こんにちは、ブクログ通信です。
ブクログが毎月開催している「ブックリスト特別企画」から、ブクログユーザーのみなさんにお寄せいただいた素敵なブックリストの中で、特に人気の高かったベスト本をご紹介!
今回は、8月に開催した「#やっぱり怖い本」の上位4作です!みなさんが選んだベスト本を、ぜひ本棚登録してみてくださいね。
1位 小野不由美『残穢』(新潮文庫)
あらすじ
作家である「私」の元には、いつも読者からの恐怖体験の手紙が届いていた。そんなある日の手紙には、引っ越した賃貸マンションでの怪異が綴られていた。調査に乗り出した「私」と手紙の差出人・久保さんは、次第にマンションと怪異の驚きの関係性に気づく。そこには、思いもよらない恐怖が——?
おすすめのポイント!
そのあまりの怖さに映像化を望まない声が続出した本作ですが、2016年に竹内結子さん主演で映画化され、当時話題を呼びました。淡々と物語ってゆくストーリー展開、はっきりとしない未知の怪異表現、徐々に繋がってゆく謎の数々など、ホラーとミステリーを融合させた何とも言えない不気味さが魅力の作品です。文章だけでこれほどの恐ろしさを表現できるのかと、驚嘆すること必至の仕上がりです。夜に一人きりの家で読むことだけは、決しておすすめできません。
とにかくリアリティがあって怖かった。語り手の設定が作者と同じで、作中に平山夢明さんを始め、実際の小説家の方が出てくるから、現実にあったことのように思えてきた。怪談は嫌いで、触らぬ神に祟りなしの姿勢でいたけど、それじゃあ意味がないと思い知らされた。最初は都会の方にしか関係ないと思ってたけど、そうじゃなかった。これからの日常に響いてきそう。
2位 貴志祐介『黒い家』(角川ホラー文庫)
あらすじ
生命保険会社に勤める若槻慎二は、保険金の支払い査定に忙殺していた。そんなある日、顧客の家に呼び出された若槻は、そこで首を吊った子供の死体を発見してしまう。ほどなくして死亡保険金が請求されるも、顧客の不審な態度に他殺を確信した若槻は、独自に調査を開始するが……?
おすすめのポイント!
ホラー、ミステリー、SFと、各ジャンルでヒット作を生み出す貴志祐介さんの小説です。日本のみならず韓国でも映画化された本作は、自傷行為、ストーカー、殺人など、保険金目当てに常軌を逸した行動に出る「サイコパス」と主人公の攻防戦が描いたサイコホラーです。心霊的な怖さではなく生身の人間の怖さを炙り出した本作に、思わず背筋が凍つくはずです。逆恨みのごとく舞い込む狂気の数々、緻密な人物描写と臨場感にかられ、怖くも読む手に拍車がかかってしまいます。
一番怖いのは、やはり生きた人間なのだと感じさせる小説。作中で季節が梅雨から夏に移り変わっいく様に、じめっとした恐怖がじわじわと迫っくるような怖さでした。
3位 五十嵐貴久『リカ』(幻冬舎文庫)
あらすじ
妻子を愛する42歳の会社員・本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」という女性と知り合う。だが実は彼女は、恐るべき”怪物”と呼べる人物だった——。リカの狂気に追いつめられた本間は、意を決して怪物と対決するのだった。
おすすめのポイント!
高岡早紀さん主演でドラマ化、映画化された本作は、全6巻に及ぶ「リカシリーズ」の第1作目です。本作で目を引くのは、何と言っても「リカ」の常軌を逸した行動の数々でしょう。読み進める内に主人公のえも言われぬ戦慄が伝染し、純愛ゆえの悪意ない悪意の恐ろしさを身をもって体感させられます。今回ご紹介の文庫版には単行本未収録エピソードが加筆され、「リカ」の残酷さに人間なのかすら疑わしくなることでしょう。泥ついた後味の悪さに、ヒュッと肝を冷やします。
リカシリーズの第一弾。これはヤバイですねぇ。ただのストーカーを題材としたものとは一線を画すおどろおどろしい内容。2000年に制定されたストーカー規制法の問題点などもリアルに描く。ITリテラシーも含め、身につけておくべきことは多い…ってその前に出会い系とか使うなよ! 世はリカのような怪物を生む出す構造となっているのだなぁ…。次作も楽しみ!
4位 道尾秀介『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫)
あらすじ
夏休み前の終業式。先生に頼まれた僕は、欠席した級友のS君宅を訪れた。するとS君は、首を吊って死んでいた。衝撃も束の間、その死体は忽然と無くなったのだ。それから一週間後、あるものに姿を変えたS君が、「僕は殺されたんだ」と訴えながら現れた。妹のミカと、S君の無念を晴らすため、僕は事件を追いはじめた。
おすすめのポイント!
何者かに殺された級友のため、事件の犯人と、無くなった級友の死体を探ってゆくサスペンスホラーを描いた本作。不可思議な現象を前に事件の真相を追う主人公、二転三転してゆく事件の容疑者、終盤の思わぬどんでん返しとイヤミス要素が満載の本作ですが、それを上回るほどのウッと嘔吐きたくなるような不気味な異物感に、思わず身の毛がよだちます。読み手を選びそうな内容ですが、現実世界の境目を無くす道夫さんならではの世界観は、一読の価値ありです。
小学生の、ひと夏の出来事。なんてノスタルジックな物語では決してない。けっこう不気味な描写も多い。登場人物たちは、それぞれ抱えているものがあり、重い気持ちになりながら読み進める。人間の中に潜む異常性、狂気。これが小学生が主人公だから、尚のこと恐ろしい。不気味な違和感をビンビンに感じながらも、途中からは事件の解決へ向かって、一気読み。なんとも不思議なミステリーだった。
ブクログスタッフのおすすめ本!
澤村伊智『ぼぎわんが、来る』(角川ホラー文庫)
あらすじ
幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に、ある人物が訪ねていた。取り次いだ後輩の伝言には、もうすぐ生まれてくる娘の名前があった。それからその後輩は大怪我を負い、入院先で少しずつ様子がおかしくなってゆく。それに伴い、秀樹の周りでも奇妙な事が起こりはじめた。そこで秀樹は、霊媒師の比嘉真琴に助けを求めるが——。
おすすめのポイント!
綾辻行人さん、貴志祐介さん、宮部みゆきさん絶賛で、第22回「日本ホラー小説大賞」を受賞した澤村伊智さんのデビュー作です。2018年には『来る』のタイトルで、岡田准一さん主演で映画化もされました。「ぼぎわん」という得体の知れない怪異を描く本作ですが、人間が持つ闇の部分や醜さを映し出した、イヤミス要素も持ち合わせています。章ごとに視点が変化するので、各登場人物の心情が読みづらいのも不安を煽る要因の一つです。暑い日には、ぜひ本作で涼んでください。
2015年日本ホラー小説大賞受賞作。著者の他の作品を読んで感じたのですが、「ぼぎわん」「ししりば」「ずうのめ」と造語をタイトルに用い得体の知れない怖さを潜在意識に認識させるのです。本作は、デビュー作ということもあり、他の作品に比べると完成度に多少難ありなのですが、おもしろいものはおもしろいのです。子育てにおける夫の視点、妻の視点という社会問題や、昭和時代の夫婦関係。昔の時代に食糧難で化け物に子供を食べさせていたとかいろんな問題がちりばめられていてホラーとしてだけでなく楽しめました。
ブクログユーザーさんが選ぶ「やっぱり怖い」ベスト本、どれも素敵な作品ばかりでしたね。
ぜひ、みなさんの読書生活の参考にしてくださいね!