寒い日に静かに読みたい泣ける小説10選【前編】〜心の奥深くに響く、落涙必至の物語たち〜

こんにちは、ブクログ通信です。

寒くて外に出たくない日には、暖かい部屋でじっくりと読書を楽しみませんか?読むものは、ハートフルなコメディやスリル満点のミステリーなどもいいですが、寒い日にこそあえて、心に染み入る小説がおすすめです。冬の冷たい空気のように凛とした、心に響く物語に深く浸ってみてはいかがでしょう。

今回は、たくさんある「泣ける小説」の中から、特に寒い日におすすめの、しっとりと美しい世界観が魅力の作品を10選のうち前編5作品ご紹介します。読後には思わず涙してしまう、心震わす名作ばかりです。冷たい風が吹きすさぶ日、雪が降る日、身体の芯まで凍えそうな日に、ぜひ手に取ってみてください。

1.『君の名残を』 3人の高校生が紡ぐ、壮大で切ない歴史絵巻

君の名残を
浅倉卓弥さん『君の名残を
ブクログでレビューを見る

あらすじ

幼馴染の友恵と武蔵は、高校の剣道部でそれぞれ主将を務めている。ある日の下校途中、友恵と武蔵、友恵の友人の弟である志郎は、工場火災に巻き込まれ消息を絶った。実は3人は、平安末期の世界へとタイムスリップしていたのだ。3人がたどり着いたのは、源氏と平氏の激しい戦いが繰り広げられる平安末期の世界。戦乱の中、友恵と武蔵、志郎の行く道は残酷にも別れてしまう——。

オススメのポイント!

平家物語の世界観をベースに描かれる、タイムスリップストーリーです。友恵たち3人は歴史の渦に飲み込まれ、思いもよらない立場へ追いやられていきます。3人は激動の時代をどう切り抜けるのか、現代へ帰ることができるのか——先が気になり、ページを繰る手が止まらなくなることでしょう。歴史上の人物たちが丁寧な心情描写で魅力的に描かれているため、歴史が苦手な人でも感情移入してしまうこと必至です。壮大で切ない物語に、ぜひじっくりと浸ってみてください。

浅倉卓弥さんの作品一覧

歴史を正しい方向へ導く為に思いもよらぬ方法で大きな力が働いているというストーリーは、目新しいものではないが、原作に平家物語を用意するという発想は見事としかいいようがない。誰でも知っているストーリーにどう味付けをして悲劇の結末に向けて読者を引っ張るのか。少し長すぎるかとも思ったがとても楽しめた。現代の高校生の名前から連想される人物の配し方は見事。平家側の人物の描写も丁寧で好感が持てた。予想通りの悲しい結末のやるせなさが心に残る大作。

くり〜むそ〜ださんのレビュー

2.『もう、さよならは言わない』先立つ悲しさ、先立たれる悲しさ、が胸を打つ

もう、さよならは言わない
榊邦彦さん『もう、さよならは言わない
ブクログでレビューを見る

あらすじ

二か月前、妻の菜緒子が胃がんで亡くなった。「僕」の34回目の誕生日は、息子の翼と2人きりだ。ところが、「僕」のパソコンに菜緒子からメールが着信した。届くはずのないメールは、余命半年を宣告された菜緒子が、自分の死後届くように設定したものだった。僕は宛てのない返信を書き、亡くなった妻との不思議なやり取りが始まる——。

オススメのポイント!

家族を残していかなくてはならない菜緒子の切なさに、物語冒頭から号泣必至です。物語全体を通して、優しく温かい目線で描写される登場人物たちの細やかな心情が、そっと心に沁みて入ってきます。家族の温かさ、愛することの切なさを、美しい文章で巧みに描き出した名作です。しんと冷え込む静かな冬の日に、誰にも邪魔されずに読みふけりたくなることでしょう。珠玉の名作といえる作品なので、ぜひ一度手に取ってみてください。

榊邦彦さんの作品一覧

いまだかつて、こんなに泣いた本があっただろうか。家族を失い悲しむだけの物語ではない。残された夫と子供が、そのなかで、幸せに生きていく。温かくて、優しい家族の物語。温かい涙が途切れることなく流れました。この本を読むと、まわりにはたくさんの優しさがあふれていることに気づくはず。「ありがとう」という言葉、大切にしたいものです。

澤村多門さんのレビュー

3.『卒業』 新たな一歩を踏み出す勇気をくれる感動作

卒業 (新潮文庫)
重松清さん『卒業 (新潮文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

40歳のサラリーマン・渡辺のもとに、ある日、一人の少女が訪ねてきた。彼女の名前は亜弥。26歳で自殺した親友・伊藤の娘だという。「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」、——亜弥もまた、生と死を巡る深刻な問題に直面していた。渡辺は、亜弥を死から遠ざけるために、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めるが……。

オススメのポイント!

