【朝井リョウさん】おすすめ10選!後編~人間の弱さを優しく掬いあげる名作揃い~

こんにちは、ブクログ通信です。

現代を生きる人々の、声なき声を拾うような作品の多い朝井さんの作品の中から、文庫化されているオススメの10作品の中から後編5作品を紹介いたします。あらすじやオススメのポイントを読んで気になる作品からぜひ手に取ってみてくださいね。

『朝井リョウ(あさい りょう)さんの経歴を見る』

朝井リョウさんの作品一覧

6.朝井リョウ『時をかけるゆとり』ゆとり世代炸裂エッセイ

時をかけるゆとり (文春文庫)
朝井リョウさん『時をかけるゆとり (文春文庫)
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あらすじ

あるときはカットモデル、またあるときは二日がかりで100キロを歩き……。上京、バイト、就活と、まるでただの学生のようなエッセイを直木賞作家が上梓。人間観察能力に定評のある朝井リョウが、自分自身を観察し、丸裸にしていく。「直木賞を受賞しスかしたエッセイを書く」「直木賞で浮かれていたら尻が爆発する」など、自分へのツッコミが気持ちよいタイトルが並ぶ。原題は『学生時代にやらなくてもいい20のこと』。

オススメのポイント!

学生デビュー、若き直木賞受賞作家と華々しい経歴を持つ朝井さんの、飾らない日々が語られた初のエッセイ本です。満員電車の中よりも、雨の日のステイホームなど、気ままに笑い転げられる場所で読むのがオススメ。ゆとり世代から見たゆとり世代を書いたエッセイは、純粋に面白いのですが、それを的確に表現できる朝井リョウという作家の技術に改めて舌を巻くことになるかもしれません。『風と共にゆとりぬ』もエッセイ本です。

笑いを堪えるのに必死で、「ニヤニヤしてて気持ち悪い」と言われるくらいには面白い。沈んだ気持ちも綺麗に飛んでいきます。

れんさんのレビュー

7.朝井リョウ『武道館』正しさに定義なんてない!

武道館 (文春文庫)
朝井リョウさん『武道館 (文春文庫)
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あらすじ

女性アイドルグループ「NEXT YOU」は、結成当初から武道館での単独ライブを目標に掲げていた。恋愛禁止、炎上、特典商法など、多くの悩みを抱える彼女たちはそれでも前を向く。独自スタイルで行う握手会、一つの曲に二つの振りをつけるなど、さまざまな手段を使って徐々に知名度をあげていく。そんなとき、グループの存続すらも揺るがす、あるできごとが起こり……。「現代」に真摯に向き合ったローカルアイドルストーリー。

オススメのポイント!

「正しい選択」をしなければ、という強迫観念は、選択肢を狭めたり、選択すること自体を諦めさせてしまうことがあります。五人が悩みながらも自分なりの答えを導いていく姿は、「正しい選択」とはなにかを考えさせてくれるでしょう。人生に行き詰まったとき、寄り添ってくれるような作品です。また、本作は、2016年にテレビドラマ化され、五人組アイドルグループ「Juice=Juice」が「NEXT YOU」を演じました。

読後感がすごく良かった。アイドル事情に疎いファンじゃない人にも読んでもらいたい、世間が持つアイドルのイメージ、それに応えるアイドル、応えないアイドル。朝井リョウ、初めて読んだけど面白すぎる。他の作品も読みたい。

renaさんのレビュー

8.朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』朝井リョウの仕掛けた毒はじわじわと効く

世にも奇妙な君物語 (講談社文庫)
朝井リョウさん『世にも奇妙な君物語 (講談社文庫)
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あらすじ

「シェアハウさない」「リア充裁判」「立て!金次郎」「13.5文字しか集中して読めな」「脇役バトルロワイヤル」の5編を、あの番組同様、オムニバス形式につないだ短編集。異様な世界観、伏線に次ぐ伏線、恐怖とどんでん返しが読者を襲う。文章を奇術のように操る朝井リョウがいざなう「奇妙な」世界を読めば、頭の中にはあの音楽が流れはじめる……?皮肉とユーモアのスパイスが効いた、絶品エンタメオマージュ作品。

オススメのポイント!

