人気声優さん・俳優さんがナレーションするオーディオブック5選

こんにちは、ブクログ通信です。

紙の本が好きという方も、新しい読書体験としてオーディオブックはいかがでしょうか?
一度読んでいる本でも違う感想を持ったり、好きな声優さん・俳優さんが朗読してくれていると、それだけで心地良い気分になれそうです。また、読書時間が取り辛くても、耳は空いているという方にもおすすめなのがオーディオブック。人気作・話題作のみならず、最近は紙の本が刊行されるよりも前に、オーディオブックで書き下ろされる作品も出てきています。

今回は、そんなオーディオブックの中から、Audibleで取り扱いのある、人気声優さん・俳優さんがナレーションを務めているものを5作品集めました。ぜひ、これを機会にチェックしてみてくださいね。

1.坂木司『切れない糸』(創元推理文庫)

あらすじ

大学四年の新井和也は、父・和夫が急死した悲しみから立ち上がるよりも前に、父の遺したクリーニング店の手伝いを始めた。社会人としての門出に色めき立つ周囲とは裏腹に、和也は洗濯物の集荷をしたり、ワイシャツの仕上がりに苦情を呈されたりと、一足先に社会の荒波に揉まれている。そんなある日、預かった衣類から思わぬ謎が生まれて……。

おすすめのポイント!

主人公の成長と日常の謎を基本テーマと掲げる坂木さんの連作短編。『和菓子のアン』『ワーキング・ホリデー』とも繋がる世界観は、ファンを楽しませてくれます。ナレーションを務めるのは、2020年に歌手デビューも果たした声優の西山宏太朗さん。日常ミステリーに相応しい穏やかな声が心地良く物語を紡ぎます。シリーズ化も期待され、既に続編の読み切り作品が文芸誌上に掲載済み。短編のため、電車や車の中で気軽に聞ける所も嬉しいポイントです。

坂木司さんの作品一覧

声優・西山宏太朗(にしやま・こうたろう)さんについて

声優、歌手。81プロデュース所属。少年っぽいイケメンアイドルボイスが特徴。歌唱力にも定評があり、アイドル系の乙女ゲームやアニメなどで披露している。主な出演作に、「学園ベビーシッターズ」鹿島竜一役、「ガイコツ書店員 本田さん」ケンドウ役、「あんさんぶるスターズ!」深海奏汰役、「わたしの幸せな結婚」辰石幸次役などがある。

商店街のクリーニング店を舞台にした、日常に潜む謎を解く物語。父親の突然の死から家業のクリーニング店を継ぐことになった主人公が、周囲の助けを受けながら、成長していく姿が描かれる。通底するのは、生死も含めた人と人の関わり合いの在り方に対する著者の優しいまなざし。人との関係の在り方、人情、友情、そんなものが詰まった爽やかな青春小説。ラスト4行に物語の本質が凝縮され、タイトルの意味が明らかになる瞬間がたまらない。

dsukesanさんのレビュー

2.西加奈子『サラバ!』魂が震える!人生の哲学が詰まった著者渾身の長編

あらすじ

「僕はこの世界に左足から登場した。」イランで誕生した主人公・歩は、イラン革命の動乱を逃れるため、家族と共に日本へ帰国。大阪の幼稚園や小学校に上手く馴染んでいったが、破天荒な姉は「ご神木」と呼ばれ、次第に孤立してゆく。そんな折、父の新たな赴任先がエジプトに決まった。そこで歩は、ヤコブという少年と運命的な出会いを果たす。宗教、震災、そして家族。環境や他者に揺さぶられながらも、歩が掴み取った自分だけの答えとは——。

おすすめのポイント!

