こんにちは、ブクログ通信です。
今年で19回目を迎える「2022年本屋大賞」の結果発表が、4月6日に行われました。
今年「いちばん!売りたい本」と全国書店員が選んだ大賞タイトルは、
逢坂冬馬さん『同志少女よ、敵を撃て』です!
おめでとうございます!
その他のランキング順位は、以下でご紹介いたします。
各作品のレビューも掲載していますので、併せてチェックしてみてくださいね。
2022年本屋大賞作
大賞 逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)

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内容紹介
1942年、独ソ戦の最中。モスクワ近郊の村に住む狩りの名手セラフィマは、ドイツ軍の襲撃により日常を奪われた。母を殺された復讐を誓うセラフィマは、女性狙撃小隊に入隊しスターリングラードの前線に立つ——。
著者:逢坂冬馬(あいさか・とうま)さんについて
1985年生まれ。35歳。埼玉県在住。『同志少女よ、敵を撃て』にて、第11回「アガサ・クリスティー賞」大賞受賞。
普段読まないジャンルだし難しそうだし厚いし読みきれないかもなぁという不安をよそに夢中になって一気読みしました!ざっくりのあらすじと感想書く前に登録してしまったので、後ほど更新したいです。最近進撃の巨人を読んでいるので少し近い感じでした、好きな方はきっとこちらも好きだと思います。個人的には大変おすすめです。
2位 青山美智子『赤と青とエスキース』(PHP研究所)
内容紹介
メルボルンの若手画家が描いた、一枚の「絵画(エスキース)」。日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく——。二度読み必須の仕掛けに満ちた、青山美智子さんの傑作連作短篇集。
著者:青山美智子(あおやま・みちこ)さんについて
1970年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務する。その2年後に帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動を開始する。第28回「パレットノベル大賞」で佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』は、第1回「宮崎本大賞」を受賞し、同作は『猫のお告げは樹の下で』とともに「未来屋小説大賞」に入賞した。
青山美智子の赤と青のエスキースを読みました。エスキースと言う言葉は建築を学ぶ人なら誰でも知っていると思いますが、本来の意味は美術で下絵のことを言うのですね。舞台はメルボルンと日本とで時間が緩やかに流れていきます。それぞれの想いが良く表現されていて面白かったです。映画になりそうな話でした
3位 一穂ミチ『スモールワールズ』(講談社)
内容紹介
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。
著者:一穂ミチ(いちほ・みち)さんについて
2008年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。劇場版アニメ化もされ話題の『イエスかノーか半分か』など著作多数。
凪良ゆうに続きまたしてもBL業界から新人作家が登場したと言う感じだ、6遍の短編作品がそれぞれ輝いていた。1話と2話が微妙なバトンタッチをしていったので、こういう感じで続くのかなと思っていたら、作品は全て独立しているようであった、6話がひょっとして1話の少年かと思われたが、環境が違いすぎた。本当にスモールワールドで起きる小さい出来事に過ぎないのに胸を打つ作品ばかりだった。ただ「流浪の月」と違って短編作品なので本屋大賞とまではいかないかもしれない、今回の候補作はどれもレベルが高い。
4位 朝井リョウ『正欲』(新潮社)
内容紹介
不登校の息子がいる検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。一つの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。その繋がりは、”多様性を尊重する時代”にはひどく不都合なものだった——。これは共感を呼ぶ傑作か、目を背けたくなる問題作か。あなたの想像力の外側を行く、朝井リョウさん気迫の書き下ろし長篇。
著者:朝井リョウ(あさい・りょう)さんについて
1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年『チア男子!!』で高校生が選ぶ天竜文学賞し、13年『何者』で直木賞、14年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞を受賞した。
「あらゆる違いを認め、多様性として受け入れる」「多様性を活用する 」等の文脈において「多様性」が機能しているのは、性や宗教など一部の象徴的な性質であることを前提とし、個人のイメージできる事柄の範疇に留まっているのではないか。そもそも個人の目に見えない指向や性質を、多様性という言葉で一括りにしてしまったことが、大衆が共通的に認識できる性質に限定された一因であったようにも思う。多様性という言葉がなかった時代よりも救われた人もいれば、言葉が生まれてもなお帰属意識や自己肯定との折り合いに生きづらさを感じる人の存在に気付かされた。
5位 浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』(KADOKAWA)
内容紹介
