こんにちは、ブクログ通信です。
愛くるしい仕草やその見た目、時に気高く、時にチャーミングな猫は、古代より人々を虜にしてきました。日本でも近代には『猫町』や『ノラや』のように、猫を主題にした作品が多く生み出されています。そして現代においても猫人気は衰えず、漫画や小説、写真集、映像作品など、様々なメディアに登場しては、私達の心を和ませ、癒してくれる存在です。
今回は、様々なジャンルの本の中から、猫が沢山出てくるものを5作品集めました。猫好きの方には堪らない作品ばかりですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
1.深谷かほる『夜廻り猫』(ワイドKC)
あらすじ
「泣く子はいねがー」。猫缶を頭に載せ、半纏を着た灰色猫の平蔵は毎日、夜の町を歩きながら、涙の匂いを辿り、心で泣く者の元へと現れる。傷付き、疲れ、心で泣いている人々に寄り添う平蔵は、共に泣き、笑い、励まし、時に励まされ——。平蔵と共に夜廻りをする子猫の重郎や片目猫のニイなど、個性的な猫が多数登場し、町を賑わせる。たった八コマ、なのに泣ける!
おすすめのポイント!
Twitter上でじわじわと話題になり、書籍化した本作。とても八コマとは思えない深みがあると高評価を得て、2017年には第21回「手塚治虫文化賞」短編賞、第5回「ブクログ大賞マンガ部門」大賞を受賞。猫好きの方は勿論、最近泣いてないな、ちょっと忙しくしすぎたかもという方にもおすすめの作品です。2023年にはNHK総合でテレビアニメ化を果たし、平蔵の声を山田孝之さんが務めるなど、新たな話題となっています。
「泣く子はいねが~。今日も泣いてる子はいねが~」心で泣いてるものの元へ今夜も行く猫・遠藤平蔵。とてもあったかくなる4コマ漫画。画風はラフなんだけど表紙や扉絵を見てるととても上手い作家さんだと思う。早く次巻が読みたくなった。
2.ポール・ギャリコ『ジェニィ』猫になった少年は冒険の旅に出る
あらすじ
交通事故に遭った8歳のピーターは、人間の意識を持ったまま、真っ白な猫に生まれ変わった。喧嘩の強いボス猫デンプシィとの争いで傷付いたピーターを助けてくれたのは、雌猫のジェニィ。ピーターが自分の秘密を聞かせると、ジェニィは身繕いの仕方やミルクの飲み方など、猫になるために必要なことを教えてくれた。そしてピーターは、ジェニィと共に船に乗り込む。
おすすめのポイント!
『猫語の教科書』でも有名な猫好き作家、ポール・ギャリコによる、猫小説です。少年・ピーターが猫に生まれ変わってしまう展開は童話的でもありますが、猫へと変わりゆく感覚が丁寧に書かれています。更に、猫の仕草や表情のリアルな描写は舌を巻くほどの精緻さで、著者が猫へ注いできた眼差しの熱さを感じさせます。また、猫を通して語られる「愛」には、人間界にも通ずるものがあり、単に「猫の話」では終わらない重みがあります。
ねこ好き、ファンジー好きの私にピッタリな本だした。最初は読むのも辛かったけど、ワクワクしたり悲しい涙を流したり素敵な本でした。図書館で借りたけど、何回も読みたいので購入しようと思います。
3.岩合光昭『ほとんどネコのこと 岩合さんの月曜日』猫愛と飯テロのフォトエッセイ
あらすじ
2020年春。緊急事態宣言でステイホームを余儀なくされた動物写真家・岩合光昭さんは、「こんなに家にいるのは何十年ぶりだろう。」とTwitter上で語った。「岩合さんちの兄弟猫」として有名なタマとトモの成長っぷりや、彩り鮮やかな食事など、Twitter投稿の中から厳選された写真に、未掲載写真を加えた癒しの一冊。
おすすめのポイント!
