小学生向けの課題図書5選!~大人にも子どもにも心に響く名作~

こんにちは、ブクログ通信です。

いよいよ夏休みシーズンとなりました。みなさん、第70回「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書はもうチェックされましたか?

夏休みの宿題といえば、読書感想文を忘れてはいけません。ブクログユーザーの中にも、読書感想文に思い出がある人がきっとたくさんいることでしょう。

そこで今回は、2024年の夏の読書感想文課題図書の中から、大人も子供も楽しめるおすすめの作品を5作紹介いたします。ぜひ最後までチェックしてみてくださいね!

1.ささきみお『ごめんね でてこい』素直に謝れないもどかしさに誰もが共感できる一冊

ごめんね でてこい (わくわくえどうわ)
ささきみお『ごめんね でてこい (わくわくえどうわ)
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あらすじ

大好きなおばあちゃんが、少しの間だけ、はなちゃん家族と一緒に暮らすことになった。優しいおばあちゃんと過ごす時間はとても楽しいけれど、いつもと違う生活にもやもやがたまりはじめて……。ついに、「おばあちゃんなんて、きらい!」と言ってしまったはなちゃん。果たして「ごめんね」が言えるのでしょうか——。

おすすめのポイント!

大好きな人に「きらい」と言ってしまう。自分が悪いと分かっているのに素直に謝れない……。そんな経験は、誰しも一度はあることでしょう。子どもの頃ならなおさらです。主人公が感じるもやもやは、誰にとっても身近で扱いづらい感情だと言えます。可愛らしいイラストとは裏腹に、素直に気持ちを伝えることの大切さと難しさを絶妙に描き出した傑作です。深い余韻を残す終わり方も印象的なので、親子や家族で、ぜひじっくり読んでみてください。

私のこと言われてる?って思ってしまった、ここに出てくるおばあちゃん。家の孫も同じようなこと思っているんだろうなあ。ついつい、今の子ども達を見ていると言いたくなることばかり。孫に嫌がられても言うべきことは言っていかないといけないんだよね。最終的には子どもたちの為になるんだから。子どもの感想とは外れると思うが、こういう、基本的なことをおろそかにしてきたツケが今、色々問題として現れているのでは。最後には孫と分かり合えてホッとした。

pafu5737さんのレビュー

2.髙津修/遠藤義人『聞いて 聞いて! 音と耳のはなし』大人も子どもも夢中にさせる、「音」がテーマの科学絵本

聞いて 聞いて! 音と耳のはなし (福音館の科学シリーズ)
髙津修『聞いて 聞いて! 音と耳のはなし (福音館の科学シリーズ)
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あらすじ

音はふるえる空気の波で、大きな音なら大きな波、小さな音なら小さな波です。その波は左右の耳に届くタイミングがわずかにズレています。脳はそのズレから、音がする方向や響いている場所などを判断するのです。動物も人間も、さまざまな音をくらしに役立てています。オーディオに精通した著者が贈る、音の魅力と耳のふしぎのおはなし。

おすすめのポイント!

音は波——これは多くの人が知っている事実です。しかし、実際に「波としての音」を意識したことがある人は少ないのではないでしょうか?音がどのように脳に伝わり「音」として認識されるのか、耳はどんな仕組みで音をキャッチしているのか、そんな身近なテーマを小さなお子さんにもわかりやすい書き方でまとめた科学絵本です。普段何気なく聞いている音のすごさが理解できるようになります。音に対する興味が掻き立てられる、とても読み応えのある一冊です。

人の出す「声」が耳に届いて何の音か判断する様子、音の生まれる仕組みがやさしい言葉と絵で説明されています。私のような科学音痴には、それでも「理解できた」とは言えないけれど、子どもの科学への好奇心を育てるのにはいい本だと思います。中学年ぐらいにおすすめ。

alouette18さんのレビュー

3.最上一平『じゅげむの夏』仲良し男子4人組の「最高の夏休み」をみずみずしく描いた作品

じゅげむの夏
最上一平『じゅげむの夏
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あらすじ

同じ小学校に通うぼくたちは、仲よし4人組だ。その中の一人、かっちゃんは筋ジストロフィーという病気と闘っている。ずっと一緒に育ってきたぼくらにとって、かっちゃんは特別な存在ではなく親友のひとりだ。夏休み、かっちゃんが川へダイブしたいと言い出した。その願いをきいてあげたくて、ぼくらは綿密に計画を練ったのだけれど……。

おすすめのポイント!

