2018年ノーベル生理学・医学賞は本庶佑(ほんじょ たすく)さんとジェームズ・P・アリソン(James P Allison)さんが連名で受賞しました!おめでとうございます!
受賞理由:「免疫制御の分子の発見とがん治療への応用」
受賞理由は、「免疫制御の分子の発見とがん治療への応用」です。アリソンさんと本庶さんは、それぞれ別々の分子を発見(アリソンさんはCTLA-4分子を初めて発見、本庶博士はPD-1分子の遺伝子を見つけて、PD-1分子が実際にT細胞の興奮を抑えることを明らかに)。
従来の免疫治療とは異なる発想によって、免疫の働きを活性化させる分子ではなく、それを抑える分子に着目。がん細胞が免疫から逃れて生き延びるのを阻止し、免疫細胞の攻撃力を高めてがん細胞への攻撃を行う方法を編み出しました。二人がそれぞれ開発した薬剤はがん治療に有効である証明につながり、免疫分野やがん治療分野に大きな影響を残しました。
そして、本庶さんの研究成果を応用した抗がん剤「オプジーボ」が実際に医療現場で活用されています。専門的内容については下記のページをごらんください。
・京都大学「本庶佑 高等研究院副院長・特別教授がノーベル生理学・医学賞を受賞」(2018年10月1日)
・日本科学未来館 コミュニケーターブログ「2015年ノーベル生理学・医学賞を予想する① 免疫制御の分子の発見とがん治療への応用」(2015年9月16日)
本庶佑さんの代表作、参考書籍
以下、本庶さんの書籍をご紹介します。
代表作:『ゲノムが語る生命像』
内容紹介
生命の設計図DNAが分子レベルで解読され、ゲノム工学技術が飛躍的な発展を遂げた現代、生命科学は文系理系を問わず社会の幅広い分野で不可欠の科学となった。日本を代表する分子生物学者がその最前線から新しい生命像を語る。
代表作:『いのちとは何か 幸福・ゲノム・病』
内容紹介
「いのちとは何か」は、永遠の問いとも言える大問題です。現代の生命科学はその問いかけにどのように答えようとしているのでしょうか。生命の“原理”をつかみ出すことができるとすれば、それは何でしょうか。またそれは、物理学の原理とは異なるものなのでしょうか。環境との相互作用の中で生まれ進化してきた生命は、“偶然”と“必然”の狭間を歩んでいます。いのちのダイナミズムと人の幸福について、世界的に知られる免疫学・分子生物学研究の第一人者が語ります。
『PD-1抗体でがんは治る-新薬ニボルマブの誕生』(Kindle版のみ)
内容紹介
注目を集める画期的ながん免疫治療薬ニボルマブ(製品名オプジーボ)、はどのようにして生まれたのか。衝撃的といわれる効果は、従来の治療法とは全く異なる原理によって導かれている。著者は、治療薬のもとになったPD-1分子を発見し、開発までを指導してきた。生みの親本人が、新たながん免疫治療の原理と新薬誕生までの曲折を語る。
解説書:『現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病』
内容紹介
外からの侵入者だけではなく、「内なる敵」がんや難病にも、免疫はここまで戦える。『現代免疫物語』『新・現代免疫物語』を超えて、さらなる驚異の世界へ!樹状細胞による「抗原提示」、制御性T細胞や免疫チェックポイント分子による「免疫寛容」――。ノーベル賞級のこれらの発見がパラダイムシフトとなり、いまや免疫療法は、
がんや難病の治療においても「切り札」として期待されはじめている。本庶佑、坂口志文、稲葉カヨらの活躍を追ううちに、免疫世界の最前線が一望できる傑作ドキュメント!
参考リンク
・ノーベル賞公式サイト(英語)
https://www.nobelprize.org/