こんにちは、ブクログ編集部です。
今回は、子どもから大人まで楽しむことができる、おすすめの「怖い絵本」をピックアップしました。子どもが読んで楽しめるものから、大人が読んで背筋を凍らせるものまで、バラエティあふれる「怖い絵本」の世界。怖いものが苦手な方はご注意くださいね。
せなけいこ『ねないこだれだ』
人生で初めて出会う、「怖い絵本」かもしれません。
「こんな時間におきているのはだれだ?」という問いかけと、暗闇の中で夜更かししている子どもの姿。「あっ、これ自分のことかもしれない」と、小さな子どもたちがそわそわしながらページをめくっていくと……。物語の結末の余韻が、じわじわとこわさをかきたてます。
子供達は今聞いてみるとホントにこれが怖かったらしい。でも何回も読んでとせがまれた。怖いもの見たさなのかな。名作中の名作。
せたていじ 訳/マーシャ・ブラウン 絵『三びきのやぎのがらがらどん』
少し大きくなった子どもに読んでもらいたい、よく考えると「怖い絵本」。
北欧の民話をもとに描かれた物語です。3匹のヤギは、「悪い妖精」とされるトロルを協力して出し抜き、最終的には…。極悪なヤギの表情を見ていると、どちらが悪者なのかわからず、読後にもやもやした違和感が残ります。読んだ人によってさまざまな解釈ができる、懐の深い絵本です。
数年前、椎名誠さんがイベント人生で一冊選ぶなら、の質問にちょっと考えてこの本の名を挙げました。あれだけの活字中毒者(自称)に対して一冊選べとは無理な質問を!とも思うけれど、「お子さん達が大好きで何度も読み聞かせた」と理由を聞いてなるほど…と。絵もお話も文章のリズムもちょっと怖くてワクワクして、最後はホッとする、流石の名作絵本。
セーラ・L.トムソン 著/ロブ・ゴンサルヴェス 絵『終わらない夜』
「想像してごらん。誰もいない廊下の奥から不思議な電車がやってきて、あなたを冒険の旅へつれだしてしまう、そんな夜を…」
自分のよく知る風景が、突然別の顔を見せる瞬間。わたしたちは背筋の凍る思いをしながらも、その反面、その不思議な世界に強くひかれてしまうことがあるのではないでしょうか。何もない闇の中に何かがあるような気がして、あわてて布団の中に逃げ込みながらも、もう一度その闇を見てしまうような記憶を、ページをめくりながら思い出させられます。おそろしさとうつくしさがすばらしいバランスで共存する、大人も十分に楽しめる絵本です。
美しい絵本が見たくて、「美しい絵本」で検索してみたらヒットした絵本です。夜……現実と異界との境があいまいな瞬間が描かれていて、少し怖かったです。
白仁成昭、中村真男 著『絵本 地獄―千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵』
百聞は一見にしかず、という言葉があまりにぴったりの絵本。
全ページ血まみれで、残虐極まりない地獄の描写に、おそろしさとともに笑いすらこみあげてきます。読む人の痛覚を刺激する、これぞ正統派!と言うべき、怖い絵本です。東村アキコさんが『ママはテンパリスト』で、この絵本を読み聞かせる場面が登場したことでも大きな話題になりました。
掛け値なしに恐ろしい本。息子に読んだら読み終えたら泣き出してしまった(笑)後半の地獄の絵はかなりショッキング。
京極夏彦 著/町田尚子 絵 『怪談えほん(3) いるの いないの』
古い日本家屋の薄暗い闇にひそむ、何かの気配。
『いるの いないの』というタイトルですが、すでに表紙に何かがいるので、怖いものが苦手な方は要注意です。日本の真骨頂と言うべき、じんわりとした湿度の怪談を楽しむことができる一冊。子どもたちへ向けた、京極夏彦さんの作品の導入編としてもおすすめですね。
子供たちと読みました。私も含めて全員[ひぃっ]て声出ました。その割に何度も読んで〜とせがまれます。いろんな想像がかきたてられて好き。
綾辻行人 著/牧野千穂 絵『怪談えほん(8)くうきにんげん』
うさぎの顔をした女の子に、誰かが話しかけます。
「くうきにんげんを、しってるかい?」「さわられたらもうおしまい」「ねえ、ほら。もう きみの うしろまで、くうきにんげんがふたり、きているよ」。執拗に迫ってくる言葉と、うつくしく、何かを予感させるような奇妙な構図の絵が、読んでいるわたしたちをも次第に追い詰めていきます。想像力をかきたて精神的に追い詰める、すばらしい絵本ですが、子どもに読み聞かせる場合は、事前に一読しておいた方がよさそうです。
絵本でも綾辻先生のテイストが炸裂!「狙われることの恐怖」が子供向けに、でもしっかり描かれていて、大人が読んでもとても怖い。
恩田陸 著/石井聖岳 絵『おともだち できた?』
あるとき女の子にできた「おともだち」は……?
見知らぬ街に引っ越してきた女の子は、お母さんやお父さん、そして近所のおばさんから、「おともだち」について聞かれます。あまりくわしく語ると楽しみが半減してしまうので、ここではこれ以上語りませんが、かわいらしい女の子の絵とタイトルの意味が、読んだあとには一変してしまうかもしれません。作者の恩田さん自身も「怖い……」とおっしゃるほどの内容です。
なかなか怖い。ラストの絵がとくに衝撃。子供の見守り、やっぱり大事なのねと思った読後感です。
おわりに
「怖い絵本」7選、いかがでしたか。ここにあげた作品はどれも、ブクログのみなさんからの人気が高い作品です。まだ読まれたことのない方は、ぜひ手に取ってみてくださいね!