【後編】寒い日に静かに読みたい泣ける小説10選

こんにちは、ブクログ通信です。

たくさんある「泣ける小説」の中から、特に寒い日におすすめの、しっとりと美しい世界観が魅力の作品をご紹介します。読後には思わず涙してしまう、心震わす名作ばかりです。冷たい風が吹きすさぶ日、雪が降る日、身体の芯まで凍えそうな日に、ぜひ手に取ってみてください。

6.オグ・マンディーノ『十二番目の天使』 困難に立ち向かう勇気をくれる一冊

十二番目の天使
オグ・マンディーノ『十二番目の天使
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あらすじ

大手コンピューター会社の社長を務めるジョン・ハーディングは、若くして成功を収め故郷に凱旋した。しかし、その2週間後、妻子を交通事故で失ってしまう。生きる目的を失い、絶望のどん底で日々を過ごすジョン。ある日、ジョンは親友のビルに誘われ、リトルリーグ・チームの監督を引き受けることになった。チームでは、試合で全くヒットを打てない、ティモシ―という少年に出会う。ティモシ―には、実はある秘密があって——。

おすすめのポイント!

ジョンとティモシ―の心の交流が爽やかに描かれ、心温まる物語です。落ちこぼれといわれているティモシ―の、いつでも前向きで勇敢な姿に、誰もが勇気づけられることでしょう。逆境に置かれている人、挫折を味わった人、心が疲れてしまった人は、ぜひ本書を手に取ってみてください。勇気づけてくれるたくさんの言葉が、すっと心に染み入ってくるはずです。寒く凍えた心を、優しく温めてくれる本をお探しのときにも、おすすめです。

オグ・マンディーノさんの作品一覧

妻と息子を亡くした男性が、とある少年野球チームの監督を引き受け、子供たちと絆を深めていく物語。ティモシーのひたむきな姿、感謝を忘れない姿勢は、生きていく上でとても大切なことに改めて気づかせてくれる。

あやのさんのレビュー

7.アレックス・シアラー『青空の向こう』自分の死後の世界を、のぞきに行きませんか?

青空のむこう
アレックス・シアラー『青空のむこう
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あらすじ

元気いっぱいの男の子・ハリーは、<死者の国>の入り口にいた。姉のエギーとケンカしたハリーは、交通事故に遭い死んでしまったのだった——。母親を探している少年・アーサーと出会ったハリーは、自分のいなくなった世界を見るため、<生者の世界>に行ってみることにする。学校や友人たちは、ハリーの予想を裏切ってなんの変化もないように見える。家に行ってみると、そこには想像以上に悲しみ、暗い顔をしている家族の姿があった……。

おすすめのポイント!

「死んだらどうなるのか」「自分の死後、世界はどうなるのか」、誰もが一度は考えたことのある疑問ではないでしょうか。本書は、そんな疑問への回答のような一冊です。ハリーの目線で、自分の死後、身の回りの世界はどうなっているのかを知ることができます。読み進めるほどに、やんちゃで明るく、常に前向きなハリーに元気をもらえることでしょう。読後はきっと、家族や友人、大切な人に「大好きだよ」と伝えたくなるはず。切なくも温かい、素敵な物語です。

アレックス・シアラーさんの作品一覧

読み終わったときにものすごくさわやかな気持ちになれる。生きているときと死んでいるときの違いって何だろう、あ、風を感じることができないことか……主人公がそのことに気づいたときに衝撃が走った。自分が体験したことのないことなのに、あ、そういうことか、と素直に理解したし、今私が生きていて風を感じることがどれほど幸せなことなんだろうとも思った。

megchonさんのレビュー

8.レイチェル・ウェルズ『通い猫アルフィーの奇跡』猫嫌いにも読んでほしい!

通い猫アルフィーの奇跡 (ハーパーBOOKS)
レイチェル・ウェルズ『通い猫アルフィーの奇跡 (ハーパーBOOKS)
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あらすじ

飼い主の老婦人が亡くなり、静かな暮らしが一変、野良猫になってしまったアルフィー。空腹でさまよい続けたアルフィーは、とある町で「通い猫」として生きていくことを決意する。しかし、アルフィーが狙いを定めた4軒の家は、それぞれ問題を抱えていた。自分と関わる人間たちを幸せにするため、猫ながらに奮闘するアルフィー。猫の視点で描かれる、ハートウォーミング・ストーリー。

おすすめのポイント!

