こんにちは、ブクログ通信です。
『13・67』で第6回ブクログ大賞海外小説部門を受賞された陳浩基さん。
今回、海外にいらっしゃる陳浩基さんに、受賞記念メールインタビューを行いました。まだけして日本で紹介が多いとはいえない陳さんの来歴をうかがったうえで、影響を受けてきた日本人著者、日本のサブカルチャー、そして『13・67』執筆動機や物語の続きをうかがいました。ぜひお楽しみくださいね。
取材・文/ブクログ通信 編集部 持田泰 大矢靖之 猿橋由佳
写真提供/文藝春秋
陳浩基さんの来歴について
―この本で日本でのデビューを果たした陳浩基(サイモン・チェン)さんの来歴をあらためて教えてください。作家を本格的に志したのはいつ頃だったのですか?
大学を卒業してからWebサイトを作成する会社を立ち上げてみたんです。それは1997年のことだったのですが、当時はまだインターネットは新しすぎたのでしょうね。普通の人はそれがどういうものなのか、よくわかっていなかったということもあって、会社は早々にたたむことになってしまいました。それから10年ほどソフトウェア開発の会社にいくつか勤めてみたのですが、その中のひとつにゲーム関連の会社がありました。そこは人手が足りず、また漫画業界にも関わっていたこともあって、漫画の編集やゲームの企画などいくつかの仕事を掛け持ちしていました。
確か2008年頃でした。少し休養を取ってから新しいコンピュータ技術を学んでみたいと思って、IT業界の仕事を探していたときに、台湾推理作家協会賞の募集要項を目にして、自分も応募してみようと思ったんです。そのあと台湾での式典に出席して、台湾の作家や編集者と知り合いになり、自分も作家を生業にしてみようと考えました。
賞に応募してみてうまくいくかどうか2年間だけ試してみよう、もし駄目だったらまたコンピュータ業界の仕事に戻ればいい。そんなふうに考えていたのですが、幸いなことに2010年には出版社と契約し、中編小説を出すことができました。そして翌年2011年の島田荘司推理小説賞を受賞し、長編小説も出すことができたというわけです。
もともと小説を読むのが大好きではありましたが、専業作家になるとは考えてもいませんでした。というのも、私は高校、大学とずっと理系でしたから。20歳を過ぎた当時は、友達とこんな冗談を言っていました。「33歳でデビューした島田荘司や30歳を過ぎてデビューした石田衣良だっている。だったら自分も30歳を過ぎてから小説の執筆を始めたって決して遅くはないんじゃないか」と。しかしまさかそれがその通りになるとは思いもしませんでした。
―2008年に童話ミステリ『傑克魔豆殺人事件』が第6回台湾推理作家協会賞最終候補、2009年に『藍鬍子的密室』と『窺伺藍色的藍』の2篇が第7回台湾推理作家協会賞最終候補となり、前者で同賞受賞。2010年『合理推論』がコミックリズ百万映画小説賞の3位に入選、2011年『遺忘・刑警(邦題『世界を売った男』)』で、2011年第2回島田荘司推理小説賞を受賞され、同年SF短編「時間就是金錢(時は金なり)」が第10回倪匡SF賞の3位に入選と、とにかく華々しい作家来歴にも驚きますが、気になったのは、SFも書かれておられるのですね。それはどういった作品なのですか?
「時間就是金錢(時は金なり)」は、そのことわざ通りに、人類が時間を買って延ばしたり縮めたりすることができるような――そんな世界を描いた短編SFです。物語の詳しい内容についてここで語ることは差し控えます――というのも、日本の読者は近いうちにこの作品を読むことができるようになるからです。
―今後はSFも手掛けていく予定はありますか?
またSF小説を書いてみようという気持ちはありますね。実際、『虚擬街頭漂流記』(文藝春秋刊)で第一回島田荘司推理小説賞を受賞した寵物先生(ミスターペッツ)との合作である『S.T.E.P』はSFミステリとでもいうべき作品ですし、来年にも可能であればSFの短編小説に着手してみたいと思っています。ただ今のところ執筆の予定として入っているのはもっぱらミステリですね。
「日本のミステリをたくさん読んでいた」―陳浩基さんが影響を受けた作品
―陳さんが影響を受けた作家、好きな作品を教えてください。
小学五年生のときに『シャーロック・ホームズ』シリーズを読んで大変驚いたことから、コナン・ドイルが私に与えた影響というのは大変大きなものだと思っています。
そして高校時代に手に取った横溝正史作品の影響も強く受けています。『獄門島』は私が一番好きなミステリで、この作品は何10回読んだか知れません。超一級の作品です。
実際、翻訳された日本のミステリをたくさん読んでいたので、日本のミステリ作家から受けた影響というのはとても大きいです。島田荘司先生、横山秀夫先生、綾辻行人先生、京極夏彦先生、乙一先生などですね。
―ミステリ作品以外でも影響を受けている作品や作家はいますか?
