こんにちはブクログ通信です。
今年で16回目を迎える「新書大賞2023」が決定しました!「新書大賞」は、中央公論新社が主催する1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。今回の「新書大賞2023」では、2021年12月~2022年11月に刊行された1200点以上の新書を対象に、有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など新書に造詣の深い方々106人が投票した結果、
千葉雅也さん『現代思想入門』が大賞に輝きました!
それでは、上位10作品をご紹介してゆきます。2023年話題の新書が目白押しですので、ぜひ手にとってみてください!尚、20位までのランキングと、有識者48名の講評など詳細は、2023年2月10日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。
新書大賞2023
千葉雅也『現代思想入門』
稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』
篠田謙一『人類の起源』
渡辺努『世界インフレの謎』
東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』
國分功一郎『スピノザ——読む人の肖像』
成田悠輔『22世紀の民主主義』
和田秀樹『80歳の壁』
筒井清輝『人権と国家』
レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』
大賞作 千葉雅也『現代思想入門』(講談社現代新書)

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内容紹介
人生を変える哲学が、ここにある——。現代思想の真髄をかつてない仕方で書き尽くした、「入門書」の決定版。
著者:千葉雅也(ちば・まさや)さんについて
1978年、栃木県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は哲学・表象文化論。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。著書に『動きすぎてはいけない』(河出文庫、第4回紀伊國屋じんぶん大賞、第五回表象文化論学会賞)、『ツイッター哲学』(河出文庫)、『勉強の哲学』(文春文庫)、『思弁的実在論と現代について』(青土社)、『意味がない無意味』(河出書房新社)、『デッドライン』(新潮社、第41回野間文芸新人賞)、『ライティングの哲学』(共著、星海社新書)、『オーバーヒート』(新潮社、「オーバーヒート」第165回芥川賞候補、「マジックミラー」第45回川端康成文学賞)など。
第2位 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ——コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)

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内容紹介
なぜ、映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか——。それで作品を味わったといえるのか?一体何がそうした視聴スタイルを生んだのか?いま、映像や出版コンテンツはどのように受容されているのか?あまりに巨大すぎる消費社会の実態をあぶり出す意欲作。
著者:稲田豊史(いなだ・とよし)さんについて
1974年、愛知県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、映画配給会社に入社。ゲーム業界誌の編集記者、DVD業界誌の編集長を務めた後、出版社の書籍編集者を経て、2013年にフリーランスの編集者・ライターとして独立。著書に『セーラームーン世代の社会論』『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』『ぼくたちの離婚』『「こち亀」社会論 超一級の文化史料を読み解く』『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ——コンテンツ消費の現在形』などがある。
第2位 篠田謙一『人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』(中公新書)

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内容紹介
古人骨に残ったDNAを解読し、ゲノム(遺伝情報)を手がかりに人類の足跡をたどる古代DNA研究。近年、分析技術の向上にともなって、飛躍的な進展を見せる。60万年前のホモ・サピエンス誕生から「出アフリカ」を経て、人類はどのように世界に広がったか。ネアンデルタール人やデニソワ人との分岐・交雑の実態から、日本人のルーツの最新説まで、分子人類学の第一人者が最先端の研究を渉猟し、人類の起源の謎に迫る。
著者:篠田謙一(しのだ・けんいち)さんについて
1955年生まれ。京都大学理学部卒業.博士(医学).佐賀医科大学助教授を経て、現在、国立科学博物館館長。専門は分子人類学。著書に『DNAで語る日本人起源論』『江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA』(岩波書店)、『新版 日本人になった祖先たち——DNAから解明するその多元的構造』(NHK出版)、編著に『化石とゲノムで探る人類の起源と拡散』(日経サイエンス)などがある。
第4位 渡辺努『世界インフレの謎』(講談社現代新書)

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内容紹介
なぜ世界は突如として物価高の波に飲み込まれたのか?ウクライナの戦争はその原因ではないことは、データがはっきりと示している。では”真犯人”は……?
著者:渡辺努(わたなべ・つとむ)さんについて
1959年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行勤務、一橋大学経済研究所教授等を経て、現在、東京大学大学院経済学研究科教授。株式会社ナウキャスト創業者・技術顧問。ハーバード大学Ph.D. 専攻は、マクロ経済学、国際金融、企業金融。著書に『物価とは何か』(講談社選書メチエ)、『市場の予想と経済政策の有効性』(東洋経済新報社)、『慢性デフレ 真因の解明』(編著、日本経済新聞出版社)、『検証 中小企業金融』(共編著、日本経済新聞社)、『新しい物価理論 物価水準の財政理論と金融政策の役割』(共著、岩波書店)、『入門オルタナティブデータ 経済の今を読み解く』(共著、日本評論社)、『金融機能と規制の経済学』(共著、 東洋経済新報社)などがある。
第5位 東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』(ちくま新書)

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内容紹介
「聞かれることで、ひとは変わる」。カウンセラーが教える、コミュニケーションの基本にして奥義。読んですぐに実践できる、革新的な一冊!
著者:東畑開人(とうはた・かいと)さんについて
1983年東京生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)・臨床心理士。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。白金高輪カウンセリングルーム主宰。著書に『野の医者は笑う―心の治療とは何か?』(誠信書房)『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院)『心はどこへ消えた?』(文藝春秋 2021)『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社)など。『居るのはつらいよ』で第19回(2019年)大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020受賞。
第6位 國分功一郎『スピノザ——読む人の肖像』(岩波新書 新赤版)

