去る2月5日、私小説などで人気を博した芥川賞作家・西村賢太さんが54歳で逝去されました。
ご冥福をお祈りします。
経歴:西村賢太(1967年7月12日 – 2022年2月5日)
1967(昭和42)年7月12日、東京都江戸川区生まれ。中卒。新潮文庫、及び角川文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』、角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』、講談社文芸文庫版『狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集』を編集、校訂、解題。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『暗渠の宿』『二度はゆけぬ町の地図』『瘡瘢旅行』『小銭をかぞえる』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『苦役列車』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『一私小説書きの日乗』(既刊六冊)『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集 一私小説書きの独語』『*(やまいだれ)の歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『藤澤清造追影』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『羅針盤は壊れても』などがある。
「2019年 『瓦礫の死角』 で使われていた紹介文から引用しています。」
西村賢太さん代表作その1 第144回 芥川賞受賞作『苦役列車』
文芸誌『新潮』の2010年12月号で連載されました。2011年に単行本、2012年に文庫版が発売されました。
森山未來さん主演の映画化でも話題を呼んだ、西村さんを代表する作品です。舞台は1987年。中卒の19歳・北町貫多は、日当5500円の日雇い労働でその日暮らしの生活をしていた。碌でもない父を持つことに引け目を感じ、友人も恋人もいない貫多。そんな貫多の人生は、ある出会いによって大きく変化していく——。
西村賢太さん代表作その2 第29回 野間文芸新人賞『暗渠の宿』(新潮文庫)
2010年に刊行した「野間文芸新人賞」受賞作です。デビュー作『けがれなき酒のへど』併録。

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芥川賞候補の『どうで死ぬ身の一踊り』に続く著作です。『文學界』2004年12月号に掲載された『けがれなき酒のへど』と、『新潮』2006年8月号に掲載された表題作の2編が収録されています。どうしようもない男の内面を赤裸々に描きながら、どこか中毒性のある痛快な私小説です。
西村賢太さん代表作その3 芥川賞候補作『小銭をかぞえる』(文春文庫)
金を巡る女との掛け合いを描く、まったく新しい私小説です。

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女にもてない「私」が、ようやく女と相思相愛の関係になった。だが「私」の生来の性格よって、女との同棲生活は甘いどころか徐々に緊張をはらんでいった。金策に駆け回っては疎遠な友を訪ね、断られれば激昂するばかり……。表題作に加え、ぬいぐるみを溺愛する女との関係を描いた『焼却炉行き赤ん坊』を併録。
今後も、西村賢太さんの作品が様々なかたちで読まれることを願ってやみません。