中学1、2年生の時だったでしょうか、ポール・ジェニングスというオーストラリアの作家のジュブナイルものを読む機会がありました。内容はというと、SFあり、ファンタジーあり、怪奇小説ありというものだったのですが、必ず最後にびっくりするようなどんでん返しが用意されているんです。これには大いに啓発されましたね。
それと中国語の文学でいうと、魯迅が私に与えた影響というのは計り知れません。子供のころ、小説というのは「物語」だと思っていたのですが、「読者をあっといわせる」ような物語を読み終えて、「ああ小説というのはそもそもこういうものだったんだ」と心を開かれた思いがしたものです。
ほかにもギリシャ神話は大変好きで、エディス・ハミルトンの『ギリシャ神話(Mythology: Timeless Tales of Gods and Heroes)』は何十回と読み返しました。ギリシャ神話と現代小説における物語の構成に大きな差はないと私は思っています。
それとノーベル物理学者を受賞したリチャード・P・ファインマンの自伝とエッセイは大変面白く、彼の人生に対する見方というのは私の価値観に大きな影響を与えています。
日本の小説では、石田衣良先生が大好きです。例えば『4Teen』、『娼年』、『波のうえの魔術師』ですね。以前にサラリーマンをしていたころ、ベッドに入る前に小説を読むことを習慣にしていました。いつもなら数日で一冊を読み終えるような感じだったのが、ある二冊の小説だけはどうしても途中で読むのをやめることができませんでした。それが石田先生の『池袋ウエストゲートパーク』と、村上龍先生の『69』でした。
陳浩基さんの好きな日本のサブカルチャーは?
―今回の受賞コメントの色紙で丁寧な日本語でコメントいただけました。日本語も学ばれていたのですか?また日本にはよくいらしゃっているのですか? 日本のサブカルチャーがお好きだというお話もお伺いしましたが、日本の作家で好きな作家はいらっしゃいますか?
色紙に書いたコメントは、翻訳者でもある日本の友人が助けてくれました。簡単な一文であればさらっと書くことはできますが、これが長い文章となると何しろ文法が難しくて、なかなかうまくはいきませんね。
まだサラリーマンをしていたころ、少しだけ夜間の日本語学校に通っていたことがあるんです。それでも日本語検定を受けようとは思いませんでした。というのも、当時日本語を勉強していたのは、日本の漫画やゲームが理解できればそれでいいと思っていたからなんです。
今は少年漫画やバラエティなどの字幕が理解できる程度で、日本語で書かれたそのままの文章となるとやはり難しい。日本語の読み書きでは動詞の変化や助詞の用法を間違えることもありますし、尊敬語や丁寧語、ため口の違いもよく判っていません。日本には5、6回ほど行ったことがありますが、一般的な香港人と比較するとむしろ少ない方かも知れません。香港人は日本への旅行が大好きですからね。
もちろん日本のサブカルチャーは大好きです。日本の漫画・アニメの大ファンですし、コナン・ドイルと同じくらい、私は藤子・F・不二雄から大きな影響を受けています。『ドラえもん』を読み始めたのは確か6歳のときからだったでしょうか、当時は『ドラえもん』の多くのストーリーの背景にSF的なものがあるなどとは考えもつきませんでしたが、『のび太の宇宙開拓史』、『のび太の大魔境』と『のび太の魔界大冒険』の三編は私のお気に入りです。
ほかにも漫画で好きな作家となると冨樫義博、そしてアニメでは宮崎駿ですね。なかでも一番好きなのは『天空の城ラピュタ』で、小学生だった当時、亀岡修によるノベライズ(中国語版)を手に入れようといくつもの本屋を探し回ったものです。小学生のときに見た短編アニメ『トワイライトQ』(望月智充監督の『時の結び目REFLECTION』と押井守監督の『迷宮物件FILE 538』の二編を収録)には大変な衝撃を受けました。もっとも好きなアニメ監督は今敏でしたが、早逝されたことは大変残念に思います。
