今年で17回目を迎える「2020年本屋大賞」の結果発表が4月7日に行われました。今年「いちばん!売りたい本」と全国書店員が選んだ大賞タイトルは、
凪良ゆうさん『流浪の月』です!
おめでとうございます!
2020年本屋大賞ついに決定!大賞は凪良ゆうさん『流浪の月』(東京創元社)
内容紹介
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描く。
著者:凪良ゆう(なぎら・ゆう)さんについて
小説『花丸』冬の号「恋するエゴイスト」でデビュー。『雨降りvega』、『365+1』などの作品を手がける。主にボーイズラブ系で活動。主な作品に、『積木の恋』『未完成』『美しい彼』『ショートケーキの苺にはさわらないで』『おやすみなさい、また明日』『2119 9 29』『雨降りvega』など。『悩ましい彼 美しい彼3』がBLアワード2020 BEST小説部門第1位を獲得。
2020年本屋大賞2位 小川糸さん『ライオンのおやつ』(ポプラ社)
内容紹介
人生の最後に食べたいおやつは何ですか―
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
―食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
著者:小川糸(おがわ・いと)さんについて
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。また、『ライオンのおやつ』は第11回新井賞を受賞。
2020年本屋大賞3位 砥上裕將さん『線は、僕を描く』(講談社)
内容紹介
両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。
水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。描くのは「命」。
はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。
著者:砥上裕將(とがみ・ひろまさ)さんについて
1984年、福岡県生まれの水墨画家。大学時代に小説を書いていたが、水墨画を始めた後は画家として活躍を続けてきた。30歳を過ぎて再び小説を書き始める。メフィスト賞3度目の投稿となった水墨画を題材にした青春小説『線は、僕を描く』で、第59回メフィスト賞を受賞。2019年6月27日に『線は、僕を描く』をデビュー作として刊行、その作品力は広く評価され、『週刊少年マガジン』に漫画化も決まったことも話題となる。『線は、僕を描く』は、メフィスト賞のほかに「ブランチBOOK大賞2019」受賞、「未来屋小説大賞」第3位、「キノベス!2020」第6位など、大きな注目を集めた。
2020年本屋大賞4位 横山秀夫さん『ノースライト』(新潮社)
内容紹介
一家はどこへ消えたのか?空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?
一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた古ぼけた「タウトの椅子」を除けば……。このY邸でいったい何が起きたのか?
著者:横山秀夫(よこやま・ひでお)さんについて
1957年東京都生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業。1979年に上毛新聞に記者として勤務。『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞したのをきっかけに退社。以後フリーランスライターとして活動。1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞し小説家デビュー。2000年『動機』で第53回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。2002年『半落ち』が「このミステリーがすごい!」1位となり、第128回直木賞候補作となるが、そこで起きた様々な論議から、直木賞決別宣言を出すに至る。『半落ち』は2004年に映画化されて高い評価を得ている。その後、2004年『クライマーズ・ハイ』で第1回本屋大賞第2位、映画化されヒット。2013年刊行の『64(ロクヨン)』で第10回本屋大賞第2位、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」各1位を勝ち取り、大ヒットとなった。
2020年本屋大賞5位 川越宗一さん『熱源』(文藝春秋)
内容紹介
樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。
日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。
著者:川越宗一(かわごえ・そういち)さんについて
1978年、鹿児島県生まれ。龍谷大学文学部史学科中退し、バンド活動を経て会社員として勤めるかたわら、2018年に『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞し、作家デビュー。2019年、『熱源』が第9回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞し、2020年に第162回直木賞を受賞した。
2020年本屋大賞6位 相沢沙呼さん『medium霊媒探偵城塚翡翠』(講談社)
内容紹介
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。
著者:相沢沙呼(あいざわ・さこ)さんについて
1983年、埼玉県生まれ。2009年に『午前零時のサンドリヨン』で鮎川哲也賞を受賞しデビュー。同作から始まる“酉乃初の事件簿シリーズ”(東京創元社)のほか、『小説の神様』(講談社タイガ)、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社)などの著作がある。
2020年本屋大賞7位 川上未映子さん『夏物語』(文藝春秋)
内容紹介
