2017年ノーベル経済学賞は、リチャード・セイラーさん(Richard H. Thaler)が受賞しました。受賞理由は、「行動経済学への貢献」(for his contributions to behavioural economics)です。彼は行動経済学の新たな分野を急速に拡大させ、多くの経済研究や政策に影響を与えました。
個々人の経済的意思決定の分析において経済学と心理学のあいだを架橋し、経済をより人間的なものにしたことも指摘されています。個々人は完全に合理的な仕方で行動することができない、というセイラーさんの描く主体と経済モデルは、研究のみならず、公共政策にも大きな影響を与えました。
日本でもいくつかの翻訳が出版されており、気軽に手にとることができます。以下、セイラーさんの来歴を紹介し、邦訳をご紹介します。
リチャード・セイラーさん
評価を決定づけた著作は、1992年発行の『市場と感情の経済学――「勝者の呪い」はなぜ起こるのか』(”journal of economic perspectives anomalies”の人気コラム「アノマリーズ」を一般向けに再構成、現在は改題新版『セイラー教授の行動経済学入門』として邦訳入手可能)。
2008年、キャス・サンスティーンとの共著による世界的ベストセラー、『実践 行動経済学』(原題”Nudge:Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness”)を発行。近著は2015年発行、『行動経済学の逆襲』(原題”Misbehaving: The Making of Behavioral Economics”)。
6作中、重要な3作が邦訳されています。2017年10月10日現在、ノーベル賞発表を受けて大部分の書店でセイラーさんの著作が品切になっているようですが、電子書籍版も発行されています。
代表著作
参考リンク
・ノーベル賞公式サイト(英語)
https://www.nobelprize.org/
・リチャード・セイラーさん シカゴ大学ウェブサイト(英語)
http://faculty.chicagobooth.edu/Richard.Thaler/index.html
・ウィキペディア
「リチャード・セイラー」
・経済学101
アレックス・タバロック「リチャード・セイラーがノーベル賞を獲得!」(2017年10月10日)
・『日経ビジネスオンライン』
広野彩子「リチャード・セイラー米シカゴ大学教授が語る新著と『相田みつを』」(2009年10月6日)
・『THE WALL STREET JOURNAL 』
ROBERT POWELL「老後の備え、行動経済学者セイラー教授に聞く」(2015年12月2日)
・”journal of economic perspectives anomalies”(『セイラー教授の行動経済学入門』の元となったコラムへのリンク)
「Anomalies」(英語)