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内容紹介
哲学者とはいかなる人物なのか。何を、どのように、考えているのか。思考を極限まで厳密に突き詰めたがゆえに実践的であるという、驚くべき哲学プログラムを作り上げたスピノザ。本書は、難解とされるその全体像を徹底的に読み解くことで、かつてない哲学者像を描き出す。哲学の新たな地平への誘いがここに!
著者:國分功一郎(こくぶん・こういちろう)さんについて
東京大学大学院総合文化研究科准教授(哲学)。著書に、『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫、2021年)、『はじめてのスピノザ——自由へのエチカ』(講談社現代新書、2020年)、『中動態の世界——意志と責任の考古学』(医学書院、2017年)、『スピノザの方法』(みすず書房、2011年)など。
第7位 成田悠輔『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』(SB新書)

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内容紹介
断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命である——。22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。
著者:成田悠輔(なりた・ゆうすけ)さんについて
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。ウェブビジネスから教育・医療政策まで幅広い社会課題解決に取り組み、企業や自治体と共同研究・事業を行う。混沌とした表現スタイルを求めて、報道・討論・バラエティ・お笑いなど多様なテレビ・YouTube番組の企画や出演にも関わる。東京大学卒業(最優等卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任。内閣総理大臣賞・オープンイノベーション大賞・MITテクノロジーレビューInnovators under 35 Japan・KDDI Foundation Award貢献賞など受賞。
第8位 和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎新書)

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内容紹介
人生100年時代だが、健康寿命の平均は男性72歳、女性75歳。80歳を目前に寝たきりや要介護になる人は多い。「80歳の壁」は高く厚いが、壁を超える最強の方法がある。それは、嫌なことを我慢せず、好きなことだけすること——。70代とはまるで違って、一つ一つの選択が命に直結する80歳からの人生。ラクして壁を超えて寿命を伸ばす「正解」とは?
著者:和田秀樹(わだ・ひでき)さんについて
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。
第9位 筒井清輝『人権と国家: 理念の力と国際政治の現実』(岩波新書 新赤版)

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内容紹介
今や政府・企業・組織・個人のどのレベルでも必要とされるSDGsの要・普遍的人権の理念や制度の誕生と発展をたどり、内政干渉を嫌う国家が自らの権力を制約する人権システムの発展を許した国際政治のパラドックスを解く。冷戦体制崩壊後、今日までの国際人権の実効性を吟味し、日本の人権外交・教育の質を世界標準から問う。
著者:筒井清輝(つつい・きよてる)さんについて
1971年東京生まれ。1993年京都大学文学部卒業、2002年スタンフォード大学Ph.D.取得(社会学)、ミシガン大学社会学部教授、同大日本研究センター所長、同大ドニア人権センター所長などを経て、現在、スタンフォード大学社会学部教授。同大ヘンリ・H&トモエ・タカハシ記念講座教授、同大アジア太平洋研究センタージャパンプログラム所長、同大フリーマンスポグリ国際研究所シニアフェロー、東京財団政策研究所研究主幹。専攻は、政治社会学、国際比較社会学、国際人権、社会運動論、組織論、経済社会学など。
第10位 レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書)

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内容紹介
社交スキルアップのために古典を読み、名著の内容をYouTubeでチェック、財テクや論破術をインフルエンサーから学び「自分の価値」を上げろ——このような「教養論」がビジネスパーソンの間で広まっている。その状況を一般企業に勤めながらライターとして活動する著者は「ファスト教養」と名付けた。「教養」に刺激を取り込んで発信するYouTuber、「稼ぐが勝ち」と言い切る起業家、「スキルアップ」を説くカリスマ、「自己責任」を説く政治家、他人を簡単に「バカ」と分類する論客……2000年代以降にビジネスパーソンから支持されてきた言説を分析し、社会に広まる「息苦しさ」の正体を明らかにする。
著者:レジーさんについて
1981年生まれ。海城高校、一橋大学商学部卒。大学卒業後の2004年から現在に至るまで、メーカーのマーケティング部門およびコンサルティングファームにて事業戦略立案、マーケティング戦略立案、新規事業開発、新商品開発などに従事。会社勤務と並行して、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が話題となり、2013年春頃から外部媒体への寄稿を開始。主な寄稿媒体は「Real Sound」「MUSICA」「M-ON! MUSIC」など。
新書大賞(しんしょたいしょう)とは
2008年に創設された中央公論新社が主催する新書に関する賞。1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。 今回で第16回を数える同賞は、第1回に福岡伸一さん『生物と無生物のあいだ』、第2回は堤未果さん『ルポ 貧困大国アメリカ』、第3回は内田樹さん『日本辺境論』を大賞に選出し出版界に大きな反響を呼ぶ。2022年は小島庸平『サラ金の歴史-消費者金融と日本社会』(中公新書)が大賞に輝く。
https://www.chuko.co.jp/special/shinsho_award/