こんにちは、ブクログ通信です。
無料で小説の全文を公開し、そのタイトルを公募する、小学館『小説X』企画。11月17日にブクログ編集部が独占インタビューさせていただきました。先週12月7日(木)に応募を締め切りました。今回の『小説X』の読者数は14,000人を越え、タイトルの応募総数は、なんと1,261件!
そしてここから企画第2弾へ!『小説X』の著者・蘇部さんと小学館編集部で厳正な選考の結果、ノミネート5タイトルを決定し、ユーザーWeb投票で正式タイトル確定へ!
……となるはずが、選考会がまさかの難航!波乱の幕開け!
なんと、ノミネート5タイトルという当初予定が急遽10タイトルへ!?その理由とは?
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取材・文・撮影/ブクログ通信 編集部 持田泰
小学館タイトルノミネート選考会へ突撃インタビュー

――どうも!……空気が淀んでおりますね。そろそろ確定しているのでは?と思ってお伺いしたのですが……。
担当編集者(以下担当さん):まだ決まらないんですよ。
――なるほど……。皆さんでハッピーターンでもかじってお茶でもしながら和やかに選考されているのかと思っていたのですが……。ちなみに今回どれくらい応募が届いたのでしょうか?
担当さん:1,261件です。
―なんと!1,000件越え!すごい数ですね!
担当さん:電子書籍DL数も含めて14,000人もの方が読んでくださったようです。
―そんなに読まれましたか!読んだ方のうち、おおよそで1割の方がタイトル応募してくださった、と。
担当さん:そうなんです。それと、企画趣意文で「ラスト一行に、命を懸けました!!」と蘇部さんが宣言していたように、『小説X』を読まれた方は、読了後に「あれ!?」となるのか、最初の方のページに戻る読者の方が多かったです。
―ああ、わかりますねえ。「ぅあ!……あれ?」ってなる感覚がとてもよくわかります。これは蘇部さん的にも嬉しい反応なのではないですか?
『小説X』著者・蘇部健一さん(以下蘇部さん):はい。それは大変、嬉しいんですが。
―……ですが?
蘇部さん:今は皆さんから応募いただいたタイトルと2日に渡ってにらめっこしてたので、だんだんゲシュタルト崩壊してきてしまいました。1,000件超えていますからね。こういう経験したことがなく、慣れてないのでとても疲れました。

―お疲れ様です!もっとも「こういう経験」って、誰もが経験したことないかと思いますから、逆に慣れてしまわないことをお祈りいたします。
蘇部さん:『小説X』の話はもう置いておいて、応募された1,261タイトルに合わせて1,261本小説を書いてみたいです。
―症状として末期ですね。
担当さん:今回はこんな蘇部さんにも関わらず、本当に皆さん真剣にタイトルを考案いただいていて、心から感謝しています。
―ありがたいですよね!
担当さん:ほんとうこんな蘇部さんなのに。
―皆さんへの感謝の形を借りながら、蘇部さんを軽くディスってませんかね。
蘇部さん:さきほどようやくノミネートタイトルが絞れてきたんですが。
担当さん:最後の10本からさらに絞ることが難しく。
―おおこれが最後の10本ですか!なるほど。確かに「美しくて、売れて、愛があり」また「楽しくて、意外な」タイトルも混ざっているような気がします。
担当さん:ですよね。
―………応募した私のタイトル案は入ってないですね。
蘇部さん:私のもないんですよ。
担当さん:私のもないんですよ。
―はい。「だしたんかい!」とツッコミ入れずに、先に進みたいと思います。
急遽方針転換!!