作家生活10周年を記念して上梓され、第152回「直木賞」を受賞した本作。Audible版は文庫版同様、上・中・下と三巻に分かれた大作です。ナレーションは俳優の松坂桃李さんが担当。壮大なスケールで描かれた作品でありながら、自分だけのために書かれたのではと感じるほど、共感できる場面も多く、生き続ける勇気やエールを貰えたような気持ちになる作品です。2023年4月刊行のノンフィクション作品『くもをさがす』でも話題の西さん。この機会にぜひ西作品に触れてみてはいかがでしょうか。

西加奈子さんの作品一覧

俳優・松坂桃李(まつざか・とおり)さんについて

俳優、モデル。妻は女優の戸田恵梨香さん。2009年、スーパー戦隊シリーズ「侍戦隊シンケンジャー」志葉丈瑠(シンケンレッド)役で俳優デビュー。その他出演作は、「視覚探偵 日暮旅人」日暮旅人役、「ゆとりですがなにか」山路一豊役、『不能犯』宇相吹正役、『娼年』森中領役、『流浪の月』佐伯文役、Netflix「離婚しようよ」東海林大志役など多数。

オーディブルで上巻まで聞いた。上巻までの感想です。みんなこの本を普通に楽しめるなんてすごい。僕は歩の家族関係や性格が自分と重なるところが多くて聞くのが辛かった。自分の見たくないところを正面から見させられているようで、ゲボが出そうだった。この作品が面白くないという評価ではない、むしろこんなに生々しい気持ちを掘り返されるのは流石としかいえない。多分僕みたいな人間が1番読むべき本なんだと思う。はやく最後まで読まないと、はやく結末に到達してくれないと辛すぎる、いい結末であってくれ

マブ山さんのレビュー

3.川上未映子『春のこわいもの』私たちはもう、世界が変わってしまうものだと知っている

あらすじ

入院中、「きみ」宛に手紙を書く「わたし」。(『青かける青』)進学のため上京し、「ギャラ飲み」の面接のため高級ホテルへと向かう女性。(『あなたの鼻がもう少し高ければ』)寝たきりの老女がベッドの上で語る、かつての秘め事。(『花瓶』)友達以上、恋人未満、大切な手紙を探して深夜の学校に忍び込む二人の高校生。(『ブルー・インク』)パンデミック直前の東京を、霞がかった春の幻のように描いた六編から成る短編集。

おすすめのポイント!

Audibleのために書き下ろされた本作。朗読は、2023年に第46回「日本アカデミー賞最優秀主演女優賞」を受賞し、話題の女優・岸井ゆきのさんが務めています。奥の見えない暗がりに入っていくような不穏さに貫かれた六編ですが、怖いもの見たさで惹かれてしまうという読者も多いそう。岸井さんの落ち着いた声音が文章にとてもマッチしていて、ゾクゾクしながら聞き進めることができます。短編のため、オーディオブックビギナーにもおすすめの作品です。

川上未映子さんの作品一覧

女優・岸井ゆきの(きしい・ゆきの)さんについて

高校時代に山手線内でスカウトされ芸能界入り。2009年、「小公女セイラ」で役者デビューを果たす。2022年、初のフォトエッセイ『余白』を刊行。主な出演作は、NHK大河ドラマ「真田丸」たか役、「アトムの童」冨永海役、「日曜の夜ぐらいは…」野田翔子役、『やがて海へと届く』湖谷真奈役、『犬も食わねどチャーリーは笑う』田村日和役など。

最後の話は、自分も同じ状況に置かれるとそう思ってしまうんだろうなぁと想像しながら読めた。人々の心情がとても丁寧に描写されてて好きだった。

メープルさんのレビュー

4.西尾維新『結物語』どんな未来も、今の延長線上にある

あらすじ

かつて吸血鬼になり、様々な怪異と関わってきた阿良々木暦。彼は高校、大学を卒業後、国家総合職試験に合格、晴れてエリート警察官になっていた。そんな暦は研修で直江津署の「風説課」に配属され、怪異譚となる前の風説を取り締まる部署に付く。一方、高校時代を共に過ごした戦場ヶ原ひたぎ、羽川翼は町を離れていた。23歳になった三人が選ぶ道、暦の想い、そして新たな怪異。時の流れを感じさせる、「物語シリーズ」オフシーズン完結編。

おすすめのポイント!

