呼ばれる華々しいデビューを飾った。翌1999年、『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞。
2009年『決壊』で平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2017年『マチネの終わりに』で第2回渡辺淳一文学賞をそれぞれ受賞。2014年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。『マチネの終わりに』は福山雅治と石田ゆり子主演で映画化が決まり、2019年秋に全国で公開予定となっている。
2019年本屋大賞6位 木皿泉さん『さざなみのよる』(河出書房新社)
内容紹介
小国ナスミ、享年43。その死は湖に落ちた雫の波紋のように家族や友人、知人へと広がり――命のまばゆさを描く感動と祝福の物語!
著者:木皿泉(きさら・いずみ)さんについて
日本の脚本家・作家で、和泉 務(いずみ つとむ)と妻鹿 年季子(めが ときこ)夫妻2人の共同ペンネーム。
『やっぱり猫が好き』から2人共作となり活動を続けている。『すいか』『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』などのテレビドラマの優れた脚本家として知られる一方、2013年に9年越しで書かれた初小説『昨夜のカレー、明日のパン』が極めて高い評価を受け、第11回本屋大賞(第2位)、第27回山本周五郎賞の候補に選出。自身の脚本によってドラマ化もされた代表作となる。小説第二作目、最新刊が本作『さざなみのよる』。
2019年本屋大賞7位 三浦しをん『愛なき世界』(中央公論新社)
内容紹介
恋のライバルが人間だとは限らない! 洋食屋の青年・藤丸が慕うのは「植物」の研究に一途な大学院生・本村さん。殺し屋のごとき風貌の教授やイモを愛する老教授、サボテンを栽培しまくる「緑の手」をもつ同級生など、個性の強い大学の仲間たちがひしめき合い、植物と人間たちが豊かに交差する――。本村さんに恋をして、どんどん植物の世界に分け入る藤丸青年。小さな生きものたちの姿に、人間の心の不思議もあふれ出し……風変りな理系の人々とお料理男子が紡ぐ、美味しくて温かな青春小説。
著者:三浦しをん(みうら・しをん)さんについて
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。
2019年本屋大賞8位 知念実希人さん『ひとつむぎの手』(新潮社)
内容紹介
大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば…。さらに、赤石が論文データを捏造したと告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。個性的な研修医達の指導をし、告発の真相を探るなか、怪文書が巻き起こした騒動は、やがて予想もしなかった事態へと発展していく―。
著者:知念実希人(ちねん・みきと)さんについて
1978年、沖縄県生まれ。医師。2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。その他の作品に『螺旋の手術室』(『ブラッドライン』改題作)、『優しい死神の飼い方』(死神シリーズ)、『天久鷹央の推理カルテ』シリーズなどがある。
2019年本屋大賞9位 芦沢央さん『火のないところに煙は』(新潮社)
内容紹介
本年度ミステリ・ランキングの大本命!この面白さ、《決して疑ってはいけない》……。「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
著者:芦沢央(あしざわ・よう)さんについて
1984年生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。著作に『今だけのあの子』『悪いものが来ませんように』『いつかの人質』『雨利終活写真館』『獏の耳たぶ』、『バック・ステージ』などがある。
2019年本屋大賞10位 伊坂幸太郎さん『フーガはユーガ』(実業之日本社)
内容紹介
常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
著者:伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)さんについて
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。
上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。
本屋大賞(ほんやたいしょう)とは
「本屋大賞」(ほんやたいしょう)とは2004年に設立された、書店員有志で組織するNPO法人「本屋大賞実行委員会」が運営する文学賞。キャッチコピーは「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」。一般の文学賞とは異なり作家・文学者は選考に加わらず、「新刊を扱う書店(オンライン書店を含む)の書店員」の投票によってノミネート作品および受賞作が決定される。過去一年の間、参加書店員が読み「面白かった」「お客様にも薦めたい」「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票。また「本屋大賞」は発掘部門も設け、過去に出版された本のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと書店員が思った本を選ぶ。
http://www.hontai.or.jp/about/index.html