こんにちは、ブクログ通信です。
2022年も早いところ上半期が過ぎましたね。ブクログユーザーのみなさんは、上半期どのような読書ライフを楽しまれましたか?
今回からブクログでは、その年の月間「登録者数」が上位となった作品をご紹介してゆきます!
読書好きのみなさんらしい、読み応えのある作品ばかりです。ぜひチェックしてみてくださいね。
1月:青山美智子『赤と青とエスキース』
あらすじ
メルボルンの若手画家が描いた、一枚の「絵画(エスキース)」。日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく——。二度読み必至の仕掛けに満ちた、青山美智子さんの傑作連作短篇集。
おすすめのポイント!
「2022年本屋大賞」ノミネート作です。『木曜日にはココアを』をはじめ、ほっこりとした作風が人気の青山美智子さんですが、本作はそんな青山さんの新境地にして勝負作だそうで、これまでの温かみはそのままに、驚きの仕掛けに満ちた5つの物語を描いています。「エスキース」とは下絵のことだそうで、読み進める内にタイトルが持つ重要な意味に気付かされることでしょう。大切な人を想いながら読めば、また違った景色を見ることができますよ。
引き寄せられるかのように出会った2人から素敵な絵が生まれる。そしてその絵は、人を惹きつける。出しゃばらずに絵を引き立てる額縁がまた魅力的だ。まるで額縁に喩えたような穏やかなゆらぎ、飽きない温かみを全体から感じた。四章まであるが、エピローグまで読みきってから良さがわかる。人生をどこからでも、どんなふうにでも新しく始めることができる。…ということばが胸に沁みた。
2月:凪良ゆう『流浪の月』
あらすじ
両親と別れ、母方の叔母に引き取られた9歳の少女・家内更紗は、公園で出会った19歳の佐伯文に誘われ、彼のマンションで2か月の時を過ごすことになった。事実上、誘拐事件の被害者と加害者となる二人には、「傷物にされた可哀想な女の子」と「ロリコンで凶悪な誘拐犯」というレッテルが付き纏った。15年後、24歳になった更紗は、文と偶然の再会を果たすのだが……。
おすすめのポイント!
繊細な人間模様を描く、BL作品を数々執筆してきた凪良さんならではの、瑞々しい情景描写と儚く危うい人間関係の描写が鮮明に映し出された作品です。誘拐の被害者と加害者という複雑な関係に置かれた二人の男女の揺れ動く心情に、読後、何とも言えないザワザワした不思議な感覚を味わうことでしょう。物事には多様な側面があることを強く突きつける、そんな一冊です。凪良ゆうさんの他おすすめ作品は、こちらをチェックしてみてくださいね。
客観的に認知される事実と真実は違う。経験者の認知が真実のはずだけど、例えば、恋人同士の間ですら認識がずれることもあり、相互の真実もずれる。ひとりのほうがずっと楽に生きられる。それでも、やっぱりひとりはこわい。お互いが命綱の関係は美しかった。
3月:原田ひ香『古本食堂』
あらすじ
本が好きな国文科の学生・美希喜は、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で古書店を営む大叔父・滋郎さんが亡くなり、大叔父の妹・珊瑚さんがお店を引き継ぐため上京してきた。そして美希喜は、次第に珊瑚さんのお手伝いをするようになり……?
おすすめのポイント!
『三千円の使いかた』など、注目作を生み出し続ける原田ひ香さんの著書です。本作について原田さんは、「神保町を舞台にした作品」という編集者の提案から、歴史ある街での話を考えるうちに「絶版の本と食べ物」を登場させた物語を着想したと語っています。歳の離れた二人の主人公の視点で広がる、ほっこりとした人情劇に癒される作品です。また作中には、実在の書店やお店もたくさん登場するので、読めばきっと神保町を探索してみたくなりますよ。
神保町で書店めぐりをして、カレーが食べたくなりました。古本とグルメが後押ししてくれる。温かい気持ちにしてくれる物語ですが、節々に思わぬ展開があり、それがスパイスのような役割を果たしている。面白いし、続きが気になります。「人生に必要な小説や本って、向こうからやってくるのかもしれませんね」たしかにそうかもしれません。本は究極の不要不急とか言われても、私にとっては必要でタイミングを選ぶものだと思う。後藤田先生の話も素敵で、優しい気持ちが溢れている。そういう気持ちを欲していたのかも。
4月:東野圭吾『マスカレード・ゲーム』
あらすじ
ある3つの殺人事件には共通点があった。それは殺害方法と、被害者がみな過去に人を殺した人間だということ。刑事・新田が、再びホテル・コルテシアへ飛び立つ——。累計発行部数470万部突破の大人気シリーズ最新作!