最近で好きな漫画作品は、『亜人』、『極主夫道』、『息子がかわいくて仕方がない魔族の母親』、完結したものですと『弟の夫』、『透明人間の骨』、『白玉教授のしろねこ』などですね。でも一番のお気に入りは、篠原健太の『彼方のアストラ』です。これがもしアニメになったら大変素晴らしいものになるのではないかと思って期待しています。
「『人』そのものが一つの謎である」―『13・67』誕生の契機
―『13・67』は私もいち早く読ませていただき深い感銘を受けております。各話がミステリとして抜かりなく組み上がっていながら、全体の「逆・年代記」の大きな物語の紡ぎ方の手際が本当に素晴らしく、さらに描写の一個一個から「香港人の人生」や「香港人の生活」が鮮やかに浮き上がってくるようです。戦後の香港史をろくに知らない私のような不勉強な日本人でも、一つの強い情感、つまり「ノスタルジー」をともなってその「過去」が蘇ってくるようです。とても不思議な読後感でした。今回このような作品を執筆するに至った契機を教えてください。
まずは作品をお褒めいただきありがとうございます。この作品の成功は、天野さんの流暢な翻訳によるところが大きいと思います。
天野先生,感謝您一直以來對華文小說的支持,華文推理在日本能夠嶄露頭角,您厥功至偉。拙著13.67獲您翻譯是我的光榮,能跟您巡迴書店一起簽書是我寶貴的回憶。願您安息。
— Chan Ho Kei (@Chan_HoKei) 2018年11月13日
[注:訳者の天野健太郎さんは2018年11月12日、逝去されました(毎日新聞「訃報 天野健太郎さん」)。上記は陳さんのTwitterアカウントで発された追悼コメント(中国語)となります。謹んでお悔やみ申し上げます。―ブクログスタッフ一同]
「人」そのものが一つの謎である――私はずっとそう考えてきました。「人生」というものはたくさんの原因と結果によって構成されています。偉人といわれる人物も極悪人も、彼ら自身が偉大さや邪悪さを持って生まれてきたわけではない、彼らが偉人や悪人になるまでには様々ないきさつがあって、それぞれの人生を歩んできた――そう思うんです。
「人」と「社会」は分かちがたく結びついているものですから、ある人物の生きざまを描こうとすれば、自然とその人物が生きている社会と時代を描くことになります。時代は進歩していくものと私は信じていますが、国を同じくしないもの同士はそれぞれがお互いの差異を認識し、文化的な背景が同じではないことを知ることになります。それでも物事に対する共感という点に関しては共通点があり、他者の身上を自らの中にも見出すものではないでしょうか。お互いの交流と理解がもっと活発になっていけば、人類は多くの紛争や衝突も回避できるのではないかと考えています。
―あとがきで、中短編を「本格派」で「逆・年代記」として「社会派」という方法を採用したということ書かれていましたが、この方法を採用しようとした契機について詳しく教えてください。
当初はこの作品を純然たる本格ミステリとして書こうと考えていたんです。「逆年代記」として書くというのは当初からの構想にありましたが、ただそれはあくまで本格ミステリとしてということだったんですね。
ただ、各ストーリーのあらすじとディテールを詰めていくなかで、当時の社会描写を欠かすことはできないと判ってきたんです。そこで、「作家として自分は、当時の社会をこれらのストーリーの中に落とし込む責任がある」――という自分の内なる声を聞いたように思います。
その当時頭の中にあったのは横山秀夫先生の『第三の時効』でした。この作品からそれぞれの短編をどのようにして大きな絵図としていくかという手法を学び、同じようなやりかたによってこの作品を社会派ミステリとして描いてみようと考えました。
―陳さんは他の取材でも「題材があって現地取材する」とのことですが、今回は、民主派デモ・香港返還から天安門事件の影を経て反英暴動までをたどった、歴史小説でもあります。陳さんは他の取材で「題材があって現地取材する」と仰っていましたが、歴史を現地取材するにあたり、本作でも文献だけでなく現地取材を行ったのでしょうか? 行ったとしたら、どのような取材をされたのでしょうか?