世界中で動物写真を撮っておられる岩合さんですが、「猫写真家」としてご存じの方も多いかもしれません。いつもは写真を撮影する側ですが、本書では「被写体」としての岩合さんが見られるのも魅力の一つです。愛猫達に癒され、実に幸せそうな岩合さんが写っていて、読んでいるこちらまで嬉しくなります。段々レベルアップしてゆく料理や、岩合さんの着ている服など、細部にも着目してほしい、見所満載のフォトエッセイになっています。
岩合さんのTwitterの内容を書籍化。フォローしているので、見たことある内容が多いけど、日本からお取り寄せ。タマトモの成長にニヤニヤ。この2年間にこんなことあったなと思いながら、読み進める。ネコ歩きの裏側もあったり。そうだよな。岩合さんのカメラと言えば、オリンパスだったけど、撤退だもんな。そしてキヤノンさんありがとう。
4.あきびんご『ねこだらけ』
あらすじ
アメリカンショートヘアー、ロシアンブルーのようなメジャーな猫種から、聞いたこともないような猫まで。それだけではありません。各国の民族衣装を着た猫達も勢揃い。フラメンコの衣装を着ているのは、どこの国の猫でしょう。ページをめくれば、今度はヨーロッパの音楽隊に扮した猫達。細かい所まで丁寧に描かれた猫達を一匹一匹眺めていると、とびきり惹かれる一匹に出会えるのではないでしょうか。猫、猫、猫。猫尽くしの絵本です。
おすすめのポイント!
奥様が猫好きだったことから、「キキ」「ジジ」と名付けた猫達と暮らしてきたという、あきびんごさん。実在する種類の猫から空想上の猫まで、四百匹を描いた本作は、まるで図鑑のような仕上がり。ストーリーのある作品ではないため、文字の読めない子供でも、絵を見るだけで楽しめるでしょう。自分に似た一匹や、会ってみたい一匹を探してみるのも良いですね。猫好きの方には一度は手に取ってほしい、その名の通り「ねこだらけ」の作品です。
物語があるわけではないが、見ていて飽きない。ねこ・ネコ・猫。本当に猫だらけの猫好きにはたまらない絵本だと思う。
5.沖昌之『写真集 必死すぎるネコ』(タツミムック)あ~、愛おしい!
あらすじ
塀の上へ登ろうとしがみつき、ぶら下がる猫。門の隙間から向こうへ抜け出したい猫。覗き込む猫。紐に絡まる猫。喧嘩する猫……。野良の世界を生きる猫達は、いつも真剣、いつも必死。無作為すぎて、つい笑ってしまうようなユーモラスたっぷりの写真から、躍動感溢れる写真まで。「奇跡の一枚」ばかりを詰め込んだ、見応え抜群の猫写真集。
おすすめのポイント!
著者の沖昌之さんは、猫写真家として活動されており、自身のSNSでは「世界中のねこを撮り尽くしたい」と語っておられます。カメラに気付かない猫達の自然体の姿、猫達が隙を見せたような、貴重な一瞬は、何万枚という中から選び抜かれたほんの一部だそう。猫だけを撮り続けた沖さんの猫愛が凝縮された一冊になっています。『必死すぎるネコ』は『前後不覚篇』『一心不乱篇』とシリーズ化していますので、ぜひ併せてお楽しみください。
猫の必死な姿の写真集。野良猫ちゃん達は、野外で生きているんだし、ある意味必死なのが基本なのだと思う。カメラを意識しない猫たちの生々しい姿のかわいさ。当然気取ってないし。まさに決定的瞬間の写真は、よくぞ撮れたなと思う。後書きにあるように、何万枚から選ばれた90枚だからこそのクオリティ。蝶々を捉えようと真剣白刃取りジャンプして、見事に外している猫の後姿が一番愛おしかったです。梅佳代の「うめめ」を見た時の気分に似ています。
尻尾が、目が、毛並みが……と、どこを取っても可愛らしい猫。その姿は、本の中に収まって尚、私達を魅了します。沢山の猫が出てくる上記5作品の中に、気になるものはありましたか。ぜひ読書生活の参考にしてくださいね。