小学4年生の仲良し男子4人組の「最高の夏休み」を描いた物語です。難病を患う「かっちゃん」と、その他3人の対等で自然な関係性がとても爽やかに描かれています。小学生男子ならではの、はつらつとして無邪気な様子がみずみずしく描写され、いかにも夏!という空気感に満ち溢れた作品です。焼けつく日差し、濃い緑陰、肌に染みるような川の水といった光景がありありと目に浮かび、山間の夏休みを4人組と一緒に遊びまわっている気分になれます。「過ぎ去りしあの夏」を思い出させるような、鮮烈で爽快な一冊です。

ぼくと山ちゃん、シューちゃん、そして筋ジストロフィーのかっちゃん。仲の良い4人が夏休みにさまざまな冒険(挑戦?)をするお話。筋ジスのかっちゃんと普通に接する友だち関係が良い、というのはみんなが思うと思う。そしてかっちゃん自身も卑屈になることなく極自然に病を受け入れ、みんなと普通に遊ぶ。そこが、いい。

sunnyさんのレビュー

4.トンケ・ドラフト/リンデルト・クロムハウト『ドアのむこうの国へのパスポート』実話ベースのユニークなストーリー

ドアのむこうの国へのパスポート
トンケ・ドラフト『ドアのむこうの国へのパスポート
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あらすじ

特別支援学校に通うラウレンゾーは、学校になじめずにいた。ある日、インタビューするために訪れた作家の家で不思議なドアを見つけ、特別なパスポートを持った人しか入れないと聞いたラウレンゾー。クラスメイトたちと一緒に、パスポートを発行してもらうための課題に向き合ってゆくうち、仲間や自分をより深く知ってゆくのだった……。

おすすめのポイント!

謎めいた作家の家、不思議な場所に通じるドア、そして限られた人しか持っていない特別なパスポート。物語の始まりを感じさせるのに十分な要素が並んでいますよね。何が起こるのか、ドアの向こうには何が待っているのか、ドキドキワクワクさせてくれる作品です。一見ファンタジーのように思えるこの作品は実話をもとに書かれており、子どもたちが「特別なパスポート」を作り上げる過程を大切に描いています。学ぶ楽しさ、誰かと協力する楽しさを教えてくれる作品です。

教育に困難をともなう子の学校。作家とのやり取りを通じて、ドアのむこうの国へのパスポート申請書を書いたり、その連邦にありそうな国のビザを自分で考えて書いたりという授業が楽しい。でも何よりも子どもたちが楽しみにしているのは、先生にお話を読んでもらうこと。そういえばわたしも6年生のときの先生がお話を読んでくれるのがすごく楽しみだった記憶がある。でもってこのパスポート申請書やビザのくだりは実際に起きたエピソードをもとにしていることが巻末のあとがきに記されていて、これもまた楽しかった。

Miraさんのレビュー

5.西村すぐり『ぼくはうそをついた』原爆に引き裂かれた2つの絆が交錯する、切なくも温かな物語

ぼくはうそをついた (ノベルズ・エクスプレス 55)
西村すぐり『ぼくはうそをついた (ノベルズ・エクスプレス 55)
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あらすじ

広島に住むリョウタは、祖父から祖父の兄ミノルの話を聞く。原爆で亡くなった大おじに興味を持ったリョウタは、彼の足跡をたどろうと思いつく。女子バレー部キャプテンのレイは、大好きな曾祖母が変人扱いされることに心を痛めていた。曾祖母は時おり、原爆で亡くした我が子を捜し始めるのだ。何とか曾祖母を救いたいと考えるレイだったが……。

おすすめのポイント!

2人の小学生を軸に、広島の原爆をめぐる過去と現在が交錯してゆく物語です。この物語のベースには作者である西村さんの母親の実体験があるそうで、原爆投下当時の混乱した様子がとてもリアルに描かれています。一方で、当時の体験を語り継ぐ人が減っていることへの危機感も描写されており、今を生きる私たちが原爆や戦争とどう向き合ってゆくべきかを、静かに問いかけてくる良作です。原爆投下から時間が経った今だからこそ、大人にも子どもにも読んで欲しい一冊だと言えます。

原爆は主人公のリョウタにとって遠い時代の話だが、祖父の語る話を聞いて自分なりに受け止めようとする姿に希望を感じた。作者の過去作『ぼくがバイオリンを弾く理由』の登場人物も関わってくるが、どちらも独立したストーリーなので先にこちらを読んでも構わない。広島出身の作者にとって原爆の話は継承しなければならないテーマなのかもしれないが、押しつけがましさがないので今の小学生が読んでも素直に共感できると思う。夏休みの読書感想文にぴったりな本

ルークさんのレビュー


今回ご紹介した作品たちは、大人にもぜひ読んで欲しい名作揃いです。
親子で楽しむも良し、子供の頃を思い出して楽しむも良しの、イチオシ作品を厳選しました。
ぜひ夏休みの読書に手に取ってみてくださいね!