2021年もたくさんの本が発売されましたね。
今回は「本」年間ランキングから、登録数が増えた上位10位を発表いたします!
どんな作品がランクインしているのでしょうか?
※2020年12月1日~2021年11月30日の間に発売された本が対象となります。
本ランキング【登録数順】
1位 朝井リョウ『正欲』

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内容紹介
不登校の息子がいる検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。一つの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。その繋がりは、”多様性を尊重する時代”にはひどく不都合なものだった——。これは共感を呼ぶ傑作か、目を背けたくなる問題作か。あなたの想像力の外側を行く、朝井リョウさん気迫の書き下ろし長篇。
昨今さまざまな場で耳にする「多様性」とは、多くの場合、想像力の範囲内で語られる多様性に過ぎないのだと思い知らされました。想像力の到底及ばないさまざまな感情が存在することを心に留め、他者と、そして自分が感じている生きづらさとも向き合いたいと思います。
2位 ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮文庫)
内容紹介
人種も貧富の差も様々な元底辺中学校に通い始めた「ぼく」。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧。世界の縮図のような学校では、いろいろあって当たり前。でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ——。ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。
10歳頃の子供の視点から様々な社会問題をリアルに切り取ったことで、何も知らない大人にもわかりやすく伝えてくれる。押し付けがましいところがなく、答えを提示するというよりはあくまで「考えるきっかけ」をくれる本。
3位 新川帆立『元彼の遺言状』
内容紹介
「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」との遺言を残し亡くなった、大手製薬会社の御曹司・森川栄治。森川の元カノで弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た彼の友人の代理人として、森川家主催の「犯人選考会」で依頼人を犯人に仕立てあげてゆく。一方で、元カノという理由で軽井沢の屋敷を譲り受けることになった麗子だが、避暑地を訪れたその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、森川の顧問弁護士・町弁が何者かによって殺害されてしまい——。
お金にしか興味がないと、守銭奴みたいな事ばっかり言ってる割に、結構人情味のあるところが垣間見れたりと、主人公の麗子がかなり面白く魅力的だった。コミカルでテンポが良い。なぜ奇妙な内容の遺言状にしたのかという謎も最後に回収されている。紗英にもいい人があらわれますように。
4位 東野圭吾『白鳥とコウモリ』
内容紹介
2017年東京。善良な弁護士・白石健介が遺体で発見された。すると、愛知から度々上京していた倉木達郎が「すべて、私がやりました。」と自供してきた。倉木はさらに、1984年に愛知で起きた殺人事件の犯人も自分であると供述。刑事の五代は、そんな倉木の自供に違和感を覚え……。
序盤で解決されたと思った殺人事件。その動機に疑問を持った被害者、加害者の家族がそれぞれのかたちで真相を突き詰める。そんな物語でした。かなりの長編でしたが物語はスマートに進み。捕まった彼の真意。彼を中心に関わった様々な人々。そして「幸せな日々は、もう手放さなければならない」この言葉の意味。これを言った自分的には意外な人物。東野作品らしい深い作品でした。白鳥とコウモリのこれから先。よき未来になるといいです。
5位 町田そのこ『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』(新潮文庫)
内容紹介
思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋。そして、ともには生きられなかったあの人のこと。すり鉢状の小さな街で、理不尽の中で成長する少年少女の姿と、どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す連作短編集。
町田そのこさん初読。素晴らしかった。苦しいものを背負った人たちを描く、気持ちに寄り添った言葉の1つ1つがとても良い。連作短編の緩やかな繋がりに一気に読んでしまった。前向きな救いのあるラストに、そんなに上手くいく訳がないじゃんと思わせない筆力が凄い。
6位 辻村深月『かがみの孤城 上』(ポプラ文庫 つ 1-1)
内容紹介
学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこには“こころ”を含め、似た境遇の7人が集められていた。なぜこの7人が、なぜこの場所に?すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
偶然集められた7人が少しずつ打ち解けていく、そしてそれぞれの事情がわかってくる中での、みんなの変化と主人公こころの少しずつ前向きになってくる気持ちが伝わってきて、がんばれって応援したくなる。学校に行かなかったみんなが、三学期に一日だけ、行けるんだろうか? そして「城」とは何か、鍵は見つかるのか。下巻がすごく楽しみ。
7位 浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』
内容紹介
成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が面接に臨む中、六通の封筒が発見される。そこには、六人それぞれが過去に犯した「罪」が告発されていた——。犯人は誰か?究極の心理戦がスタートする。
面白かった。二転三転する感じや、現代のインタビューが入る形で誰が犯人なのかを考えるこちらを操ってくる。別に心に残る言葉があるとかそういうことではなく、本当に娯楽としての小説。設定も展開も凄く良く出来ていたと思う。
8位 辻村深月『琥珀の夏』
内容紹介
かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から、子どもの白骨死体が発見された。弁護士の法子は、その遺体の少女に覚えがあった。小学生の頃に参加した〈ミライの学校〉の夏合宿。学校ではうまくやれなかった法子は、そこで「ずっと友達」と言ってくれる少女に出会ったのだ。もし、あの子が死んでいたのだとしたら……?
子どもたちの心情を考えると、何度も胸が張り裂けそうになりました。また、幼年期の少女が一人で夜の泉へ行くことを想像しただけで、ぞっとします。子どもたちの心の描写から同時期の自分を重ね、感傷的になりました。ある時期までは、子どもは親の愛情を受けることのできる環境で育ってほしいと切に思います。
9位 辻村深月『かがみの孤城 下』(ポプラ文庫 つ 1-2)
内容紹介
学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこには“こころ”を含め、似た境遇の7人が集められていた。なぜこの7人が、なぜこの場所に?すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
「大丈夫だよ、大人になって!」と言える大人でありたい、そう胸を張れる大人でなければ、と思った。学校というコミュニティで生活の大半を過ごす中学時代。いじめにあった主人公たちの避難場所となった孤城は味方なのか敵なのか⁈思春期の頃の薄いガラスのようなもろさ、傷つきやすさ、過敏さの心理描写が本当に巧く、心にヒリッ遠い昔の苦い味が蘇った。伏線回収が素晴らしく、想像の上の上の展開にも感服。
10位 原田マハ『リボルバー』
内容紹介
パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴は、小さなオークション会社に勤務している。だが週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたもので……?
主人公は、パリの大学で西洋美術を学び、今はパリの小さなオークションハウスに勤務している女性。学生時代の研究テーマはゴッホとゴーギャン。そんな彼女のもとに、ゴッホの自殺にまつわるという古い錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。原田マハの十八番であるアート系小説だけに、ゴッホとゴーギャンの絵画の魅力をたっぷりと描かれ、画集等を横にして読んだらなおよろし。勿論小説としての完成度もよく、登場人物も皆輝いている。満足の一冊。
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