こんにちはブクログ通信です。
今年で17回目を迎える「新書大賞2024」が決定しました!
「新書大賞」は、中央公論新社が主催する1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。
今回の「新書大賞2024」では、2022年12月~2023年11月に刊行された1200点以上の新書を対象に、有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など新書に造詣の深い方々107人が投票した結果、
今井むつみさん、秋田喜美さん『言語の本質』が大賞に輝きました!
それでは、上位11作品をご紹介してゆきます。2024年話題の新書が目白押しですので、ぜひ手にとってみてください!
※同率10位の方が抜けておりましたので追記いたしました。大変失礼いたしました。(2024年2月13日)
新書大賞2024
今井むつみ/秋田喜美『言語の本質』
東浩紀『訂正する力』
村上靖彦『客観性の落とし穴』
三牧聖子『Z世代のアメリカ』
鈴木大介『ネット右翼になった父』
周司あきら/高井ゆと里『トランスジェンダー入門』
辻田真佐憲『「戦前」の正体』
小泉悠『ウクライナ戦争』
三浦まり『さらば、男性政治』
千葉聡『ダーウィンの呪い』
佐藤俊樹『社会学の新地平』
第1位 今井むつみ/秋田喜美『言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)
内容紹介
言語の本質を問うことは、「人間とは何か」を考えることである。その鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。
著者:今井むつみ(いまい・むつみ)さんについて
慶應義塾大学環境情報学部教授。専門分野・認知科学、発達心理学、言語心理学。
著者:秋田喜美(あきた・きみ)さんについて
名古屋大学大学院人文学研究科人文学専攻文芸言語学准教授。
第2位 東浩紀『訂正する力』(朝日新書)
内容紹介
ひとは誤ったことを訂正しながら生きていく。哲学の魅力を支える「時事」「理論」「実存」の三つの視点から、現代日本で「誤る」こと、「訂正」することの意味を問い、この国の自画像をアップデートする。デビュー30周年を飾る集大成『訂正可能性の哲学』を実践する決定版!
著者:東浩紀(あずま・ひろき)さんについて
1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。主な著書に、『存在論的、郵便的』『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』、『一般意志2.0』『弱いつながり』『観光客の哲学』『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』等がある。
第3位 村上靖彦『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書)
内容紹介
「その意見って、客観的なものですか」。数値化が当たり前になった今、こうした考え方が世にはびこっている。その原因を探り、失われたものを明らかにする。
著者:村上靖彦(むらかみ・やすひこ)さんについて
1970年東京都生まれ。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第七大学)。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点CiDER兼任教員。専門は現象学的な質的研究。著書に『ケアとは何か』『子どもたちのつくる町』『在宅無限大』『交わらないリズム』などがある。
第4位 三牧聖子『Z世代のアメリカ』(NHK出版新書)
内容紹介
「弱いアメリカ」しか知らない世代の、社会変革の想像力とは?米中対立、反リベラリズムからジェンダー平等、レイシズムまで。気鋭の国際政治学者が、アメリカの今と未来をさまざまな角度から描き出し、私たちの社会や政治の想像力を広げる渾身の書。
著者:三牧聖子(みまき・せいこ)さんについて
1981年生まれ。2010年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。現在、高崎経済大学経済学部准教授。主な著書に、『戦争違法化運動の時代——「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』『歴史の中のアジア地域統合』等がある。
第5位 鈴木大介『ネット右翼になった父』(講談社現代新書)
内容紹介
社会的弱者に自己責任論をかざし、嫌韓嫌中ワードを使うようになった父。息子は言葉を失い、心を閉ざしてしまう。父はいつから、なぜ、ネット右翼になってしまったのか?父は本当にネット右翼だったのか?そもそもネトウヨの定義とは何か?保守とは何か?コミュニケーション不全に陥った親子に贈る、失望と落胆、のち愛と希望の家族論!