西尾維新さんの大人気作「物語シリーズ」の一作。ナレーションはテレビアニメで千石撫子役を務め、『鬼滅の刃』第3期の甘露寺蜜璃役などで活躍されている声優の花澤香菜さん。一人とは思えないという演じ分けも、朗読ならではの魅力でしょう。他の「物語シリーズ」も、アニメ版でお馴染みの声優陣が務めていますので、シリーズ全体を既読の方、アニメ版などでシリーズに触れてきた方も、新たなメディアミックス作としてぜひ聞いてみてほしい作品です。

西尾維新さんの作品一覧

声優・花澤香菜(はなざわ・かな)さんについて

声優、女優、歌手。大沢事務所所属。夫は声優の小野賢章さん。子役として芸能界入りを果たし、2003年、アニメ「LAST EXILE」で声優デビュー。一度聞いたら忘れない超絶癒しボイスを活かし、数々のアニメに引っ張りだことなる。読書好きとしても知られており、好きな作家に、山田詠美さん、川上弘美さん、佐藤多佳子さん、西加奈子さんを挙げている。

オフシーズン最終巻。みんないろんなものを捨てて、拾って、抱えて、大人になってゆく。阿良々木くんも、あの頃の子どもだった自分とさよならし、大人になったその姿で怪異たちと歩んで行く姿が、愛しかったです。特に老倉さん、ちゃんと生きててよかった……!子どもの自分とはさよならしたけど、あの頃の気持ちまでさよならしなくてもいいんだってラストは、とてもよかったです。これからも忍ちゃんとひたぎちゃんと、しあわせに暮らしてほしい!

悠月さんのレビュー

5.住野よる『麦本三歩の好きなもの』何気ない日々、それすらも愛おしい

あらすじ

歩くこと、寝坊すること、チーズ蒸しパン。大学図書館に勤務する麦本三歩には、好きなものが沢山ある。職場では優しい先輩や怖い先輩や、おかしな先輩に見守られながら、ミスは多くても愛されキャラの三歩。そんな彼女だって、心配事がないわけではない。それでも三歩が毎日を何だか幸せな気分で過ごせるのは、心配事よりも楽しみなことが多く、好きなものに囲まれているからだろう。前に進めば、きっと楽しいことが起こる。心が癒され、元気が貰えるハートフルストーリー。

おすすめのポイント!

SNSのようなポップなノリで書かれた本作。おっちょこちょいで不思議ちゃんな主人公・麦本三歩の日常を描いた癒し系小説と思われがちですが、ヘビーなテーマも取り入れている所に住野さんの力量を感じます。ナレーションは、多数作品に引っ張りだこの声優・悠木碧さん。オーディオブックの良さを生かした朗読に、Audible上でも絶賛の声が多く寄せられています。疲れが溜まっている時や、毎日が単調で退屈に感じられる時に聞くと、ふっと体の緊張が取れ、もう少し自分を楽しんでみようと、気持ちが軽くなる連作短編集です。

住野よるさんの作品一覧

声優・悠木碧(ゆうき・あおい)さんについて

声優、女優、歌手。青二プロダクション所属。子役として芸能界入りを果たし、ドラマや映画、バラエティ番組など多数出演する。2003年、アニメ「キノの旅」のさくら役で声優デビュー。その他出演作に、「魔法少女まどか☆マギカ」鹿目まどか役、「僕のヒーローアカデミア」蛙吹梅雨役、「ヒーリングっど♥プリキュア」花寺のどか(キュアグレース)役などがある。

自分自身と重なる場面や性格がたくさんあり、わかるわかると頷くばかり。住野よるワールドに引き込まれる瞬間が大好きです。

Einaさんのレビュー


目で読み、耳でも読む。オーディオブックが気になった方は、ぜひこの機会に触れてみてください。作家やタイトルだけでなく、ナレーションや朗読時間の長さで選ぶのも、オーディオブックならではの、新しい体験になりそうです。