繊細な心理描写とぬくもりを感じさせる文章で、これまでに多くの名作を生み出してきた重松清さんの、新たな原点と謳われる名作です。淡々と穏やかな語り口で、「死」や「別れ」といった重いテーマを、ほど良い軽さで描き出しています。読み進めるうちに、身近な誰かの顔が思い浮かんだり、別れてしまった大切な人への想いが、呼び覚まされたりしてくることでしょう。人生の節目節目できっと読み返したくなる、静かで優しい泣ける小説です。

重松清さんの作品一覧

短編が4つあります。心が揺さぶられました。自身は20代ですが、40代ぐらいの方に良いのかな…。40代で親になった自分が、親の死により昔を振り返ったり、なにかの卒業をしていきます。生活感というかリアリティがあって、ジーンとくるお話しです。‬東京に出て、仕事で忙しくて戻って無い人とかいると思うんですよね。自分が親になったり、仕事で苦労して、親父も大変だったんだなぁって気付いたり、子供に対して厳しく当たった時に親父やおふくろだったらどうしたかなぁとか。4つの短編全てがなにかを感じさせてくれます。

ひつじ隊長さんのレビュー

4.『ハッピーバースデー』 孤独を感じる夜に、そっと手に取ってほしい物語


ハッピーバースデー
青木和雄さん『ハッピーバースデー
ブクログでレビューを見る

あらすじ

「ああ、あすかなんて、本当に生まなきゃよかったなあ。」——あすかの11歳の誕生日に、母・静代はそう言った。いつも出来の良い兄と比べられ、愛情をかけてもらえずにいたあすかは、ついに声を失ってしまう。優しい祖父母に引き取られ、転校先での新たな出会いを経て、少しずつ成長してくあすか。一方、静代は職場の上司・なつきによって徐々に隠していた気持ちが明らかになって——。

オススメのポイント!

家族から虐待されていたあすかが、周囲の理解を得て、少しずつ立ち直っていく様子が丁寧に描かれた感動作です。特筆すべきは、本作では明確な悪役がいないこと。一見、親として不適格に見える静江ですら、物語を読み進めるうちに、共感できる人物だと感じられるでしょう。1999年にアニメ映画化、2007年にラジオドラマ化されているほか、オーディオブックや朗読劇も制作されています。2009年には、フジテレビ開局50周年記念でテレビドラマ化され、主人公・あすかを大橋のぞみさん、母・静代を木村佳乃さんが熱演しました。

青木和雄さんの作品一覧

ぐっと引き付けて話さない話の展開も素晴らしいが、内容も実に道徳的で胸の奥にぐっとくるものがある。「愛情」って、こんなに大切なものだったのかと改めて認識させられた。じいちゃんのおかげで変わることが出来たあすか。その前向きさと清々しさには心をがっつりと捕まれた。最初から最後まで涙をながしっぱなしだった私。ラストは嗚咽が止まらず家族からは怪訝な目で見られてしまった。童心に返って、心から感動してしまった。

bmakiさんのレビュー

5.『塩狩峠』 1人の若き鉄道職員の生き様に、涙が止まらない

塩狩峠 (新潮文庫)
三浦綾子さん『塩狩峠 (新潮文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

鉄道職員の永野信夫は、結納のため、札幌に向かう列車に乗っていた。塩狩峠の頂上にさしかかった時、客車が突然暴走を始める。信夫はハンドブレーキに飛びつくが、客車は止まらない。恐怖におびえる乗客たちを救うため、信夫は自身の肉体を投げうって列車を止めようとするのだった。

オススメのポイント!

本作は、1人の青年の生き様を描いた、壮大な物語です。鉄道職員である主人公・永野信夫が、どのようにキリスト教に入信し、どのような信仰生活を送り、衝撃的な結末に至ったかを、美しい文章で丹念に綴っています。読み進めるほどに、信夫の人生を疑似体験しているような気分を味わえるでしょう。雄大な北海道の自然の中で、高潔な魂をもって生き抜いた信夫の生涯に、魅了される名著です。1973年に映画化もされています。

三浦綾子さんの作品一覧

泣ける小説と言われて読んだのですが、私からするとそんな軽い一言では片付けることのできないとても衝撃的な作品でした。この物語の主体は素晴らしい青年の死に涙することよりも、彼の生きる事死ぬ事に対して素直すぎるくらい真っ正面から考えぬいた生き方にあると思います。今までこれほど真っ直ぐで純粋な心をもった主人公を見たことがありません。そしてその姿にひどく心うたれました。自分がどう生きるべきか、見つめ直さずにはいられない一冊でしょう。

yse0916さんのレビュー

今回は、読み進めるほどに心の奥深いところに響いてくるような、泣ける作品を集めてみました。読後の余韻も味わい深い、珠玉の名作ばかりです。寒い日の読書のお供に、ぜひ手に取ってみてくださいね。