5編が少しずつ異なる「恐怖」を与えてくれるため緊張が高まってゆき、ラストストーリーに向けて尻上がりに楽しめます。ヒリヒリしたい、刺激が足りない、奇妙系ホラーが好き、という人にはぜひとも手に取ってほしい作品です。あの番組が好きすぎて書いてしまったという朝井さんですが、そのクオリティたるや、本家も納得ではないでしょうか。2021年3月から4月、WOWOWプライムでオムニバスドラマとして放送されました。

生々しい気持ちや感情を文章にする技術が素晴らしい。『世にも奇妙な物語』は私も好きなので、どの作品も刺さった。特にラストはお見事。

読書をやめられないクマさんのレビュー

9.朝井リョウ『ままならないから私とあなた』私たちは、「違う」からこそ尊重しあえる


ままならないから私とあなた (文春文庫)
朝井リョウさん『ままならないから私とあなた (文春文庫)
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あらすじ

雄太は先輩の結婚式で新婦の友人として列席していた女性のことが気になっていた。偶然、再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っており……。(「レンタル世界」)幼馴染みの薫と雪子の価値観は、成長するにつれ真逆になり、ついに対立のときを迎える。合理と非合理の間で、二人の人生がすれ違っていく。(「ままならないから私とあなた」)何気なく受け入れてきた価値観に揺さぶりをかける珠玉の2編。

オススメのポイント!

テレワークやキャッシュレス決済など、今や当たり前になりつつある価値観も、十年前に遡れば当たり前ではありませんでした。移ろっていく時代を「便利だ」と喜べることもあれば、「あたたかみがない」と感じることもあるのではないでしょうか。現代的なこの価値観の差異に、朝井さんがメスを入れた2編の作品です。文庫本には、単行本にさらに、一章分の書き下ろしが加えられているため、読み比べも楽しめる一作になっています。

相容れない考え方の人間が交流する2篇収録。自分の考える『正しさ』は、他人から見ると『悪』かもしれない。でも、そう気づけない人たちがたくさんいる。朝井リョウ先生はその事実と、その上でどう生きたら良いかを提唱しているのだと思います。胸が痛い。

Soraさんのレビュー

10.朝井リョウ『何様』人はいつになれば、「何者」かになれるのだろうか

何様 (新潮文庫)
朝井リョウさん『何様 (新潮文庫)
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あらすじ

光太郎が出版社への就職を決めるきっかけとなった初恋の相手とは?(「水曜日の南階段はきれい」)理香の隆良の出会いに迫る。(「それでは二人組を作ってください」)大学を辞め、劇団を立ちあげた烏丸ギンジは今——。(「きみだけの絶対」)など。直木賞受賞作『何者』の登場人物たちが過ごす、「就活の向こう側」にある「生活」を描いた6つの短編集。『何者』の背景を明かす6編に心が抉られること必至。

オススメのポイント!

『何者』を読んでいない人でも独立して楽しめる短編集です。社会人になるまでは、「何者」かにならねばと焦燥感に駆られる私たちですが、社会人になると、「いつまでも何者でもない自分」と向き合っていかねばならないのかもしれません。ある日、突然、「社会人」になれるわけではない私たちと同じように、苦悩する登場人物たちに共感したり、救われたりする作品集です。就活中や、社会人生活に馴染めない人にもオススメ。

「それでは二人組を作ってください」は前にも読んだことはあるけど、しびれた。理香の不器用さと彼を選んだ理由を知ると苦しい。「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」には少し共感した。大人になるにつれて正しいことがつまらない、と実感することがあるからもどかしい。心にグサリと刺さったり、共感したり、それでいいんだと思えたり。登場人物の何気ない言葉に気づかされる。

fairytaleさんのレビュー

「正しさ」は人それぞれであるということをテーマにしたものが多い朝井さんの作品。アイドル、就活、エッセイ、オマージュ作品と彩り鮮やかです。爽やかな中にも毒が潜む朝井作品、ぜひ読み進めてみてくださいね。前編5作品はこちら!