著者:鈴木大介(すずき・だいすけ)さんについて
1973年千葉県生まれ。文筆業。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、代表作として『最貧困女子』などのあるルポライターだったが、2015年、41歳のときに脳梗塞を発症し高次脳機能障害が残る。当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』『脳は回復する』が話題に。他にも、夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』『発達系女子とモラハラ男』、当事者視点からの実践的な援助ガイドを試みた『「脳コワさん」支援ガイド』、当事者と臨床心理士との対話を記録した『不自由な脳』(山口加代子氏との共著)などの著書がある。
第5位 周司あきら/高井ゆと里『トランスジェンダー入門』(集英社新書)
内容紹介
これまで「LGBT」と一括りにされることが多かった「T=トランスジェンダー」について、様々なデータを用いて現状を明らかにすると共に、医療や法律をはじめその全体像をつかむことのできる本邦初の入門書。トランスジェンダーについて知りたい当事者およびその力になりたい人が、最初に手にしたい一冊。
著者:周司あきら(しゅうじ・あきら)さんについて
主夫、作家。著書に『トランス男性による トランスジェンダー男性学』(大月書店)、共著に『埋没した世界 トランスジェンダーふたりの往復書簡』(明石書店)『トランスジェンダー入門』(集英社新書)がある。「すばる」(2023年8月号)に、随想「家父長の城」を寄稿。
著者:高井ゆと里(たかい・ゆとり)さんについて
群馬大学情報学部准教授。専門は倫理学。趣味は研究。著書に『極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる』がある。
第7位 辻田真佐憲『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』(講談社現代新書)
内容紹介
神武天皇、教育勅語、万世一系、八紘一宇……。右派も左派も誤解している「戦前日本」の本当の姿とは?神話に支えられた「大日本帝国」の真実。「国威発揚」の物語を検証する——。
著者:辻田真佐憲(つじた・まさのり)さんについて
1984年大阪府生まれ。文筆家、近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科中退。2011年より執筆活動を開始し、現在、政治・戦争と文化芸術の関わりを研究テーマとしている。主な著書に、『日本の軍歌 国民的音楽の歴史』『ふしぎな君が代』『大本営発表』『天皇のお言葉 明治・大正・昭和・平成』『空気の検閲~大日本帝国の表現規制~』『愛国とレコード 幻の大名古屋軍歌とアサヒ蓄音器商会』『たのしいプロパガンダ』などがある。歴史資料の復刻にも取り組んでおり、監修CDに『日本の軍歌アーカイブス』『出征兵士を送る歌 これが軍歌だ!』『日本の軍歌・軍国歌謡全集』『古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家』等がある。
第8位 小泉悠『ウクライナ戦争』(ちくま新書)
内容紹介
2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻した。21世紀最大規模の戦争はなぜ起こり、戦場では何が起きているのか?気鋭の軍事研究者が、その全貌を読み解く——。
著者:小泉悠(こいずみ・ゆう)さんについて
1982年千葉県生まれ。早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了。政治学修士。民間企業勤務、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO RAN)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所客員研究員を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)専任講師。専門はロシアの軍事・安全保障。主な著書に、『「帝国」ロシアの地政学──「勢力圏」で読むユーラシア戦略』『現代ロシアの軍事戦略』『ロシア点描』『ウクライナ戦争の200日』等がある。
第9位 三浦まり『さらば、男性政治』(岩波新書)
内容紹介
男性政治とは、男性だけで営まれ、男性だけが迎え入れられ、それを当然だと感じ、たまに女性の参入が認められても対等には扱われない政治である。ジェンダー平等な社会を目指す推進力が生まれているが、男性政治の最後の砦、永田町がその流れを阻んでいる。こうした日本の現実を超えて、女性も、男性も、マイノリティも、誰もが生きやすい社会への道を探る。
著者:三浦まり(みうら・まり)さんについて
1967年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。カリフォルニア大学バークレー校大学院修了。政治学の博士号を取得。
第10位 千葉聡『ダーウィンの呪い』(講談社現代新書)
内容紹介
ダーウィンが独創した「進化論」は、科学に革命を起こした一方で、3つの「呪い」を生み出した——。読み始めたら止まらない!サイエンスミステリーの傑作。
著者:千葉聡(ちば・さとし)さんについて
1968年神奈川県生まれ。高校教諭。1998年、第41回短歌研究新人賞受賞。歌集に『飛び跳ねる教室』『今日の放課後、短歌部へ!』『短歌は最強アイテム』『グラウンドを駆けるモーツァルト』、小説に『90秒の別世界』、共編著に『短歌タイムカプセル』、編著に『短歌研究ジュニア はじめて出会う短歌100』などがある。歌人集団「かばん」会員。國學院大學、日本女子大学の兼任講師。
第10位 佐藤俊樹『社会学の新地平——ウェーバーからルーマンへ』
内容紹介
マックス・ウェーバーとニクラス・ルーマン——科学技術と資本主義によって規定された産業社会の謎に挑んだふたりの社会学の巨人。難解で知られる彼らが遺した知的遺産を読み解くことで、私たちが生きる「この」「社会」とは何なのかという問いを更新する。社会学の到達点であり、その本質を濃縮した著者渾身の大作。
著者:佐藤俊樹(さとう・としき)さんについて
1963年生まれ。社会学者。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院で社会学博士を取得する。東京工業大学助手などを経て現職。専門は比較社会学、社会階層論など主な著書に、『社会学の方法』『社会科学と因果分析』『社会は情報化の夢を見る』等がある。
新書大賞(しんしょたいしょう)とは
2008年に創設された中央公論新社が主催する新書に関する賞。1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。
https://www.chuko.co.jp/special/shinsho_award/