「新書大賞2022」発表!大賞から上位10タイトルの内容紹介と著者情報を一挙紹介!

こんにちはブクログ通信です。

今年で15回目を迎える「新書大賞2022」が決定しました!「新書大賞」は、中央公論新社が主催する1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。今回の「新書大賞2022」では、2020年12月~2021年11月に刊行された1300点以上の新書を対象に、有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など新書に造詣の深い方々105人に投票した結果、

小島庸平さん『サラ金の歴史』(中公新書)が大賞に輝きました! おめでとうございます!

それでは、上位10作品をご紹介してゆきます。2022年話題の新書が目白押しですので、ぜひ手にとってみてください!尚、20位までのランキングと有識者49名の講評など詳細は、2022年2月10日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。

中央公論 2022年 03 月号 [雑誌]
中央公論 2022年 03 月号 [雑誌]
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新書大賞2022

大賞受賞作 小島庸平『サラ金の歴史-消費者金融と日本社会』(中公新書)

サラ金の歴史-消費者金融と日本社会 (中公新書 2634)
小島庸平『サラ金の歴史-消費者金融と日本社会 (中公新書 2634)
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内容紹介

誰もが見聞きはしたことのあるサラ金や消費者金融。しかし、その業態は、日本経済のうねりの中で大きく変化して現在の姿となったものだ。好景気や金融技術の発展で躍進するも、バブル崩壊や社会問題化に翻弄された業態について、家計やジェンダーなど多様な視点から読み解き、日本経済の知られざる一面を照らす。

著者:小島庸平(こじま・ようへい)さんについて

1982年東京生まれ。東京大学大学院経済学研究科准教授。2011年、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。東京農業大学国際食料情報学部助教などを経て現職。著書『大恐慌期における日本農村社会の再編成』(ナカニシヤ出版、2020年、日経・経済図書文化賞受賞)共著『昭和史講義2』(ちくま新書,2016年)、『戦後日本の地域金融』(日本経済評論社,2019年)など。

小島庸平さんの作品一覧

第2位 小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』(講談社現代新書)

内容紹介

なぜ私たちは“死ななければならない”のか?年を重ねるにつれて体力は衰え、肉体や心が徐々に変化する。老化は死へのサインであり、私たちにとって「死」は、絶対的な恐るべきものとして存在する。しかし生物学の視点から見ると、すべての生き物、つまり私たち人間が死ぬことにも「重要な意味」があるのだ。その意味とはいったい何なのか。そして、人類が生み出した”死なないAI”と“死ぬべき人類”は、これからどのように付き合っていくべきなのだろうか。

著者:小林武彦(こばやし・たけひこ)さんについて

1963年生まれ。神奈川県出身。九州大学大学院修了(理学博士)、基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て、東京大学定量生命科学研究所教授(生命動態研究センター ゲノム再生研究分野)。前日本遺伝学会会長。現在、生物科学学会連合の代表も務める。生命の連続性を支えるゲノムの再生(若返り)機構を解き明かすべく日夜研究に励む。海と演劇をこよなく愛する。著書に『寿命はなぜ決まっているのか』(岩波書店)、『DNAの98%は謎』(講談社ブルーバックス)など。

小林武彦さんの作品一覧

第3位 伊藤俊一『荘園-墾田永年私財法から応仁の乱まで』(中公新書)

内容紹介

農業経営と領地支配の仕組みとして、日本中世の政治・経済・社会の根幹をなした荘園制の全体像を分かりやすく解説。

著者:伊藤俊一(いとう・しゅんいち)さんについて

1958年、愛知県生まれ。京都大学大学院文学研究科に進み、博士(文学)を取得。名城大学人間学部教授。専門分野は日本中世史。著書に『室町期荘園制の研究』(塙書房)など。

伊藤俊一さんの作品一覧

第4位 堤未果『デジタル・ファシズム: 日本の資産と主権が消える』(NHK出版新書)

内容紹介

コロナ禍の裏で、デジタル改革という名のもとに「売国ビジネス」が進行した。GAFAやBATHなど巨大海外資本は今、デジタル化で規制緩和される日本の公共を狙っている。デジタル庁、スマートシティ、GIGAスクール構想…分野を横断して見ると浮かび上がるのは、多様性が破壊され画一化が進むだけでなく、知らぬ間に日本の資産と主権が外国企業に奪われる。気鋭の国際ジャーナリストが緻密な取材と膨大な資料をもとに明かす、「日本デジタル化計画」の恐るべき秘密とは?

著者:堤未果(つつみ・みか)さんについて

国際ジャーナリスト。東京生まれ。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒。ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券などを経て、米国の政治、経済、医療、教育、農政、公共政策、エネルギーなどをテーマに、現場取材と公文書による調査報道で活躍中。講演・各種メディアに出演。多数の著書は海外でも翻訳されている。『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞、『ルポ 貧困大国アメリカ』(三部作、岩波新書)で中央公論新書大賞、日本エッセイストクラブ賞受賞。『沈みゆく大国アメリカ』(二部作、集英社新書)、『政府は必ず嘘をつく』(二部作、角川新書)、『核大国ニッポン』(小学館新書)、『社会の真実の見つけかた』(岩波ジュニア新書)、『アメリカから〈自由〉が消える』(扶桑社新書)他著書多数。夫は参議院議員の川田龍平氏。

堤未果さんの作品一覧

第5位 東浩紀『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ)

内容紹介

「数」の論理と資本主義が支配するこの残酷な世界で、人間が自由であることは可能なのか?一見、華々しい戦績の裏にあったのは、仲間の離反や資金のショート、組織の腐敗、計画の頓挫など、予期せぬ失敗の連続だった。悪戦苦闘をへて紡がれる哲学とは?