猫のアルフィーが可愛らしく、応援したくなること間違いなしの作品です。幸せな暮らしから、思いもよらない野良猫暮らしに陥ったアルフィーは、さまざまな困難に見舞われます。しかし、どんなときもたくましく知恵を巡らせ、生きようとするアルフィーの姿は感動的です。少しクールで、優しくて、ときにホロリとさせる、勇敢なアルフィーの活躍をぜひ味わってみてください。どんなに寒い日でも、本作読めば心がポカポカに温まりますよ。

レイチェル・ウェルズさんの作品一覧

可愛らしいお話だった。アルフィーのちょっと自分勝手な思考も、可愛らしい忠誠心も、猫好きにはたまらない。ぷりぷりしながらもサーモンは食べるとか可愛すぎ。アルフィーの生きるための策が、小さな奇跡を少しずつ呼び込み人々が幸せになってくのは素敵だった。

pokopoko0713さんのレビュー

9.高田郁『八朔の雪―みをつくし料理帖』冬の空気が良く似合う、絶品料理小説

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
高田郁『八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
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あらすじ

神田御台所町にある「つる屋」は、江戸では珍しく上方料理を出す店だ。店を切り盛りするのは、大阪からやってきた天涯孤独の少女・澪。水害で両親を失い、幼馴染家族と一緒に江戸へやってきたのだった。そんな澪の前に、さまざまな困難が降りかかる。しかし、持ち前の負けん気と天性の味覚で、澪は困難を乗り越え、料理の腕を磨いていく。ある日、名料理屋の「登龍楼」が嫌がらせを仕掛けてきた。澪と「つる屋」の運命は——。

おすすめのポイント!

澪の凛とした生き方、澪の作る素朴で美味しそうな料理、どちらも本作の魅力です。恵まれているとは言えない境遇の澪が、慣れない土地である江戸にやってきて、少しずつ周囲の理解と協力を得ていく姿に惹き込まれます。作者の高田郁さんは元漫画原作者で、登場人物の動きが映像として浮かぶような、躍動感のある文章も見どころです。2012年から2019年の間に、度々テレビドラマ化され好評を博しました。2020年には、角川春樹さん最後の監督作として映画化され、女優の松本穂香さんが主演を務めています。

高田郁さんの作品一覧

みをつくし料理帖第一作目。心に負担のない感動というか、自然に涙が出てくるような温かさがあってとてもいい。辛い過去を持つ人物が多いけどだれもが歪むことなく、それでいてただ綺麗なだけでなく、静かな強さで溢れている。ただ料理が美味しそうだというだけでなく、心から美味しいものを食べる人達の顔が浮かんでくる。また好きな本に出会ってしまった。

aym1868さんのレビュー

10.長月天音『ほどなく、お別れです』お葬式の意義を教えてくれる感動作

ほどなく、お別れです
長月天音『ほどなく、お別れです
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あらすじ

清水美空は、「坂東会館」という葬儀社でアルバイトをしている大学生だ。そこには、僧侶の里見、訳アリの葬儀ばかり請け負う漆原という男性スタッフがいた。ある日、漆原は美空のとある才能に目を付ける。漆原が担当する葬儀を手伝うことになった美空は、意外な世界を目の当たりすることになって——。

おすすめのポイント!

葬儀社が舞台という、珍しいお仕事小説です。故人と遺された者たちとの心の交流、それを手伝う葬儀社の面々が、温かい視点で描かれています。作者自身もパートナーを亡くしているそうで、作中にはかなりリアリティを感じさせるシーンがいくつも登場し、胸に迫るものを感じられるでしょう。日常生活ではなかなか考える機会のない、葬儀という儀式の尊さを改めて知ることができる物語です。

長月天音さんの作品一覧

葬儀というとネガティブなイメージがどうしてもあり、悲しみや辛さ、怖さを連想してしまう。そのセレモニーに携わる人は、気持ちの切替が上手でないと心も体も保たないんだろうと思う勝手な思いを持っていた。実際は逆なのかもしれない。人生の最後を締めくくるイベントを担うのは、人一倍、人の気持ちに寄り添える人なのではないか。亡くなった人の魂が見える、感じられる人が本当にいるのかも、天国というところが実際にあるのかもわからないが、そうあってほしいような気がした。

ニコりん。さんのレビュー


読み進めるほどに心の奥深いところに響いてくるような、泣ける作品を集めてみました。読後の余韻も味わい深い、珠玉の名作ばかりです。寒い日の読書のお供に、ぜひ手に取ってみてくださいね。
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