おすすめのポイント!
東野圭吾さんが贈る「マスカレード」シリーズの最新作です。木村拓哉さん、長澤まさみさん主演の実写映画が話題となった『マスカレード・ホテル』『マスカレード・ナイト』に続き、今作も衰え知らずの人気を誇っています。今作でも、主人公・新田とコンシェルジュ・山岸がコンビを組み、新たなキャラクターとともにある連続殺人事件の真相に迫ります。「復讐」「贖罪」といったシリアスなテーマを背景に、エンタメ性も欠かない予想不能の謎解きが楽しめる一作です。
東野圭吾のシリーズものの中でも、このマスカレードシリーズは好み。新田刑事が三たびホテルのフロントクラークに扮し潜入捜査にあたる。一方、潜入捜査の相棒ともいえるホテルコルテシアの良心、山岸尚美も登場し、そして舞台は恒例のクリスマスイブ。関係なさそうに見える三つの殺人事件が繋がっていく展開はサスペンスとしても面白い。シリーズの最初ではいがみ合っていた新田と山岸が息の合ったバディとして活躍するのも楽しい。シリーズ総決算と書いてあったが、これでお仕舞いなのかなあ。
5月:伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル』
あらすじ
失恋した社会人と、元いじめられっこスパイの仕事が交錯する現代版の「おとぎ話」。見えていることだけが世界の全てじゃない。どこかの誰かが、幸せであることを願う、優しさと驚きのエンターテイメント小説!
おすすめのポイント!
本作には、福島県猪苗代湖で開催される音楽フェス「オハラ☆ブレイク」で、伊坂幸太郎さんが毎年書いてきた7年分の短編に加え、書き下ろし作品が収録されています。音楽フェスの特典小説とあって、各短編には伊坂さんの好きな楽曲の歌詞が引用されていたりと、音楽好きの方も楽しめる作品となっています。ファンタジーな世界と現実的な世界、二つのパラレルワールドが次第に繋がってゆく、伊坂さんならではのユーモラスかつ自由な世界観をお楽しみください。
さくさく読める作品。仙台旅行中に新作が!と思って、ドキドキして読んだら今回に限って舞台が福島でした….笑(もちろん福島でも素敵。猪苗代湖に行ってみたくなる)どこかの誰かのおかげで知らないうちに助けられたり、どこかの誰かを助けていたり。そうやって巡り巡っているのが素敵。「プライド?そんなの、ただの言葉だろ」という一文が忘れらない。プライドでは自分以外の誰も助けられない。なんなら自分も助けられていない。そんなものではなく、ほかにやるべきことをがある。というのを痛感する。
6月:浅倉秋成『俺ではない炎上』
あらすじ
ある日突然「女子大生殺害犯」として、実名や顔写真がネットに晒され大炎上した男。事実無根なのに誰一人として信じてくれず、日本中の人間が敵になってしまった。男は必死の逃亡を続けながら、事件の真相を探り始める。
おすすめのポイント!
ブクログ本ランキングで4週連続1位となった、浅倉秋成さん注目の最新作です。突如、SNS上で「大炎上」した主人公は、決して他人事ではないはず。些細な事が思わぬ憶測を呼ぶ、そんな恐ろしいSNSの一面がリアルに描かれています。次第に追い詰められる主人公の逃走劇に止まらない衝撃ミステリーと、思わず二度見してしまう伏線の数々、スピード感のある展開で次々と読み進めてしまいます。SNS世代の若い方たちには、ぜひともおすすめしたい一作です。
見事に騙された!最後まで読む手が止まらない。SNSが日常の必須アイテムとなった現代だからこそ感じられるこの小説で起きていることの恐ろしさ。印象的だったのが作中で何度も出てきた「僕は、悪くない。」という言葉。みんながやってるから。この人は悪いことをしたから。そんな軽い気持ちでSNSで人を誹謗中傷する。そして、偽情報だった時彼らはすぐにコロッと態度を変えて逃げ、「僕/私は、悪くない。」と口にする。この小説で起こったことほど酷いものではないが、同じようなことが現実でも起こっているのではないかと思った。
ブクログユーザーさんが注目した2022年上半期のハイライト作品をご紹介しました!
気になる作品には出会えましたか?ぜひ読書生活の参考にしてくださいね!