著者:東浩紀(あずま・ひろき)さんについて

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)ほか多数。

東浩紀さんの作品一覧

第6位 濱口桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何か: 正社員体制の矛盾と転機』(岩波新書 新赤版)

内容紹介

前著『新しい労働社会』で提示した「ジョブ型」という概念だが、今や似ても似つかぬ「ジョブ型論」が蔓延っている。ジョブ型とは何であるかを基礎の基礎から解説し、ジョブ型とメンバーシップ型の対比を用いて日本の労働問題の各論を考察する。

著者:濱口桂一郎(はまぐち・けいいちろう)さんについて

*2008.11.17現在労働政策研究・研修機構労使関係・労使コミュニケーション部門

濱口桂一郎さんの作品一覧

第7位 武井彩佳『歴史修正主義-ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』(中公新書)

内容紹介

ナチによるユダヤ人虐殺といった史実について、意図的に歴史を書き替える歴史修正主義。フランスでは反ユダヤ主義者の表現、ドイツではナチ擁護として広まる。1980年代以降は、ホロコースト否定論が世界各地で噴出。独仏では法規制、英米ではアーヴィング裁判を始め司法で争われ、近年は共産主義の評価をめぐり東欧で拡大する。100年以上に及ぶ欧米の歴史修正主義の実態を追い、歴史とは何かを問いた一冊。

著者:武井彩佳(たけい・あやか)さんについて

1971(昭和46)年愛知県生まれ。94年早稲田大学第一文学部史学科卒業。2001年早稲田大学文学研究科史学専攻博士課程修了。01~04年日本学術振興会特別研究員。04年博士(文学・早稲田大学)。早稲田大学比較法研究所助手などを経て、学習院女子大学国際コミュニケーション学科教授。専攻・ドイツ現代史,ホロコースト研究。著書『戦後ドイツのユダヤ人』(白水社,2005年)、『ユダヤ人財産は誰のものか——ホロコーストから,パレスチナ問題へ』(白水社,2008年)、『〈和解〉のリアルポリティクス——ドイツ人とユダヤ人』(みすず書房,2017年)。訳書D・ストーン著『ホロコースト・スタディーズ——最新研究への手引き』(白水社,2012年)。監訳W・ロワー著『ヒトラーの娘たち——ホロコーストに加担したドイツ女性』(明石書店,2016年)。

武井彩佳さんの作品一覧

第8位 芝健介『ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌』(中公新書)

内容紹介

ヒトラー政権下、ナチ・ドイツによって組織的に行われたユダヤ人大量殺戮=ホロコースト。「劣等民族」と規定されたユダヤ人は、第二次世界大戦中に600万人が虐殺される。だが、ヒトラーもナチ党幹部も、当初から大量殺戮を考えていたわけではなかった。ナチスのユダヤ人政策が、戦争の進展によって「追放」からアウシュヴィッツ絶滅収容所に代表される巨大な「殺人工場」に行き着く過程と、その実態を描く。

著者:芝健介(しば・けんすけ)さんについて

1947年、愛媛県生まれ。東京女子大学名誉教授。専門はドイツ現代史。著書に『武装SS——ナチスもう一つの暴力装置』(講談社選書メチエ)、『ホロコースト——ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌』(中公新書)、『ニュルンベルク裁判』(岩波書店)など、訳書に『総統国家——ナチスの支配 1933-1945年』(岩波書店)、『ファシズム時代のシオニズム』(叢書・ウニベルシタス)、『二つのドイツ——1945-1990』(岩波書店)、共訳書に『ホロコースト大事典』(柏書房)、監修に『星をつけた子供たち——ナチ支配下のユダヤの子供たち』(創元社)など、ナチ関連書多数。

芝健介さんの作品一覧

第9位 橘玲『無理ゲー社会』(小学館新書)

内容紹介

才能ある者にとってのユートピアは、それ以外の者にとってはディストピア。「知能と努力」によって成功できるメリトクラシー社会では、「知能格差」が経済格差に直結する。遺伝ガチャで人生は決まるのか?「自由で公正なユートピア」は実現可能なのだろうか——。

著者:橘玲(たちばな・あきら)さんについて

作家。1959年生まれ。2002年国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。2006年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補となる。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラー、『言ってはいけない残酷すぎる真実』(新潮新書)が48万部を超え新書大賞2017に。著書多数。

橘玲さんの作品一覧

第10位 伊藤亜紗『「利他」とは何か』(集英社新書)

内容紹介

コロナ禍で見えてきた、他者と関わりに関する問題。そこで浮上するのが「利他」というキーワードだ。他者のために生きるという側面なしに、この危機は解決しないためである。だが道徳的な基準で自己犠牲を強い、合理的に他者に介入していくことは、果たしてよりよい社会の契機になるのだろうか?

著者:伊藤亜紗(いとう・あさ)さんについて

1979年、東京生まれ。東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長。同リベラルアーツ研究教育院教授。専門は美学、現代アート。主な著作に『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』(講談社学術文庫)、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社選書メチエ)など。一連の体をめぐる著作で、2020年サントリー学芸賞を受賞。

伊藤亜紗さんの作品一覧


新書大賞(しんしょたいしょう)とは

2008年に創設された中央公論新社が主催する新書に関する賞。1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。 今回で第15回を数える同賞は、第1回に福岡伸一さん『生物と無生物のあいだ』、第2回は堤未果さん『ルポ 貧困大国アメリカ』、第3回は内田樹さん『日本辺境論』を大賞に選出し出版界に大きな反響を呼ぶ。2022年は小島庸平『サラ金の歴史-消費者金融と日本社会』(中公新書)が大賞に輝く。
https://www.chuko.co.jp/special/shinsho_award/

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