『13・67』にはひとつ大きな特徴があるんです。後ろの章へと進むに従って、より実際にあった事件との関わりが深くなっていきます。
最初の二章で描かれている事件はほとんどフィクションといっていいものですが、真ん中の二章で描かれた事件は実際にあった事件により近しいものになっています。たとえば香港では、実際に駅で硫酸を投下した事件や病院での立てこもり事件がありました。ここではそうした事件の部分を物語の中に組み込んでみたんです。
最後の二章になると、さらに現実の事件の内容を含んでいます。第五章に描かれた物語の背景となっている、油麻地の青果市場での事件は実際にあったもので、物語の中の警察内部での汚職や隠し帳簿、暗号といったものも現実の事件に沿っています。
第六章の最後で二人の子供が遭遇する事件もまた実際にあったものなのですが、これは未解決で今も真相は判っていません。左翼活動家が警察に殺害された事件や、香港を訪れるイギリス官僚の名前もすべて実在する人物のものです(もっとも作中で香港を訪れることになった日時だけは異なっていますが)。
魅力的な登場人物たちと、物語―『13・67』続編の可能性
―クワンやローや魅力的で個性的な登場人物が多く出てきますが、モデルとなる人物はいましたか?それは現実のモデルでも、また創作物のキャラクターでも構いません。
クワンとローにはモデルとなる人物はいませんが、クワンの推理力に関してはホームズをお手本にしているといっていいかもしれません。とはいえキャラクター自体はまったく違っています。
いま思い返すと、ツォウ警視は柳葉敏郎演じる『踊る大捜査線』の室井慎次にちょっと似ているかもしれませんね。ただ執筆している間にそういうことを考えてはいませんでした。石本添と石本勝は香港でも知られた犯罪者である張子強と葉繼歡をモデルにしています。共通点としてはまず知能犯であること、そしてもうひとつは行動派であるということですね。ただ現実の事件において病院から逃げ出したのは葉繼歡で、張子強ではありませんでしたが。
―陳さん自身が惹かれている登場人物はいますか?またこの登場人物で話をさらに広げることが可能だと思った人物はいましたか。
これといって惹かれている登場人物というのはいません。ただアップルだけは、彼女を主人公に据えた物語をつくることができるかもしれませんね。
―『13・67』にはまだまだ多くの物語が潜んでおられます。石本添をクワンが捕えた経緯や、ローのその後の活躍を読んでみたいと思っています。今後『13・67』続編やスピンアウト作はありえますか?
スピンアウト作についてはすでにいくつかあらすじは考えています。例えばクワンがまだ若いころの英国研修時代に遭遇した事件とか、彼が80年代に捜査していた連続殺人事件、石本添との対決、顧問に就任してからの事件などですね。ただ目下執筆予定の作品がすでにいくつかあるので、スピンアウト作に取りかかるにしても1、2年先になりそうです。
ローのその後についてはまったく構想はありません。『13・67』は社会派としての雰囲気が濃く、作家にとってはすでに「過去」のもの、という感じがしています。もしローを主人公に据えて現在かあるいは未来の香港を描くとしても、作風はまったく異なるものとなるでしょう。
陳浩基さんのこれから
―今既に次回作として具体的に何を書かれる予定は既におありですか?陳さんの作品は邦訳はまだ少ないのですが、次の邦訳予定はありますか?
以前に書いた短編小説の続きを書いていて、これをシリーズ物にしようとしています。これはブラックユーモアを交えた犯罪小説になる予定です。
それと『オール讀物』に掲載された童話シリーズ「青髯公の密室」に続く作品に取りかかる準備も進めています。
ほかには香港と台湾の作家と合作をして短編集にまとめる予定があるのですが、それがどういうものになるのかは決まっていません。
日本では、昨年台湾で刊行された『網内人』と来年台湾と香港で刊行される短編集が翻訳出版される予定です。『網内人』はハッカーとネット・テクノロジーが物語の軸となっており、物語のヒロインが妹を自殺に追いやった原因を突き止めようとする――それを写実的な筆致で描いたミステリです。短編集の方は十数編の本格ミステリとSF、ホラー作品をまとめたもので、さきほどお話しした「時間就是金錢(時は金なり)」もここに収録されます。
それともうひとつ。香港では『13・67』よりも、『網内人』の続編を期待する読者の声がとても強いんです。ただ今は執筆予定のものがあるので、まずはそれを片付けてから『13・67』のスピンアウトか『網内人』の続編を書くことになりますね。
もちろんいつ新しいインスピレーションやアイディアが浮かぶかわかりません。それによっては他の物語を書くことになるかもしれません。
―『13・67』は世界的に評価を集めていますが、イギリス・アメリカ・カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・オランダ・イスラエル・ベトナム、タイ、韓国、日本と各国で翻訳されています。国によって読まれ方の違いや反響の差などはありますか?