―なにはともあれ、あと少しですね。ここまで絞ることも大変だったでしょうけども。
担当さん:選考期間が短すぎましたね。私たちもここまで多くの素敵なタイトル案が集まると想定していなくて。反省しています。
―確かにここからさらにもうひと絞りするとなるとなかなか大変ですが、エイヤで5本に決められないものですかね…。
担当さん:せっかく皆さん真剣に考えていただけたので、どのタイトル案も大事にしたいです。
蘇部さん:あと、私と担当さんでここにきて選考基準の合意に至らなかったんですね。
―なるほど、不穏な空気の理由がわかりました。その部分をぜひ教えてください。
担当さん:企画中に反響がとてもよかったので、電子だけではなく紙の本での出版も確定しました。ですので、書店の棚でも「映える」タイトルで勝負したいと編集部では思ってます。やはり折角のタイトル公募企画ですからこのインパクトを大きく響かせて、長く読まれる作品にしたいんですね。
―そうですか!紙の本での出版!おめでとうございます!それは大変喜ばしいことですね。蘇部さんはいかがですか?
蘇部さん:私はタイトルと内容がちゃんと噛みあったタイトルを選びたいと思ってます。
―なるほど。
蘇部さん:ミステリ作家として、タイトルだけのインパクトでは終わらせたくないんですよ。
担当さん:そこはもちろん編集部も同じ気持ちです。それに加えて書店で「おや?」と手に取ってもらえるようなタイトルにしたいんですね。
―思いはいたくわかります。どちらの気持ちも企画当初の「美しくて、売れて、愛がある」タイトル募集の精神に則っているじゃないですか。
担当さん:はい、もちろん「美しくて、売れて、愛がある」タイトルをノミネートしようと真剣に議論しています。またやはり今回の皆さんから応募したタイトル案は、最終10タイトルにまでたどり着きましたが、選ばれなかったタイトル案含めて、どれもこれも捨てがたくて本当に悩みました。
蘇部さん:私の最初の没タイトルを応募してくれた方も何人かいて驚きました。
――それは面白いですね!どうなんでしょうか。ふざけているタイトル案も結構ありましたか?
担当さん:もちろんないことはないんですけども、やはり皆さんが真剣に考えてくださっったタイトル案が圧倒的多数でしたね。
―この10タイトルどれも個性があって確かに捨てがたいですね。
担当さん:そうなんです。ここまで来ると選考基準の相違はあっても本当に甲乙つけがたくどれも捨てがたいです。
蘇部さん:もうこれはいっそのことここから5本に絞らず、このまま10本の中からユーザーに投票いただくのでいいんじゃないですかね。
―投げやりな!……でもまあ、確かに最後に10本まで出たけれどもここからもう絞れないというのであれば、ここからもう「読者に託す」というのは企画の趣旨に則ればありですよね。
担当さん:……。
――とはいえ……、ノミネート賞金(※ノミネート賞金1万円)の部分もありますから難しいですよね。
担当さん:やっちゃいましょう。
―決断はやっ!!
それではノミネート10タイトル発表!!
担当さん:念のため確認します。(スマホで上長確認をはじめる)はい。問題ありません。やっちゃいましょう。

―上も決断はやっ!!もちろん小学館さんが問題なければ誰も損しない話ですので、では、ノミネート賞金も5名から10名様へ急遽変更ということで?
担当さん:はいそのように取り計らいます。
―太っ腹すぎる!
担当さん:あと、もうタイムリミットです。
蘇部さん:今日も夕方からバイトなんですよ。
―これを契機になるべくバイトしないで作家一本でやっていけることをお祈りいたします!
それでは作家さんと出版社さん両者の思いが錯綜した選考結果、ノミネート・タイトル!10本をドドーンと発表
『逢いたい、逢えない、美しいあなた』
『あなたをずっと、さがしてた』
『ありふれた恋のエチュード』
『神様のいない恋』
『コレハ、ヨクアル恋ノハナシナンダケド、』
『小説X』
『水曜の朝、君に出逢った』
『チャームポイント』
『ベストフレンド』
『もう一度逢えたら~運命の赤い糸』
―私個人的にはどれも映えているように思います。作品への「愛がある」タイトルですね。
担当さん:それは間違いないです。
蘇部さん:私が思いもつかないようなタイトル案はとても嬉しいですね。
-びっくりなのが、『小説X』も入ってますね。
担当さん:盲点でしたね。1名だけいらしゃったんですが、これは今回の企画への愛も感じるインパクト勝負ですね。
蘇部さん:『水曜の朝、君に出逢った』は略すと「スイキミ」になってますね。
-まさかの!「キミスイ」ならぬ「スイキミ」!
投票期間は12月19日(火)まで!清き一票をお待ちしております!
―さてここまでくればあとは読者に託すだけですね。この中からもっとも「美しくて、売れて、愛がある」タイトルに投票ください!こちらの結果発表は改めていつになりますか?
担当さん:2017年12月19日(火)まで投票期間です。一週間です!その投票結果は翌2018年1月9日(火)に正式タイトルが発表となります。そして1月12日(金)に正式タイトル版で電子書籍を販売開始して、紙の本が書店に並ぶのは1月23日(火)からとなります。
―楽しみですね。どんなタイトルが選ばれるか!優勝者には5万円!僕も手に入れたかったものですが。
担当さん:私もです。
蘇部さん:私もです。
―はい。やはりツッコミはいれない方向で先進みますが、今回の皆さんには何か特典は?
担当さん:投票者の抽選で30名様に決定タイトルの入った蘇部健一さんサイン本をプレゼントします!
―いやあどんなタイトルが表紙を飾るのでしょうね。蘇部さんからも一言!
蘇部さん:どれが1位の票を獲得してタイトルになっても、私は大大大満足です!!
―ぜひ皆さんの「愛のある」清き一票お待ちしております!

『小説X』著者・蘇部健一さんとは?
1961年東京都生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。1997年『六枚のとんかつ』にて第三回メフィスト賞受賞デビュー。「バカミス」(※日本国内における推理小説の分類のひとつ。「おバカなミステリー」もしくは「バカバカしいミステリー」の略語)の代表作である『六枚のとんかつ』はその「ばかばかしさ」で賛否割れるものの絶賛の声も多い。「ミステリー界の異才」「異能作家」とも呼ばれる。デビュー作の系列に属するアイデア重視の推理短編の他、さまざまなジャンルを執筆刊行している。
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