成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が面接に臨む中、六通の封筒が発見される。そこには、六人それぞれが過去に犯した「罪」が告発されていた——。犯人は誰か?究極の心理戦がスタートする。
著者:浅倉秋成(あさくら・あきなり)さんについて
1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』など。
読む前に描いていた勝手な想像とは全く違いました。もう少しライトノベルっぽいのかと。ストーリー展開は、わりかしあっさりと種が明かされたり、伏線を回収したり、となかなかこれまであまり読んだことのないタイプでした。本屋大賞ノミネート作品らしく、面白いです。
6位 西加奈子『夜が明ける』(新潮社)
内容紹介
現代日本に存在する貧困、虐待、過重労働——。まだ光は見えない。それでも僕たちは夜明けを求めて歩き出す。思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、変わりゆく日々を生きる奇跡とは。「当事者ではない」葛藤を抱えながらも、社会の一員として作家のエゴとして全力で書いた、西加奈子さん渾身の一作。
著者:西加奈子(にし・かなこ)さんについて
1977年テヘラン生まれ。2004年『あおい』でデビュー。15年『サラバ!』で直木賞、07年『通天閣』で織田作之助賞、13年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞を受賞。著書に『i』『おまじない』他。
現実にある日本社会そのままを描いているよう…。高校生男子2人が出会ってから33歳になるまでのこと。虐待、貧困、過重労働、モラハラ等々目を塞ぎたくなるような事が次々と。とんでもない…と思うことが、普通にある今。これでいいわけがない。息をひそめているだけではだめ。だが、何ができるのだろう…。叫びたいけど叫べない、もどかしさを感じた。
7位 小田雅久仁『残月記』(双葉社)
内容紹介
近未来の日本、悪名高き独裁政治下。世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描いた物語。「月」をモチーフにした異世界に足を踏み入れたら最後、もう現実には戻れない——。
著者:小田雅久仁(おだ・まさくに)さんについて
1974年生まれ、宮城県出身。小説家、ファンタジー作家。関西大学法学部政治学科卒業。2009年『増大派に告ぐ』で、第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビューした。2013年『本にだって雄と雌があります』で、第3回「Twitter文学賞国内部門」の第1位を獲得した。
2022-03-14圧巻。ホラーでありダークファンタジーであり奇想である。3編が収められているが、共通点は「月」の恐ろしさ。「そして月がふりかえる」は日常が一瞬にして壊れ「月景石」は夢と現実の曖昧さ。「残月記」は改変歴史と夢と格闘と恋愛と。どの物語も因果応報ではない運命が根底に横たわる。絶品。
8位 知念実希人『硝子の塔の殺人』(実業之日本社)
内容紹介
雪深き森で燦然と輝く硝子の塔に、刑事、霊能力者、小説家、料理人などのゲストたちが招かれた。だがその館の主人が毒殺され、ダイニングで火事が起きたりと惨劇が続く。さらに、死体の血文字で記された十三年前の事件……。その謎を解くべく、名探偵・碧月夜と医師の一条遊馬が立ち上がった。散りばめられた伏線に隠された、驚愕のラストとは——。
著者:知念実希人(ちねん・みきと)さんについて
1978年、沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。12年、同作を改題、『誰がための刃』で作家デビュー(19年『レゾンデートル』として文庫化)。「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年『仮面病棟』が啓文堂文庫大賞を受賞、ベストセラーに。『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi(上・下)』で、18年、19年、20年本屋大賞連続ノミネート。『優しい死神の飼い方』『時限病棟』『リアルフェイス』『レフトハンド・ブラザーフッド』『誘拐遊戯』『十字架のカルテ』『傷痕のメッセージ』など著書多数。今もっとも多くの読者に支持される、最注目のミステリー作家。
物語の冒頭から一気に小説の中に引き込まれました。硝子の塔での密室殺人が次々と起こり始めます。読者の皆さんに謎解きを呼び掛けたり、読んでるこちらも受け身ではなく、参加してるような気持ちになりました。何より実在するミステリー本がどんどん話の中に登場し、読みながら、あれもこれも読みたい〜!と自分の本棚へ登録した本が数十冊。医師で作家なんて羨ましい経歴の作者の人生、同じ人生なのに、こんな創作が書けるなんて…。久しぶりに流れるようなストーリーとしっかりしたあらすじ、飽きることなく仕掛けられたトリックなどなど、最後まで読みたいと思って、そして読み終えて、出会えて良かったぁーと思えた一冊でした。
9位 米澤穂信『黒牢城』(KADOKAWA)
内容紹介
「本能寺の変」の四年前。織田信長に反旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、ある難事件に翻弄される。村重は、土牢の囚人で織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるも……。「直木賞」受賞作!