大阪の下町に生まれ育ち、東京で小説家として生きる38歳の夏子には「自分の子どもに会いたい」という願いが芽生えつつあった。パートナーなしの出産の方法を探るうち、精子提供で生まれ、本当の父を捜す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言い、子どもを願うことの残酷さを夏子に対して問いかける。この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか――。
著者:川上未映子(かわかみ・みえこ)さんについて
1976年大阪府生まれ。大阪市立工芸高等学校卒業。2002年から数年は歌手活動を行っていた。自身のブログをまとめたエッセイ『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で単行本デビュー。2007年『わたくし率 イン 歯ー、または世界』『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞、2008年『乳と卵』で芥川賞、2009年詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、2010年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞、2013年詩集『水瓶』で高見順賞、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、2016年『マリーの愛の証明』でGRANTA Best of Young Japanese Novelists、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞を受賞。2017年、『早稲田文学増刊 女性号』で責任編集を務める。2019年7月11日に『夏物語』を刊行し、注目を集めている。
2020年本屋大賞8位 知念実希人さん『ムゲンのi』(双葉社)
内容紹介
若き女医は不思議な出会いに導かれ、人智を超える奇病と事件に挑む。眠りから醒めない四人の患者、猟奇的連続殺人、少年Xの正体――すべては繋がり、世界は一変する。
眠りから醒めない謎の病気〈特発性嗜眠症候群〉通称イレスという難病の患者を3人も同時に抱え、識名愛衣は戸惑っていた。霊能力者である祖母の助言により、患者を目醒めさせるには、魂の救済〈マブイグミ〉をするしか方法はないと知る。愛衣は祖母から受け継いだ力を使って患者の夢の世界に飛び込み、魂の分身〈うさぎ猫のククル〉と一緒にマブイグミに挑む――。
著者:知念実希人(ちねん・みきと)さんについて
1978年、沖縄県生まれ。医師。2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。その他の作品に『螺旋の手術室』(『ブラッドライン』改題作)、『優しい死神の飼い方』(死神シリーズ)、『天久鷹央の推理カルテ』シリーズなどがある。2018年の本屋大賞に『崩れる脳を抱きしめて』が、2019年の本屋大賞に『ひとつむぎの手』がそれぞれノミネートされた。
2020年本屋大賞9位 早見和真さん『店長がバカすぎて』(角川春樹事務所)
内容紹介
「幸せになりたいから働いているんだ」
谷原京子、28歳。独身。とにかく本が好き。現在、〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員。山本猛という、名前ばかり勇ましい、「非」敏腕店長の元、文芸書の担当として、次から次へとトラブルに遭いながらも、日々忙しく働いている。あこがれの先輩書店員小柳真理さんの存在が心の支えだ。そんなある日、小柳さんに、店を辞めることになったと言われ……。
著者:早見和真(はやみ・かずまさ)さんについて
1977年、神奈川県生まれ。國學院大學文学部在学中にライターとして活動。全国紙新聞社に就職する予定が度重なる留年で内定取り消しに。出版社編集者から小説執筆を勧められ、書き上げた作品『ひゃくはち』で2008年作家デビューするに至る。同作は映画化、コミック化されベストセラーとなる。
2014年、『ぼくたちの家族』が映画化、2015年、『イノセント・デイズ』が第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞、テレビドラマ化され代表作となる。ほか、『スリーピング・ブッダ』『東京ドーン』『6 シックス』『ポンチョに夜明けの風はらませて』『小説王』『神様たちのいた街で』などがある。
2020年本屋大賞10位 青柳碧人さん『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(双葉社)
内容紹介
鬼退治。桃太郎って……えっ、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン埋まっているのは……ええ!?昔ばなし×ミステリ。読めば必ず誰かに話したくなる、驚き連続の作品集。「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。
著者:青柳碧人(あおやぎ・あいと)さんについて
1980年、千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。早稲田大学クイズ研究会OB。『浜村渚の計算ノート』で第3回「講談社Birth」小説部門を受賞しデビュー。
翻訳小説部門1位
発掘部門「超発掘本!」
本屋大賞(ほんやたいしょう)とは
「本屋大賞」(ほんやたいしょう)とは2004年に設立された、書店員有志で組織するNPO法人「本屋大賞実行委員会」が運営する文学賞。キャッチコピーは「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」。一般の文学賞とは異なり作家・文学者は選考に加わらず、「新刊を扱う書店(オンライン書店を含む)の書店員」の投票によってノミネート作品および受賞作が決定される。過去一年の間、参加書店員が読み「面白かった」「お客様にも薦めたい」「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票。また「本屋大賞」は発掘部門も設け、過去に出版された本のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと書店員が思った本を選ぶ。
http://www.hontai.or.jp/about/index.html