それは自分にはちょっとわかりませんね。ただ韓国の読者の反応は大変よく、版を重ねているということです。それはアジアの文化的背景が近しいこともあって、読者にも容易に受け入れることができるからでしょう。
欧米でも私の作品を評価して下さる書評家の方の声はありますが、アメリカよりもイギリスからの反応の方が多いようです。思うにそれは香港がかつてイギリスの植民地だったという過去があり、イギリスの読者は、作品の中に自らの文化的なルーツを見ることができるからなのではないかと思っています。
―ウォン・カーウァイ監督が映画化権を取得したとのことで、私も大変楽しみです。その制作の目途は経っているのでしょうか?
映画化の件については私にもよくわからないんです。ウォン・カーウァイ監督にお会いしてお話もしましたが、そのときに「自分としては映画についてはあまり深く関わるつもりはないので、監督の好きなように改編していただいて構いません」と伝えました。
私はあくまで一人の小説家ですから自分の文学作品について責任はありますが、映像化となれば監督や脚本家たちの共同作業の中で大小様々なことを検討しながら脚本へと改編していくことになります。私はその方面については明るくありませんので。
重要なのは、香港には、国際市場に打って出ることができるたくさんの素晴らしい映画制作者がいるということです。一方、香港で流行作家になっても海外に自作を紹介されるようなチャンスは大変に少ないわけで、今の私としては小説の執筆に力を注ぐことが第一で、他の仕事に時間を取られるわけにはいかないのです。
―最後に日本の読者へのメッセージをお願いいたします。
日本の読者の皆さん、『13・67』を支持して下さいましてありがとうございます。皆さんがこれからも引き続き華文小説に興味を持って下さることを願っています。私の知る限りでも、日本の複数の出版社が来年も華文ミステリを刊行してくれる予定になっています。
日本の小説が華文の文化圏に受け入れられていくなか、私たちは日本のミステリ作品の傑作群を通じて日本というものを理解してきました。日本の読者が華文小説を通じて中国や台湾、そして香港のことを理解していただければ、それは必ずや素晴らしい相互交流へと発展していくに違いありません。
陳浩基さん、ありがとうございました!陳さんの作品については、まだけして日本で十分紹介されているとはいえない状況です。けれども、ご本人から大変充実したメッセージをいただきました。陳さんに興味があるかたは、ぜひ作品にふれてみてください。よろしければ、文春オンライン「注目のミステリー『13・67』著者・陳浩基インタビュー」(2017年10月17日)や、電子書籍で発刊されている「陳浩基『13・67』の魅力とは」、また、来日した陳さんと横山秀夫さんで行われた対談「華文ミステリーvs.日本ミステリー アジア発、ミステリーの新潮流」も、あわせてご覧くださいね。
また、第6回ブクログ大賞海外小説部門受賞記念として『13・67』を5名様へプレゼントいたします!ふるってのご応募お待ちしております!
陳浩基(ちん こうき、サイモン・チェン、Chan Ho Kei)さんについて
1975年生まれの作家。香港中文大学計算機科学系を卒業。Webサイトのデザインやゲームの企画、脚本の執筆、漫画の編集者などを務める。
2009年、「藍鬍子的密室(青髭公の密室)」が台湾推理作家協会賞を受賞。2011年、『世界を売った男』が台湾の出版社が主催する公募の長編推理小説賞・第2回島田荘司推理小説賞を受賞。2015年、『13・67』で第6回ブクログ大賞、台北国際ブックフェア賞(小説部門)、第1回香港文学季推薦賞をそれぞれ受賞。
参考リンク
陳浩基 Twitter
推理成癮(陳浩基ブログ、中国語)
文春オンライン「『中国人』と呼ばれたら嬉しくない、『香港人』の考え方 注目のミステリー『13・67』著者・陳浩基インタビュー」(2017年10月17日)
関連リンク
[2018年12月03日]第6回ブクログ大賞海外小説部門受賞記念!陳浩基さん『13・67』を5名様へプレゼント!