著者:米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さんについて
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。
「安楽椅子探偵」ならぬ「土牢探偵」。信長に反旗を翻した荒木村重に有岡城に監禁されていた黒田官兵衛が探偵役。有岡城内での事件を官兵衛が解く四つの短編からなる連作集だが…。 これら事件の謎とともに、なぜ村重は信長に謀反したのか? なぜ官兵衛を殺さなかったのか? なぜ一人で城を脱出したのか? これらの歴史的な謎(?)についても書かれている。さすが米澤穂信先生だ。単なるミステリーではなく、歴史小説になっているところがスゴイ。
10位 町田そのこ『星を掬う』(中央公論新社)
内容紹介
小学一年生の夏休み。母と二人で旅をして、私は母に捨てられた。ラジオ番組の賞金ほしさに、千鶴は過去の思い出を投稿した。それを聞いた母の「娘」を名乗る恵真との出会いをきっかけに、母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、母の姿は千鶴の記憶する姿ではなく——。
著者:町田そのこ(まちだ・そのこ)さんについて
1980年生まれ。福岡県在住。「カルメーンの青い魚」で、第十五回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他に『ぎょらん』(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)がある。
タイトルである「星を掬う」とは、過去の記憶という星を掬い取って思い出すという意味である。幼いころに分かれた母娘。そして大人になった娘は元夫からDVを受けるなど希望のない日々を送っていた。ひょんなことから母親と再会し同居することになった母娘。母親は二人の女性との同居生活を送っていた。同居生活を通して母娘の過去が少しずつ紐解かれ、さらに二人の同居人の過去も明らかになり、それぞれの思いが交錯していく。物語の舞台は同居生活を送る元社員寮という狭い空間であるが、そこを舞台に各人が抱える深く広い過去が描かれている。先の展開が読めない中で時間を忘れて読み進められる素晴らしい小説である。
翻訳小説部門
ソン・ウォンピョン『三十の反撃』

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著者:ソン・ウォンピョンさんについて
1979年生まれ。2016年、長編小説『アーモンド』で第十回チャンビ青少年文学賞を受賞。短編集に『他人の家』、長編小説に『三十の反撃』『プリズム』がある。現在、映画監督、シナリオ作家としても活躍している。
発掘部門「超発掘本!」
吉村昭『破船』(新潮文庫)

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著者:吉村昭(よしむら・あきら)さんについて
一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。
いかがでしたか?みなさんの予想は当たったでしょうか?まだ読んだことのない作品がありましたら、ぜひ手にとってみてくださいね。
本屋大賞(ほんやたいしょう)とは
「本屋大賞」(ほんやたいしょう)とは2004年に設立された、書店員有志で組織するNPO法人「本屋大賞実行委員会」が運営する文学賞。キャッチコピーは「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」。一般の文学賞とは異なり作家・文学者は選考に加わらず、「新刊を扱う書店(オンライン書店を含む)の書店員」の投票によってノミネート作品および受賞作が決定される。過去一年の間、参加書店員が読み「面白かった」「お客様にも薦めたい」「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票。また「本屋大賞」は発掘部門も設け、過去に出版された本のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと書店員が思った本を選ぶ。
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